#28 婚儀にまつわるETC 結納

令和の時代には ほぼ消滅したしきたりではないでしょうか

ゆえに 書き残しておこう と思ってはいますが

実は

母は戦後すぐでそれどころではなく

私は 偏屈な父が「金をもらって娘を渡すなどごめんだ!」

と言ったため それでも何とか形だけはと目録の交換だけ

しかしておらず

娘の時は ホテルの別館料亭で本人同士と両親だけで行い

この時も結納金と持参金はなし という申し合わせで目録交換のみ

〝金〟については形式的にその時の費用を折半(こちらが費用を払い

その半額をあちらが金封で用意)する事ですませたので


実は 正式な結納は 親戚や友人のケースでしか知りません

しかも 地域差などかなりあると思いますので 昭和時代の

関西地域の習わしと思って下さい


友人のケースでは 見合い後 吉日に仲人が婿家を訪れます

一家は正装(結婚式並)で出迎え 用意した結納一式を預けます

一式とは 目録 結納金の金封 婚約指輪 等々

既に 目録は形式だけになっていましたが時には書かれた品々の

現物が添えられる時もあります

(正式な内容を知りたい向きには調べて頂きたいのですが) 

私の知る範囲の品々とは 

するめとか昆布とか角樽や扇子(末広)というめでたい物 各種に

翁媼の人形(もはや爺さん婆さんを含むジオラマ)です

    この人形とにかくかさが高い ひな人形でも年に一度は

    出番があるけど ず~っと押し入れに入ったまま 

    さりとて捨てる訳にも 誰かにあげる訳にもいかないと

    友人は嘆いていました

    この習慣がすたれるのもむべなるかな です


一式はいくつかの三方に乗せて 家紋の入った袱紗をかけ仲人が

嫁家に持っていきます 勿論こちらも正装でお出迎えします

   この時の仲人の口上「幾久しくお収めください」というのだけ

   叔母の結納の時に陰で聞いた 記憶があります

嫁家側は 同じ内容の目録(結納金や指輪も記載)を作成して

確かに頂きましたと書入れたものと 嫁入り道具や持参金の目録を

用意して 仲人に託します 

(嫁入り道具とは 箪笥や長持・鏡台から電化製品等)

この「幾久しく受納しました」の目録 叔母の時祖父は その場で

巻紙に書いていました(今なんて絶対ムリ) 

     親戚の姉ちゃんの時に聞いたのは 百万円の結納金なら

     百万円分の嫁入り道具と百万円の持参金が常識だったとか

     

仲人はそれを預かって 再び婿家に戻るので その時嫁家からのお礼を

婿家に返す袱紗に包みます 大体結納金の一割から二割と聞きました

再び 婿家に目録を届けると こちらでは宴席を設けて仲人をねぎらい

同じようにお礼を包んで仲人に渡します

これで結納が収まり 結婚に向けて稼働する訳です


ついでに 結婚祝ですが 基本結納が収まり自分が式に出るか出ないかが

決まったら 家に持って行くのが普通でした

式場で本人以外の人に渡すのは よんどころない場合で

一応 身なりを整えて伺うと 桜茶など出して頂きます

祝辞を述べて袱紗に包んでお祝いをお渡しすると

〝うつり〟といわれるささやかな小物などを包んで袱紗を返してくれました

うつりは小さなお菓子とか 懐紙の束などです

       ちなみに 籠やお皿・重箱等で お料理や果物などの

       おすそ分けを頂いたりした時は その入れ物にお返しの品を

       入れて返すのですが 何もなければ懐紙を一枚入れて返しました

       その習慣は 昭和の間は普通に身近にありました

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