Episode3 一つの異変
リコリスの意識が浮上すれば、再び馬車の揺れと共に走る音がしてくる。
それと共に“死因の内容”も変わっていて、死亡日さえもが変わってしまっていた。
(どういう事なのかなー、これって)
“死因の内容”が再び変わっている事も気になるが、何よりも今まで無かった“死亡日”についてリコリスに告げてくる。
「……今日は“1月20日”で、起きるのは“2月20日”………1ヶ月後ってわけだね」
「それよりも、ついでなのかな?誰かの死を避けようとしていて、そのついでにって!誰かが提案したとか?」
施設の前に馬車が止まると扉が開いては、レーヴェとレーヴェの後ろに青黒色の髪色に少しボサっとした少し長めのショートで前髪が長めで目元を軽く隠す感じにしていて、少しタレ目の細目をした海色の瞳をしており目元には軽く隈があり、黒色の軍服を緩い感じに着ている青年が煙草を吸いながらも立って笑みを浮かべていた。
「おかえりー、リコちゃん」
「シャルルさん!レーヴェと一緒なんて、珍しいですね?」
「ふふっ、サボろうとしていたらヴィクトルに怒られたんよー酷くない?」
「それは、自業自得でしょ?」
「そうそう、それはシャルル先生の悪い癖だろ?」
「えー?」
リコリスを挟むように左右にレーヴェとシャルルが立っていて、リコリスは軽く首を傾げながらも気にしないようにしようと3人で世間話をしながらも施設の中へと入っていく。
向かったのは食堂だが、あの時のメイドの姿がなかった。
どうやら先に捕まえては地下の牢獄で拷問をしているのか、もしくは処分されている可能性が高いだろう。
「おお!ご苦労様だナ、リコリス!」
「グンナル総統閣下」
「そんなに、堅く言わなくても良いゾ!」
「それは、他に示しがつかないでしょ……まったく」
「この場で、口頭で報告を聞こうではないカ!さぁ、話せ!」
「はいはい」
リコリスは興国についての報告を口頭で言うとヴィクトルが、紙に全てを書き記しているのをレーヴェが後ろから覗いていて、シャルルはリコリスの隣に立っては怠そうにしながらも隣で聞いている。
「ふむ、1ヶ月の偵察を頼んですまなかったナ?リコリス」
「別に、仕事だし?んで、どうするの?この最悪な情報を聞いては、“総統閣下”としては?」
「今は、まだ様子を見守っているゾ」
「りょーかい、一応部下に見張らせておくから追加で何かあれば報告するよ」
「あぁ、頼りにしているゾ」
リコリス達は食事を終わらせて世間話をしてから解散すると、リコリスは廊下でシャルルに呼び止められていた。
「リコちゃん」
「んー?どうしたの?」
「1ヶ月後に予定している“パーティ”について、色々と話をしておこうと思ってね?」
「あー、シャルルさんの“誕生日パーティ”だね?」
「そうそう!毎年、ほら祝ってくれてるじゃん?それで、是非ともリコちゃんには隣に居て欲しくて……今回こそ」
「毎回、どこぞの令嬢と居たのに?まぁ、予定が入らなければ良いよ」
「本当!?」
リコリスの返答を聞いて明らかにシャルルは丸分かりなぐらいに嬉しそうにしていて、リコリスは軽く可笑しそうに笑っては目を細めていた。
「んじゃ、楽しみにしておくわ!リコちゃん、ちゃんと青いドレスでね!?」
「なんで、ドレスを着ないといけないのさー……動きにくい」
「えー、パーティだよ?パーティなんだから、ドレスでしょ!?ってか、僕がリコちゃんのドレスを拝みたいだけだから!」
「…………きしょ」
「あぁん、辛辣っ!」
リコリスが軽く引いた表情をすればシャルルは半泣きな表情をしていたが、リコリスが背伸びをしてはシャルルの頭を優しく撫でる。
「仕方ないから、ちゃんとドレスは着てあげるててば……折角のシャルルさんの誕生日だし?」
「え?」
「んじゃ、シャワー浴びて寝るから」
「ちょっ、り、リコちゃん!?」
「はいはい」
リコリスは少し恥ずかしくなりシャルルから離れてから、自室がある方へと歩いて立ち去る。
その後ろ姿をシャルルは目を細めては嬉しそうな表情をしては、自身の頭を触れてはリコリスに撫でられた事に少し頬を赤く染めていた。
「………告白、しようかな………やっと、誘えたんだし?」
「他のヤツに、リコちゃんを奪われたくないねんな………」
シャルルが小さく呟いているのを物陰からレーヴェは聞いていて、なんとも言えない表情をしてから其処から音もなく立ち去る。
自室へと戻ったリコリスはベッドに座っては、1ヶ月の“死因の内容”について考えていた。
「………悲しい想い出にさせてしまうなぁー、シャルルさんに」
「それで、自分の誕生日について嫌な印象にならなければいいんだけど……」
今回の“死因の内容”としては、“シャルルの誕生日パーティにて、シャルルから飲み物を貰って飲むと毒で殺される”。
シャルルにとって、良い日だったのが悪い日へと早変わりして“最悪な誕生日”へとなってしまうのだろう。
だが、これは“死ぬ”事で彼らが強くなって前へと進むために必要な役目なんだという事。
「ごめんね、シャルルさん」
「………後味、悪いっての……………流石に」
next
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます