#31 婚儀にまつわるETC 結婚式まで2

令和の今 記憶をたどっていると 確かに見てきた事が

まるで 時代錯誤で なんでそんな事必死でしてたんやろ

と思いますよ 正直 でも本当だから 書いとかなくちゃ


かさばる嫁入り道具の二番目は 布団一式です

ベッドはありませんからね シングルを一対(2こ)ずつです

敷布団・掛布団(冬掛け 夏掛け)・タオルケット・毛布に枕

それぞれのシーツに夏冬の寝巻 夏物と冬物の座布団五枚ずつ

これを 芸術的に積み上げた上に掻い巻きを乗せたのが

見本のパンフレット写真の定番でした

       これ入れたら 押し入れに何にも入らなくなるんよ


嫁側で用意したあれやらこれやらを トラックに載せて送ります

屋根のあるコンテナ型の引っ越しトラックなんてないですから

有象無象は中央に見えないように積んで 嫁入りダンスのような

見栄えのするものを外側に積みます 

トラックの荷台部分はぐるりと家紋入りの紫の幕で包み

荷物全体に紅白のさらしを リボンのように飾りかけします

見た人だれもが 嫁入り荷物だと分かるようにです


さらに 荷物を積んだらトラックは〝バック〟してはいけないと

言われていました 〝戻る〟なんて縁起でもないから

そこで 遠回りでもなんでもバックしないで行ける道をたどります

もしも 細道で嫁入りトラックと鉢合わせしたら 有無を言わさず

バックするのは相手の車です ただし その時の為に嫁側は祝儀袋を

用意して運転手に預けてますので 

下がってくれた運転手には礼を言って寿と書かれたお祝儀をお礼に渡します


ドラマなどで結婚を控えた幸せなカップルを描く時 一番使うのは

ウェディングドレスの試着ですよね 何度も着替えては出てくる彼女を

彼がほめたたえる…

貸衣装が全盛になるのは昭和の半ば過ぎで それ以前は花嫁衣装も自前

ウェディングドレスも自分で作られたりしたようです

やがて 日本の景気が良くなっていき 派手婚時代の幕が開きます

私の頃はほとんど貸衣装になってました 衣装は挙式する会場で開かれる

春秋二回の展示会で決めることが多かったです

     業者間の客の囲い込みがあったかと

     別のところから衣装を持ち込むと持ち込み料を取られましたから


ここからは 個人の体験ですが 本人同士が選ぶという感覚など全くなく

嫁側の母親と叔母二人(私の場合)が本人を引き連れて会場に行きます

この場合 本人はサイズ感を計るトルソー役でほぼ口ははさみません

業者も母親の財布を緩める事に必死で 花嫁は相手にされてなかった記憶が…

という訳で 私の衣装もかつらもかんざしや笄に至るまで 

三婆が決めおりました まあ 結婚自体を6歳になったから小学校に行く

と同様の感覚で受け止めていたので はい あなたのランドセルはこれね

と言われたような感じで 特に不満もなかったです

       友人の一人は かなりおしゃれだったので

       前のめりに 自分で衣装を選んでいたら

       「花嫁が はしたない」と言われたそうです

まあ なんだかんだあり過ぎて疲労困憊「もう辞めたい」と言っては

叱られ 式にこぎつけた時には 「早く 終わってくれ」と思ってた

というのは 遠い昔の〝個人の感想〟です














 

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