第7話 変なガキが来た。
傘下に変なガキがいる。
水の魔法が使える。しかもやけにうまい水を出せる。
魔法を使えるのは珍しくもないがあの水は格別にうまい。偶にそういうガキは出てくるがだいたい神殿かお貴族様で平民にはほとんどいない。
一見してその髪から可能性には気がついた。
水路に落ちていたのを拾って俺が使ってやろうと思ったが、治させた次の日には息子のどいつかが連れて行ってしまっていた。
「何勝手してやがる!」
「あら?あんたが次の部下はパキスのだって言ってたじゃない?」
「……言ってたか?」
「飲みながら言ってたよ!パキス嬉しそうだったわ。初めての部下だーって」
まぁ……死ねばそこまでだ。ガキが育つまで待つなんて出来ないしな。
たまに呼んで俺の水を入れさせてみたがなかなかに具合がいい。なにせ酒では毒があるかわからん。
それに言われたことしかしないぼんくらと……いや、言われたことも出来ないぼんくら共と違って気が利く。瓶の汚れも報告するし金を数えれば俺が見やすいように分類する。
金に毒が混じってるかもしれないなんて初めて聞いたが……確かに言われてみれば鉱山で毒が出るなんてよくあることだし、何が入ってるかわかりゃしねぇ。金に入っていても不思議ではないわな。
小さなガキだというのになかなか役に立つ。
「パキスにゃ悪いことをしたがまぁ良いだろう……」
「カシラ、なにか言いやしたか?」
「なんでもねーよ」
息子共には使えそうな部下を一人ずつつけている。武力を持ってこそ力を振るいたくなるものだし、その行動でそいつが何がしたいのか見えてくる……俺への裏切りも含めて。
パキス付きからこっちにこさせたのは悪い気もするが俺の仕事の役に立つのなら話は別だ。
掃除と言っていたフリムだが何処に行ったのだろうか?ちょうど仕事の合間で居なくなって帰ってこない。新しく届いた果物食わせようと思ったのに。
だが、すぐに何をしたのかすぐにわかった。少し雨の当たる廊下がそこだけピカピカで滑らず、トイレが……空気が少し湿っているがトイレがやたらときれいなのだ。
「「「おー」」」
「凄いわね!向こうのトイレも綺麗にして!」
「何さ言ってんのよこっちが先よ!!」
「フリムちゃーん!」
集まって何かを見ている子分共を後ろから覗くと猛烈に水を出しているフリムがいた。
とんでもない勢いで掃除している……いや、あの水の勢い、賢さも普通のガキじゃないがあれはお貴族様の魔法兵みたいなものじゃないか?!
歳の割に賢すぎるしおかしな部分はある。まだ俺にビビってるのはわかるし裏切りも考えなさそうなのも良い。
「あ、親分さーん廊下とトイレ掃除してましたー!」
「おう、良くやった!飯食うぞ!!ほら散った散った働けお前ら!!……たくっ」
まったく良い拾い物だっ!
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