Episode2 書き換えられた死




軍事国家の施設の中は、黒と白を協調させたシンプルな内観にシックな家具が配置されている。


そんな施設の廊下を歩いているレーヴェとリコリスは、リコリスの仕事の内容の話を二人で話をしていた。



「んで、どんな感じだった?」


「興国?んー、結構豊かで治安も良かったけど……」


「けど?」


「なんというかー、まぁー……それは、報告した後に総統閣下から連絡くると思うから、ね?」


「えー、それだけで大体の内容が予想がつくっての……」


「ふふっ」



リコリスとレーヴェが談笑しながら大きな階段の方へと足を向けて歩いていると、リコリスは懐にある時計からの針の音が止まったのを気付いて立ち止まれば、レーヴェも立ち止まれば振り向いてリコリスの方を見ては軽く首を傾げていた。



「リコリス?どうした?」


「っ、レーヴェ!!!」



リコリスが何かに気付いた動作をして素早く動いては、目の前にいるレーヴェを軽く突き飛ばすとリコリスが優しく笑みを浮かべると同時に、微かな銃声の音がしてリコリスの左側頭部を銃弾が貫いてリコリスは廊下で倒れては頭から血を流していた。



「りこ、りす……?」


「……」



レーヴェはリコリスへと駆け寄ると同時に鋭い目付きになり、窓の方を見れば他の幹部によってスナイパーは捕われていた。



「嘘、だよな……?なぁ、リコリスっ?」


「これから、久々に一緒にっ……」



その言葉を聞いてからリコリスの意識は完全にシャットダウンし、軽い浮遊を感じたと思えば何故か馬車の揺れる感覚と走る音がして目を覚まして唖然とした表情をしていた。


それと同時に、“死因の内容”が“レーヴェを庇って射殺される”から“食堂で食事中にメイドに化けていた暗殺者から、総統閣下の身代わりに刺される”へと変わっていた。



(どういう事?)


(そういえば、幹部の誰だか分からないけど“時間戻し”が使えるとか聞いたけど……)


(誰か別に亡くなった人が居たとか?確か、条件としては“幹部の誰かが死んだ場合、残りの幹部の全員が賛同しなければ使えない”って……)


(そうなると、あの後とかで幹部の誰かが死んだけど“時間戻し”の効果範囲の関係で私まで含めたって事??)



リコリスが考察していると馬車は施設の門の前に止まると、ゆっくりと扉が開くと無愛想な感じにレーヴェが立っていた。



「あ、レーヴェ!久しぶりだね!」


「おう……」


「どうしたの、なんか元気ないけど?」


「胃もたれしてるだけ」


「また、食いすぎたわけぇ?まったくもー、あとで胃薬作ってあげるね」


「おう」



レーヴェは“前回”の事を覚えているのかのように、リコリスの隣から離れないように歩きながらも耳に身につけているインカムの声を聞いて少し安心したかのような表情をしていた。



「ん?何か、あったの?」


「んー、どうやら“観光客(スパイ)”が紛れてたらしい」


「え、大丈夫なの?」


「おう、他の連中が捕獲したってよ」


「流石!」




レーヴェと共にリコリスは大きな食堂へと入れば、其処には自分達以外にも二人ほど先に来ては話をしていたがレーヴェとリコリスが来て話を中断して此方へと見る。


一奥の少し豪華な椅子の席に座っている一人が、明るめな金色の髪色にショートで前髪の一部を掻き上げており、切れ長なキツめツリ目をした青緑色の瞳をしていて、左耳には赤色の石のピアスを身につけては黒色の軍服を着こなし白色のロングコートを肩に羽織っている男性だ。



「おぉ、早い戻りだナ!リコ」


「グンナル総統閣下、たった今戻りました」


「相変わらず、堅めな挨拶を返すのだからナ……リコは」


「……そりゃあ、貴方は私の上司ですし?当たり前でしょ」


「リコリス、コイツの相手をしていたら食事が遅くなるぞ」



グンナルの頭を軽く叩いては呆れた表情をしてはリコリスを見ているのは、赤黒い髪色に少し長めのショートで前髪を軽く左右に分けていて、少し細めなキツめのツリ目をした紅色の瞳をしており、黒色の軍服をきっちりと着こなしていて明るめな赤色の長いマフラーのようなモノを緩く巻いている背の高い男性である。



「ヴィクトルさん、それ以上叩くとグンナルさんが馬鹿になりますよ」


「大丈夫、元からコイツは戦争馬鹿だ」


「なんか二人共、辛辣度が上がってるゾ!何気に、酷くないカ!?オレは、総統だゾ!?お前らの上司なんだけどナっ!」



グンナルがヴィクトルとリコリスの言葉に嘆いていると、グンナルの側へとメイドが食事を乗せたカートを押してやってくる。


それと同時に、リコリスは懐にある時計の針が止まったのか分かって直ぐに歩きだしてはグンナルとメイドの間に入る。



「リコリス、どうした?」


「ん?リコリス、どうしたのダ?」



リコリスがメイドの動きに合わせてグンナルを守るように立つと同時に、メイドがナイフを取り出してはリコリスの心臓ギリギリの位置を深く刺し込んでいた。



「リコリスっ!?」



リコリスが刺されて直ぐに動いたのは、ヴィクトルとレーヴェだ。


レーヴェが瞬時に動いてメイドに化けた暗殺者を捕えて、ヴィクトルは腰に身につけていた剣で暗殺者の首を切り落としていた。



「リコリスっ、嘘だろウ!?今すぐ、医務室に連絡を入れろ!!急げっ!」


「ごめ、んね………そう、と……」


「目を閉じるなっ、リコリス!!」








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