第13話 祭の見世物小屋には〝蛇女〟がいた

昭和の時代 お化け屋敷といえば祭りの小屋掛けでしたが

最近は夏場だけではなくなったみたいですね 

コロナ以降 昔は雑そのものだった衛生問題もクリアせんとアカンしね

お客が驚かなきゃ意味ないし とはいえ驚いて大声で叫ばれては 

飛沫拡散で客よりお化けの方がやばい とかね 

お化けがフェイスガード付けて出る訳にもいかんしねえ

というのできっとまた新たな怖がらせが生まれるんでしょうね


さて 昭和の夏祭りでは 食べ物屋台やお化け屋敷と並んで

見世物小屋というのが出ていたものです

     なかには障がいのある人が出演していたりする

     ものも多くあったようで そんな事もあって

     お化け屋敷とは違いほぼ絶滅していったようです


木組みにござとか帆布やらをぶらさげた雑だけど結構大きな小屋でした

おどろおどろしい絵看板がかかった表の入口横一段高いところに

丁度 番台のような感じで呼び込みのお兄さんが

寅さん的 名調子で手に持った細い棒を講釈師のように叩きながら 

蛇女やら怪力無双男やら二つ頭の羊やらの話で気を引きます 

背後には布が下がっていて それを 手に持った棒でヒョイと持ち上げると

ぼさぼさ髪の蛇女?の後ろ姿がチラリと見える…


私は 見世物小屋・お化け屋敷・サーカス系は基本的に苦手 

だからずっと入った事なかったんですが

中学の頃 友達に引っ張られて 一回だけ入場しました

入り口で お金を払って 中に入ると床は神社の境内のままの土です


入り口近くで 爺さん寄りのおじさんが岩を頭の上まで持ち上げて見せます

この岩が明らかに作り物

重そうに見せる演技が下手っぴな怪力無双男です


中央一段高いところに 長い髪を振り乱したおばさんが

立膝で座って 睨んだり吠えたりしています

これが 蛇女か… と客が集まったところで

袋から大蛇(は看板の絵)ならぬ小指程の太さの蛇?

をつまみ出して 色々やった(忘れたけど)後

ナント食いちぎった!!

絶句する私に友達が「ゴムだよ」 と言ってくれた


後ろをみると スチール製の机があって

その上に 薄汚れた白い毛皮が投げ出すように置いてある

二つ頭の子羊…   らしい 

二つ目の首を縫い付けてるタコ糸 はっきり見えてます


その先は さらに謎?? しみのある大きな板??

     ここで分かる人 いますか? 

どっかのおじさんが 教えてくれました

「こりゃあ オオイタチ(大板血)だろうよ」って

落語カイ!!


生きてる子牛がつないであったのは?? のまま  

振り返ったら 蛇女が 当時大はやりだった

粉末を水に溶いて作るワタナベのメロンソーダを作って飲んでた

    それ見た時に さっきの蛇はやっぱり本物だったカモ!

    と一番ゾッっとしたよ


出口じゃ みんな笑ってて「くっだらねえ!」とは

言ってても 怒ったりしてなかったなあ

コンプライアンスとか不当表示とか言わないで

インチキっぷりを 楽しんで笑ってた


なにより たった一度の経験がこんなに記憶に

残るんだから 木戸銭は高くなかったよなあ

でももう 絶対あの時代には戻れないんだよなあ

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