Episode8 朧気な記憶
「え、僕の誕生日プレゼント?」
「そうです!シャルルさんは、今欲しいモノとかあったりします?」
「欲しいモノ、ねぇ……」
シャルルは考える素振りをしては何かを思いついてはリコリスの方を見ては、シャルルはリコリスへと手を差し出す。
「???」
「なら、今からデートしてくれる?」
「で、デート??」
「うん、デート」
リコリスが首を軽く傾げながらもシャルルを見ていれば、シャルルは満面な笑顔を浮かべてはリコリスの手を掴んでは歩き出す。
「まぁ、別に構いませんけど……」
「ふふっ、リコちゃんとデートしてみたかったんだー♪」
「え、そうなの?」
「うん、そうだよー」
シャルルはリコリスを連れては大通りにある商業区間へと来ては、リコリスを服屋や装飾屋に連れてきては自分で見繕ったコーディネートをリコリスに着てもらったり、それを買ってはリコリスにプレゼントをしたりしていた。
(なんか、逆に色々と貰っているような気がするんだけど……)
「そうだ、もう1箇所だけ……いいかな?」
「え、あ、はい!」
「ふふっ、考え事してた?」
「あー、いや………こんなに、貰っていいのかなーって……シャルルさんの誕生日だってのに」
「んー、良いの良いの~」
シャルルは何処となく哀しそうな表情だが、それでもリコリスの隣に居られるという事に嬉しそうにしていた。
(こうやってキミと過ごせるのが、モノなんかよりも何よりも最高なプレゼントなんだ)
シャルルはリコリスを連れて、軍事施設の中にある一つの庭園の大きなへとやってくる。
其処には“桜”と似たような大きな樹が中央にあり、周りには季節毎の花が沢山咲かせている大きな庭園である。
「此処って、皆が秘密にしている庭園ですよね?」
「ん、リコちゃんなら大丈夫でしょ」
「………そ、そうなんですか?」
「皆、リコちゃんを大切な仲間って想っているからね」
「大切な、仲間……」
リコリスは目の前の光景を見つめては、何か白い靄が掛かっては何かを思い出しそうになったが頭を軽く振っていた。
(前回といい、何なんだろなぁ……)
(何かを思い出しそうになっても、白い靄が全てを覆い隠そうとしてくる感じが……)
「リコちゃん?」
『綺麗でしょ、リコちゃん』
「ぁ……」
リコリスは何かが見えたと思えば、その場でシャルルへと寄りかかるように倒れてはリコリスは意識をブラックアウトさせる。
【誓約違反、大丈夫、死にはせーへんで】
意識がブラックアウトする前に、誰か何処か懐かしさを感じさせるような声がしたような気がしたが分からない。
リコリスが目を覚ました時には、軍事施設の中にある大きな医務室のベッドの上で点滴などが腕についていた。
「……あ、れ?」
「あ!起きた?」
リコリスの様子を伺うようにシャルルとレーヴェが覗き込んでいて、レーヴェは耳に付いているインカムで他の幹部へとリコリスが起きた事を連絡していた。
「ごめんな、リコちゃん」
「……?」
「まさか、熱があったなんて気がつけなくて……それなのに、こんなに連れ回したりとかして……本当にっ、ごめんっ!」
どうやらリコリスは、何かしらの影響を受けては“抑止”のために肉体的なモノの機能が低下させられたようで、そのせいで高熱を出しては倒れてしまったようだ。
「とりあえず、今から軍医が来て様子を確認してくれるってよ」
「良かった……っ」
「たくっ、シャルル先生の慌てようは笑えないっての……」
「だ、だってね?いきなり、隣で倒れてくるから……それに、声をかけても……息もしてなかてたからっ」
「はいはい、んじゃー俺は見回りに行ってくるから」
レーヴェはシャルルの泣きそうな顔を見てから、リコリスの頭を優しく撫でてからダクトを使っては立ち去る。
「そんなに、心配したんですか?」
「あ、当たり前だって!た、大切な、娘を……“また”喪うんじゃないかって……」
シャルルは悲痛な表情をしながらも、眠そうにしているリコリスの頬を優しく撫でてから優しく笑みを浮かべる。
「でも、良かった………こんな僕でも、リコちゃんを助けれたから」
「ふふっ、大袈裟だって」
「そうそう、シャルルさんは大袈裟だって〜!ねぇ、リコリスちゃん」
シャルルとリコリスが話していると医務室の扉を開けてリコリスのベッドへと歩いてきては立ち止まったのは、水灰色の髪色に少し天然パーマなショートをして、少しタレ目をしたオレンジ色の瞳に銀色の縁の眼鏡を身に着けており、少し大きめな白衣をキッチリと着ている背の高い青年が可笑しそうに笑っていた。
「嫌味を言いにきたのかよ、ヨシュア」
「いやいや、嫌味ではないですよー!オレらも、同じ心境ってのが笑えただけですって!」
ヨシュアはリコリスに近寄っては、リコリスのバイタルを確認をしては手に持っていたカルテに書き込んでいく。
「流石に、5日も寝ていただけはあるね」
「え、5日!?しゃ、シャルルさんの誕生日パーティっ」
「いいんだよ、リコちゃん」
「え、でも……」
「リコちゃんが、無事なら別に自分の誕生日パーティなんて………どうでもいいんだ」
シャルルはリコリスの頬を優しく撫でてから、リコリスの額に軽く触れるだけの口付けをしては少し優しく笑みを浮かべる。
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