#25 頼母子講(たのもしこう)はローンの代り

カードローンや住宅ローンから悪徳金融まで本当に簡単に

お金が借りられる時代ですね 借金してる感覚もないのかも


子供の頃は「あのうちには借金がある」というのは軽々しく

口にする事もはばかられる重大ゴシップで

金貸しにお金借りる人なんて 普通ではない人と思ってました。


家具や電化製品のローンが始まった頃、父に電気屋さんが

「お客さん、ローンできますよ」と言って「それはなんだ?」

という父に説明を始めたら「それは月賦ではないのか?」と言い

「まあ、そんなもので…」言ったとたん父が顔を真っ赤にして

「無礼者!!」と言って店を出てしまった事がありました。

まあ、そういう感覚の時代でした。


それでも当座のお金に困る事はある そんな時は質屋に行くんです

大事なものを預けて 売るよりはずっと少ないお金を借りる

翌月お金に利子を添えて品物を受け出す

利子だけ払って 質草が流れないようにする

それも出来ないと 預けたものは流れてしまう

質屋はそれを安く売って儲ける それを質流れといいました


今は質屋に初めから売りに来るから高く買い取り すぐ売りに

出すみたいですね。

まあ自分の財産を売ってお金にするのは 借金よりは普通扱いでしたね。


町会や婦人会のようなグループでは〝頼母子講たのもしこう〟が

よく行われていました。

毎月一度寄り合って、たとえば10人が一万円ずつ持ち寄ります

集まった10万円を今月欲しい という人がもらって帰ります

当然その権利は一巡する間に一回だけです 

もしも欲しい人が複数名乗り出たら入札になります。

一人が〝9万5千円〟と書き一人が〝9万円〟と書けば

安い方に落ちます。差額の1万円はハナと言われて その他の9名が

分け合うのです。

父から麻雀の席に警察が来た(映画会社なので……)と聞いていたので

母に「大丈夫なのか?」と聞いたら

「集まったお金を全部残さず 来た人で分ければ大丈夫」と言ってましたが 

真偽のほどはわかりません。違法だったら時効ですが

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る