第17話 私の知る最も過激なファンは今80代

80代のばあさんといえば どんな連想しますか

〝おばあちゃんのぽたぽた焼き〟みたいに

縁側での~~んびり 穏やかにお茶などすすって?

今はそうかもしれませんが 

彼女たちにも10代20代があった訳で

私は子供だったけど その時代の目撃者なんです


テレビそのものが珍しくて 何を放送してても

かじりついて見てた時代 アメリカ直輸入の

ロカビリーという音楽ジャンルが流行ってて

ステージをそのまま放送してたのも見てました

そこにうつっていたのは 

エレキギターをかきならしながら歌って踊る若者と

(踊ると言っても今のようなダンスじゃなくて

 身もだえして膝ついて 寝そべって 転がって…

 エアギターに似てるかな)

客席から投げ込まれる 大量の紙テープが山になってるステージ

だから 痛くなかったのかな


そして 客席から我勝ちに舞台によじ登ってボーカルに

抱きついてキスする(時に押し倒す)女の子

熱狂のあまり服を引きちぎりにいく子

そこまでできなくても ステージギリギリにぎっしり集まって

皆々狂喜乱舞して 両手を差し出して叫び続けてる 

(その場でパンツ脱いで投げ込む子も何人もいたとか)


わたしゃ 本当に幼い子供だったけど 毒気にあたって

ぽか~んと口開いて見てましたよ その映像

それが 今の80代


そこから少したった時期のビートルズの来日風景は

今でも繰り返し映像が流れるから分かるでしょうが

あの熱狂も 主力は今80代


ロカビリーに始まった ウェスタンカーニバルという

まあ 劇場でやるロックフェスみたいなんの主役が

時と共に ロックからグループサウンズに

アメリカの曲に日本語の歌詞 から 詞も曲も和製に

移り変わった頃 私も友人と初陣しましたよウェスタンカーニバル

と言っても これという押しもなく ただただ好奇心で

場所は 今はなき梅田コマ劇場 

当然手に入ったチケは二階席のはじっこ


そこから見下ろすと 一階席は人気グループのファンが

それぞれかたまって座っていて 

法被や鉢巻等 お揃いで固めてるので勢力地図は一目瞭然

どことは言いませんが 揃いの傘を開いているところも

(ええ 客席でです ヤクルトの応援よりずっと前じゃないかな)

その時は前列とステージの間に 柵のようなものが置かれてましたね

警備も進化したのでしょうね 客席から舞台への階段も外されてたと…

ファンも曲が聞こえない位は叫んではいたけど

ステージへの実力行使にまでは 及ばなくなってましたね


その時に「みなさ~ん 初めまして~ 僕たち京都から来ましたぁ~」

という挨拶で現れたのが ザ・タイガース

この後 人気の階段を二段飛ばしで駆け上がっていきます

その メインボーカルが

今や ケンタッキーおじさんと見まごうジュリーこと沢田研二です

そしてリーダーで サリーと呼ばれていたのは岸部一徳 

今やすごいバイプレーヤー過ぎて サリーの面影はありませんが


それを見たのよ というのがかなりの間 私のネタの一つだったんですが

それも もう通じなくなりましたねえ


そうです その時 一階席でそれぞれの親衛隊を仕切って

他の親衛隊とバチバチだったのも 今の80代  なんですよ


年寄り扱いして ナメてたら アカンえ

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