#27 婚儀にまつわるETC 見合い

結婚なんて〝両性の同意によって〟届けを出せば

公的にも私的にもOKなもんじゃん

というのが まかり通らなかった頃のお話 

    令和の世では〝両性〟だの〝届〟だの

    も引っ掛かりますけどね


私の祖母は双方の親の間を仲人が取り持って

親同士で決め 本人は顔も見た事ないまま結婚式へ

と まあこれは大正末期のお話


昭和元年に誕生した我が母は 誕生と同時に

遠縁の男子と婚約 父方祖母の店を夫婦で継ぐ 

というレールに乗っけられた その時お相手9歳

     まあ 戦争がすべてチャラにしましたがね


そして 私の知ってる時代は昭和を三分の二下った 

1960~70年代の 普通の話です 


≪見合い≫と言う言葉は分かりましょうか?

 いわゆる仲人と言われる世話役があちこちから集まった資料から 

あの家の娘とこの家の息子は年齢や家の格が釣り合うのではと

両家に声をかける その家では仲人から話を聞いたり見合写真を交換したり

場合によっては 

釣書(つりがき)という家族や親せきの個人情報をずら~っと書いた書を交換 

興信所と言われる探偵を雇って相手の事を調査させます 

とはいえ この段階では本人が嫌といえばお断りできます

これで両家OK となれば晴れてお見合いの運びとなる訳です


この興信所なるもの侮りがたく 叔母が嫁いだ際 婚家の父から実家にもない

七代前までの実家の家系図を見せられたそうです そこまで調べて決めた

と言われた 叔母の心境はどうだったんでしょうか


見合いは料亭の一室を借りるとか 仲人の家を使うとか色々聞きましたが

一回だけの私の実体験を申しますと あまり堅苦しいのはなんだから

という事で ホテル最上階のラウンジでコーヒーとケーキでした

両家両親仲人夫妻というのが正式ですが 気楽に という事で

両家の母と仲人の奥さんが同席 それでも私は振袖 他の方も盛装でした

しばらく歓談の後 オバさんたちは去り 二人でその辺のお庭を散歩して

送ってもらいます これが駅またはタクシーに乗せてバイバイだったら

男性はNOのサイン 家まで送ってくれたらOKサインだそう

はい 家まで送ってもらいましたよ 送ってもらいましたが 

猫重ね着して被ってる自分をOKと言われてもねえ

このお話は 母があちらのお母様が気に入らず お断りしました


こういう時は「私どもにはもったいなさ過ぎて」とか

「占ってもらったら あまりよくなくて」とか言って断るらしい

伝えるのは双方 仲人に言うので 

「あら~ あちらはお気に召してましたのに残念です」

なんて 仲人が言っても それはウソの可能性高し


こういうのも含めて〝仲人口〟という言葉がある

いい事しか言わない 悪い事は言い換える(ヤンキーを活発とか)

つまり〝仲人口〟とは 鵜呑みにできない話 という意味です


なんで 仲人なんて引き受けるの? 

本当に世話焼きとか 田舎だと行商であちこち回るので頼まれるとか

も もちろんありますが  

町にはセミプロもいました 

一つご縁がまとまれば 結納とか 結婚式とかの度に両家から

かなりの金額のお礼が包まれるから いい副業と言えますね 

一ついいご縁談をまとめれば うちの娘にもお願い と頼まれて

次に 続きますしね 


最近は見合いをしないから 結婚式の時だけの〝頼まれ仲人〟が主流?

というか それもないのが主流ですかね

仲人 という単語も死語になるんでしょうね

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る