第6話

バスで到着した先には、舗装された道路がある。

既に人の居ない建物の奥には、半壊した建物があった。

更にその奥に向けて歩き出すと、更地と化した大地が広がっている。

凶星群による天から落ちた凶ツ神による衝突によって、建物が崩壊した。

修繕工事をしている形跡はある。

重機や簡易テントが張られていて、近くには瓦礫の山が募っている。

けれど人が居ないのは恐らくは凶ツ神が出現した為だろう。


喧噪、騒々しい音が響き出す。

ヨツヨシは携帯端末を取り出すと共に放り投げる。

携帯端末は即座に鳥へと変形してヨツヨシの周辺を飛び回る。


「拝神者・ヨツヨシ、討伐撮影を開始します」


そう鳥に向けて言うと共に視聴者数が13の数字が表れる。

ヨツヨシは歩きながら瓦礫の山を進んでいく。


約三キロ圏内にて破壊された建物の瓦礫が複数積まれている。

なので、その瓦礫の山は多く、迷路の様に迷いやすい。

声が聞こえてくるが、何処から聞こえてくるのか、理解し辛い状況だった。


「…こっちか?」


ヨツヨシは手当たり次第移動していた時だった。

瓦礫の山が吹き飛んだ、それは、凶ツ神による攻撃によって、瓦礫の山が吹き飛んだらしい。


「…」


手を振るう。

その手の動きに反応して、彼の掌には一振りのナイフが出現する。

瓦礫が周囲に飛び散る、軽快な音で転がったり、鈍重な音で地面に突き刺さる破片。

瓦礫の山を突き抜けて、鋭い牙を剥いた凶ツ神が現れた。


「出たか」


軽く息を吸う。

瓦礫の山を貫通して出現し、その衝撃によって瓦礫が周囲に飛び散る。

その瓦礫の欠片をヨツヨシは回避すると、ナイフを逆手持ちにした状態で凶ツ神を睨んだ。

砂で出来た煉瓦を積み上げた様な、四足歩行の獣。

それは一見にして見ればスフィンクスの様な巨躯と形状をしていた。


「戦闘を開始する…っ?」


ヨツヨシがそう宣言した後。

遥か上空から、ふわふわと綿毛の様に降りてくる少女の姿があった。

着物を着込み、羽織を羽織る、手には唐傘が握られており、その唐傘による効果なのか、彼女は薄い紙の様にひらひらと舞いながら地面へと着地する。


「っ、あ、あの、…もしか、して、拝神者、ですか?」


彼女は、ヨツヨシの顔を確認した所でその様に聞いた。

ヨツヨシは彼女の言葉に頷くと共に地面を蹴って後退する。

凶ツ神がヨツヨシを狙って攻撃をしてきたのだ。

それを回避すると共に、ヨツヨシは彼女に聞いた。


「ええ、拝神者です、貴方は?」


何とも悠然としていた。

ヨツヨシの言葉に、彼女は答える。


「私も、同じ、拝神者、です、名前を、…蘭雨らんう、と言います」


そう彼女は挨拶をするのだった。

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