#34 寒餅は〝なまこ〟でした

 カンモチという言葉は昔日常にあったんですが、いざ書くとなると

漢字に自信がなくて、調べてみて〝大寒の頃につく餅〟位しか情報がない

のに これは書いとかなきゃ! とちょっと使命感持っております


 寒餅は母の実家のある大阪から2月初めごろに郵便小包で届く餅で

関東ではあまり聞いた事がありません

      ちなみに、テレビで放送される〝大阪〟街頭インタビューは

      9割9分 ミナミと呼ばれる南大阪 大阪駅の南側です

      大阪駅の北側 通称キタ は全く風俗習慣の違う街で

      はっきり言って 映像的にはなんも面白くない普通の街です

      で 母の実家は キタにあります 私の言う大阪はキタです


 子供の頃 大阪では年に二回餅つきをしていました。年末につくお鏡餅と

丸餅 1月末(大寒の頃)につく〝なまこ〟です

 うちでは寒餅と言わず〝なまこ〟と言っていました 長さ30センチ程の

楕円形で なまこの形をしているからです。

 正月の餅は白いものだけですが 〝なまこ〟はつく時に他の物を入れて

つくので色付きです。青のりで緑の餅 干しエビで赤い餅 他にゴマや

黒豆・砂糖を入れて、五色の〝なまこ〟の出来上がりです。


 正月の餅つきは冬休みに何度も見ましたが。寒餅つきは見た事がありません。

材料の準備も大変だろうし、ちぎっては丸める丸餅と違って、このぐらいのサイズ

になると形を作る間に表面が冷えてきて、手際の悪い人間がやるとシワシワの

出来上がりになります。鏡餅なんて、よほどの手練れでないとしわ一つなく

トロリと垂れ下がらずにあの形にはなりません。

 つきたての餅は熱いし垂れるし、餅粉をつけないと手にくっつくし かといって

餅粉を使いすぎると ちょっと飛び出した部分が本体に戻らなくなる。

 この難しさから 関東はのし餅になったんでは? と思ってますがどうでしょう


 祖母が送ってくれた〝なまこ〟はまだ包丁で切れるほどの柔らかさでした。

きっと、餅つきをした日に小包を出してくれていたんでしょう。

それが着くと、母は硬くならないうちにと、最優先で切り始めます。

1センチ程の厚みと5ミリ程の厚みの二種類です。切り口も楕円形です。

分厚い方は普通の餅のように焼いて食べ、薄く切った方は干して保存して置き

油で揚げて食べます。甘かったりしょっぱかったりの味付きです。 


 父は黒豆のなまこが大好物で、豆の断面をびっしり見せてるナマコ餅を独り占め

して、自分で焼いて食べてしまいます。私は砂糖餅がいいのですが、これはすぐに

焦げるので、オーブントースターもないし、火鉢もなくなっていた我が家ではガスで

焼くので一苦労でした。


 少し大きくなってからずっと、ナマコ餅は旧正月についていたんだと思ってましたが、時期的には同じですが〝旧正月〟ではなく〝大寒〟の行事であった事は今回初めて知りました。一番寒い時にばあちゃんは頑張ってたんだなあと思っています。

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