第24話

「ああ。薬丸警部たちよりは少なかったけど、俺、元一課だったからね。あかりちゃんのこともよく覚えてるよ!」

「脇谷サンに最初で最後に怒られたのは一回だけ、あのトキだったナ……。」

脇谷、

「なになに?」

「留置所で、私は今回、ひとを助けてハッキングしたノ二、どうして捕まるノ……って夜に起きて考えテタノ。」

脇谷は聞く。

「うんうんうん。」

「ソシタラ夜勤で業務外なのに様子を見回りに来てくれた一課の脇谷サンに、『そんな夜に起きたりしてたら、あかりちゃんのこと、もう誰も助けてくれなくなるよ。』ッテ言われタノ。私ハひとを助けて捕まってるノニ、怒られた。何てコトだー!って思ったネ。」

「よく覚えてるなー!あかり!俺マジで全然覚えてないわ。」

「された方は、した方より覚えてる、って言うやんな!」



 海の前の道路の防波堤にて、夕日が沈む前に着いた一行。次々に降り、ドアを閉めた。

 駆け寄り集まる。

 日が沈む海を見つめながら。

巣川、 

「終わりましたねー。」

三宅、 

「今回の事件も、996係&一課。心、救出大成功、っすね!ひひっ!」

小林は、

「海、って好きなひと以外に多いんかな?」

西井、

「そりゃ多いでしょ。海に恋して移住するひとだって、いっぱいいるらしいし。」

早川も、

「そうね。私も海は好きです。」

尾野!

「僕も好きです。」

「尾野さんの、告白みたいっすね。」

と脇谷。

薬丸は 

「俺は池でいいや。」

兒玉が  

「それはどうかと思うー。」

「海は壮大な地球の母よ!海って綺麗で、ロマンチックよね!」

と木内。

一本杉は、

「智恵ちゃん、夢おっきいなー。」

福多も笑う!

「汚い海も多いですからね。」

小名呂

「汚すのも、人間なんですけどね。」

中村、

「現実的な、自然環境問題に、話移ってません?」

薬丸が腰を伸ばしながら、

「まあ、また来ような。この思い出の海に……。」

尾野が元気よく

「薬丸警部がその気でよかったですね!」

木内は微笑!

「そうね!池、って(笑)」

「あれは低めに言いすぎた。」

「じゃあ、帰りますか!いつもの日々に!ひひっ!」

「事件が俺らの、いつもの日々でもあるけどな!」

小名呂も、

「そうですね!」

薬丸が!

「平和な日々は願うものだ。帰るぞ!走れ!お前ら!」

全員!

「えー!」

   防波堤を軽やかに

   夕日バックでみんな走り出す。

♪〜いきものがかり あなた〜♪

赤ちゃんを抱き、自分の車で来て、みんなが夕日バックではしゃぎ駆ける写真をこっそりと撮る水野。






落ち着いた、警視庁内でのこと。

「あー!はやかわたん!待ってよー! 行っちゃったー。あっ!あゆたん警視庁来てるじゃん!おーい、あゆたーん!薬丸さんだよー!」

 帰って来た薬丸。

「だめだ。フラれた。」

「そもそも見られてないわ!それに浮気やん!」

「いや、これはそうじゃない!ただ、どっちも好きなだけだ!」

「それを浮気っちゅうねん!さらに嫁もいるし!」

「でも、警察の男社会の中で、周りに華やかな女刑事が集まるのは、我らが気が多き男、薬丸警部のおかげですもんね。」

「尾野君、それ褒めてんの?」

「ねぇ、薬丸警部。浮気って、どこからが浮気なんですか?」

「そういやミッチーも、元総監による、かの激写疑惑があったな。ミッチーは美人だし、仕方ないさ。俺は……デブだしブスだけどー、狙った女の子は全てゲットできる自信がある!」

「さすがプロの浮気男!」

「浮気浮気言うなよ!俺はそれぞれ一途に恋してるんだ!むかーしむかーし、さなえとさなこと付き合ってたときに……」

「浮気な。」

「うるさいっ!聞けっ! 二股を疑われてたときに、さなえの前で、『さなこ!』って言ってしまって。」

「あー! それはー!」

「ヤバイっすね。」

「そう、一番やってはいけないことだ。彼女の名前を、間違って呼ぶ。これ浮気がバレる最大の原因。」

「一番やったらあかんのは、そもそも浮気やと思うけどな。」

小林のツッコミは的確に刺さる。

「さなえに問い詰められて、『さなえ!どっちも好き、じゃダメか?』って言ったら……。」

「どうなったの?」

木内は身を乗り出す。

「バチっとビンタされて、別れた記憶がある。はああああ!」

「そらそうやわ!」

「それからもいろんな出会いと別れがあってー。」

「それで30代でバツニなんですね……。」

「今はもう嫁ちゃん一筋だ。もう俺は、女の子を泣かせない。」

「こんだけフラフラして、よう言うわー!」

「俺の生き方は、レールに定まらず、フラフラーっと生きる。行くところで、俺らしく、

心をケアする。そして、自分がやりたいことをする。なんちゃって!それが俺の良いところだ。」

「確かに、薬丸警部の魅力、長所にも当てはまりますね!」

「良いとこは、良いけどねー♪」

「薬丸警部って、タバコとおやつの匂いはするけど、臭くないわよね〜。」

「ああ。デブでブスで、臭かったら最悪だろ!匂いには気をつけている。」

「おーい!」

「ぽんくん!」

「激砲だぞ!中口が電撃結婚退職だ!」

「おー!あいつもとうとう結婚したかー!退職したのか。」

「いや、それは冗談で!」

「冗談か〜い!」

「中口は県警に移動になった。希望して、ということだ。」

「警視庁でバリバリしたいんじゃなかったのか?まあ、何かあるのかもな!」

「と、いうことで丁度水野が子供が生まれ早速復帰することになった!」

「あゆたん、出してすぐ戻ってきて、大丈夫か?」

「水野の意思だし、たぶん大丈夫だろう。水野はいい戦力だ。短時間から無理させず、少しずつ業務に戻ってもらう。薬丸、よかったな!これ、水野からだ!」

「ああ!えっ?あゆたん、この写真……。夕日の、走ってた海、来てたのか!夕日バックにみんなの影が……キレイ!中口の送迎会しないとな!」


 改めて別の日。

 鳥の囁き声が鳴き交わしている。

水野が撮った写真を手に見つめゆったり一服する薬丸。

「ザザザ……こちら捜査一課水野。996係!応答せよ!」

「はあーい!おかえりあゆたん!今日はいつもに増してとってもキレイー……キレてる?」

「無線、何回も呼び出してるのに出ないじゃないですか!」

「おー!ごめんよー。あゆたんが復帰だからお誘いがくる前に、一服を先に済ましとこうとー。」

「もう!タバコの吸いすぎは身体によくありませんよ!お誘い、って。事件です!事件。前代未聞のサイコパス。あなたたち、心のプロ刑事の力が必要。集合場所は、取り調べ室よ。996係、訳して心係。うんと活躍してもらいますよ!」

「ああ、あゆたん!今日のおやつはー、チーズおかき!これめっちゃ太るけど、めっちゃ美味い!さあ、お前ら行くぞー!」

ブチっ。ザザザ。

「もうっ。薬丸警部は。996係、これからも、ひとつひとつの心と、向き合って生きていくのでしょうね。一本杉警部。」

「ああ、俺らも前に進むぞ!さあ、まずは取り調べ室へ行くか!」

「はいっ!」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る