#30 婚儀にまつわるETC 結婚式まで1

正式な結納の儀式は ほぼ消えたしきたり とはいえ

やはり形だけでも という事で両家の食事会のような

簡略した場でのプレゼント(婚約指輪と時計とか)交換という

いわば婚約式として 今も受け継がれてはいるようですね


が ここから先の話は最近全く聞きませんので

記憶の限り記録しておきたいと思っています

主に 昭和半ばごろの常識と思って下さい


まず 暗黙の了解事項として

住まいは新郎側が準備する(建てるだけでなく実家とか賃貸でも)代り

家具調度他家財道具一式は新婦側が準備します

昭和半ばになると 電化製品一式が加わりますので新郎が用意するか

同居なら電化製品や車は新しく買わず 実家のものを使う事もありました


いわゆる嫁入り道具です これが金銭的だけでなく精神的に負担が大きい

まずは家具三点セットや五点セット(四は避ける)

家具店はもちろんデパートなどにも嫁入りセット専門コーナーがありました

和ダンス 整理ダンス 洋服ダンス を同じ材質同じデザインで三点セット

     昔 洋服ダンスがあったはずはないから 多分長持の代りでしょう

     祖母の家には 人二~三人殺しても隠せるような長持がありました

     桐の木で作られ 四隅に金属の細工が施されていて 二か所 

     長い棒を通して籠のように担ぐ用の大きな飾り金輪がついていました

五点になると 鏡台と食器棚が加わるのが一般的でしょうか

もちろん 材質。デザインはお揃いです

材料の一番は桐 女の子が生まれたら庭に桐を植えて 嫁入りの時に

それで箪笥を作る話は聞いた事がありますが 実際に作った人は知りません


どれも目いっぱいデカイので 友人はマンションの梁につっかえて壁につけられず

ただでさえ大きな箪笥で部屋がめちゃくちゃ狭くなってました

ちなみに私も 部屋に三つ並べて置ける幅がなく四苦八苦しました

見栄えばかりを気にした結果です

      娘の結婚時には〝嫁入り家具〟のコーナーは消滅してました

      いつ頃 消えたんでしょうね


我が家には今 和ダンスと鏡台だけが生き残っています 半世紀たちますが

どちらも一部の狂いもなく 昔の職人さんの技は本当に素晴らしいです

      技といえば 昔のよい箪笥は一つ引き出しを占めると空気の

      抜ける隙間がないので 別の引き出しが少し押し出されるのです

      祖母の嫁入りダンスはその引き出しに2センチほどのハモニカ細工

      がついていて 引き出しを閉めると ファ~ンと鳴りました


家具を買っただけでは終わりません 中身が必要です

食器や化粧品はほぼほぼでよいのですが 衣類は大変です

和ダンス一杯の和服(夏冬の喪服一式と江戸褄(留袖)は必須)に

整理ダンスや洋服ダンスも一杯にしなければなりません

その為 旦那様の和服や浴衣(当時でも)着もしない和服の寝巻等々

満杯にする為に詰め込みます 叔母は一杯にならない箪笥を前に母親と泣いた

と認知症の今でも言います

      当時でも私 満杯で持って行ったらその後が入らないやん?

      と思ってましたが それには理由があって

息子の嫁の嫁入り道具は ご近所さんにご披露されたのです

さすがに都会ではなかったですが 大和に嫁いだ遠縁の姉ちゃんは

座敷一杯に嫁入り道具を並べ 良い着物は衣桁にかけて

縁側から見えるようにして ご近所さんが見物?にやって来たそうで

婿側の顔をつぶさない為にも 頑張らにゃあいかんかったんです

      私は遠方であったので家具などは直接新居に運んでもらい

      後から、箪笥を埋めました ご近所さんはいなかったのですが

      姑さんが「中を見せてください」とやってきて汗かきました


何かとかさばる嫁入り道具の東の横綱が家具なら西の横綱は布団一式でした

今でも首をかしげる程のかさ高さで 意味ワカランのですが

2に続きます








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