第14話 箱に入れた卵に熨斗かけて贈り物にした

祖母の住んでいたのは大阪北摂でしたので地域差あるかもですが

昭和30年頃 入院見舞いには よく卵を持って行ってました

20~30cm×30~40cm位 の浅い紙箱にもみ殻をぎっしり詰めて 

その中に卵を大切に埋めるようにセットして

箱のふたには 鶏の日本画が描かれたのしがかかってました

卵はそれだけ価値も値段も栄養価も高かったんです


ちなみに祖母世代のお見舞いは 卵かバナナ(どっちも安くなりました)

母の世代になると 花やメロンに変わり(花束とか果物篭で豪華)

今は 病院に花や食べ物を持ち込むのはほぼアウトですものね

時代の主流とか常識なんて すぐに変わっていくものだと思います


スーパーのない時代 卵は10個入りパックでは売ってませんでした

市場の中に 〝たまご屋〟という卵だけを売る店があって       

卵の 大きさ別に三段階~四段階に分けて1個の値段が決まり

それぞれが 見事なピラミッド状に積まれて売られてました

それを「10円のを5個 12円を3個」とか言って買うんです


店のおじさんは 卵を三個くらいずつ手に持って

裸電球に箱をかぶせて上部に穴を開けたもの(手を突っ込む抽選箱風)に 

卵を順にササッとかざしますと瞬間的に卵に光が当たり 

きれいな黄色に輝きます 黄身が丸いかどうかをチェックしていた

と聞きました 卵は古くなると黄身が溶けてしまうのだそうです

店でも家でも 卵は常温で置いていましたから 腐るのも早かったんでしょう

こっちは子供ですから その手際の良さをマジシャンを見るように見てました


それから 四角に切った新聞紙を二枚 ずらせて重ね

買った卵を5個位一列に並べて一巻き さらに並べて… 

最大10個位は ササッとひとつに包んで輪ゴムで止めて渡します

卵はきっちり包まれて 端を持ってもゆらっともしませんでした


卵屋の 一番高い大きい卵は ほとんど黄身が双子でした

割るのが楽しくて仕方なかったのを覚えてます


今 日本の卵の生食文化が世界でも珍しいと流行り出しているようです

日本は卵の衛生基準が厳しくて 殻は機械できれいに洗浄しないと

販売できないから生食できるんだ とテレビで言ってました 

がぁあ

昔は庭で鶏を飼ってる家もあり そこんちのおじさんは草むらから

放し飼いの鶏が産んだ卵を拾ってきて 丸い所をコンコンとして穴を開け

ズズッとそのまま 飲んでましたが…  元気でしたね 雑菌大魔王やね

私は… 私は〝おっちゃんヘビみたいや〟とドン引きしてましたけど

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る