第2話 ナイトメア part.2

 一方、クロノでは牢屋の奥まで歩いた。そこは部屋というよりあまりにも広くて深かった。そこの暗闇の中で唯一の光はクロノが持っているランプだ。そして、彼女自身の足音が聞こえるくらいの不気味な静かさ。しかし、クロノは全く気にしていない。むしろ、この不気味な雰囲気に慣れている。おそらく彼女がスペクターだからかもしれない。


「まったく、ここは凄い臭いだなぁ〜。まるで人間の死体の山積みがあるみたい」


 更に奥へ進むと悪臭がどんどん強くなってきた。彼女は自分の鼻と口を手で押さえ始めた。クロノはこの道がどこまで続くか全く、見当が付かなかった。


「フン?」


 クロノは煉瓦の壁に何かを見たので、すぐにランプでそこを照らした。その煉瓦の壁は他の壁と違ってちょっと大きかった。クロノは煉瓦の壁に手を置いて見たら、そこの隙間から風が吹いているのを感じた。クロノは迷いなく壁から少し離れて、そして、壁に蹴りを入れた。その壁が簡単に崩れた。崩れた壁の先に秘密道が現れたと共に更なる悪臭が流れてきた。


「ビンゴ! フフッ、これは面白くなりそうね」


 クロノは恐れることなく、その秘密の道に入った。しばらくすると床に照らしたランプの光が何かを映した。クロノがそこで足を止めてそれを調べ始めた。彼女はしゃがんで、持っているランプを彼女の近くまで持ってきて地面で溢れる液体を照らした。そして、クロノは指でその液体に触れて見た。


「これは血じゃないか?」


 クロノは少しランプを上げて、暗闇の中で血が流れてくる元を探そうとした。地面のいたるところに、乾いていて新鮮な血があったようです。煉瓦の割れ目から血が滴り落ちることもあり。


「フッ、なんだかワクワクなってきたね」


 クロノは次次と出会う、この奇妙なことに楽しんでいるみたい。その時、彼女は壁の向こうから誰かが話しているのを聞こえたが音が小さかったので彼女は耳を壁に当てた。


 打って変わって城の荘厳な客室。レディエリザベスとサイモン卿はおしゃべりをし、陽気にお茶を嗜んでいた。部屋全体にまばゆいばかりの明かりを散乱させる巨大な硝子のシャンデリア。部屋の床の深紅のカーペットはわずかな隙もなく敷き詰められ塵一つなく清掃されている。大きなコーヒー色のソファは、ゲストがそこに座ってこの美しい部屋を賞賛するために、客室の真ん中に空のままにされた。彼らがお茶を一緒にすすったときに彼らの談笑する声が部屋を満たした。


「ハハハ、レディエリザベスはとても面白い方ですね」


「そんなことはありませんわ、サイモン卿。それをお気に入れてとても嬉しいですわ」


「ハハハ、それはよかったです。しかし…すべてが順調に進んでいますね、レディエリザベス」


「ええ、もちろんです。サイモン卿が要求したスペクターを作るための材料は納期に配達します。サイモン卿ただお支払いの御用意のことだけを考えていただければ結構です」


「そのこと、問題はありません。レディエリザベスは安心してください…」


「フフ、それを聞いて本当にうれしいですわ。サイモン卿をビジネスパートナーに選んだのは正解ね」


「時代はもう変わった。私たちはまだ過去に囚われたら全てを失うことになるでしょう。私の主人は間違った事を正しい方向に修正するためにその力を必要としている。この両手で支配できる時代が来る…」


「パチパチパチパチ、それはとても素晴らしいですわ、サイモン卿。わたくしもそう願っていますわ…」


「この仕事が成功すれば、レディエリザベスの一族にも大きな貢献をいただくことになるでしょう。その時が来たら必ずお礼をします」


「それはとても光栄ですわ」


「さあ!!成功のためのカンパイです!」


「フフッ」


「ギンィィィ…」


「そうです。サイモン卿が食べてほしい最高なおやつがありますわ。このお茶にとても合いますよ。サイモン卿はいかがですか?」


「では、いただこう」


「パチパチ、おやつを持って来なさい!」


 合図の後、使用人のメイドがピラミッドの形に並んだ銀菓子を持って入って来た。そのメイドが歩いてきて、二人が座っているテーブルの前に置いた。


「どうぞ、召し上がって下さい」


「では、いただきます」


 サイモン卿は美しい色クッキーの一つを口に入れる。それを味わう彼の表情は、レディエリザベスを満足させた。レディエリザベスもそのおやつを味わった。


 しかし、二人とも美味しいおやつを楽しんでいる間にメイドは大変な失態を犯した。彼女はテーブルに置かれた熱いティーポットを誤ってこぼしてしまった。火傷するくらいの熱湯が飛び散り、レディエリザベスの顔に飛び散った。レディエリザベスの顔が悪魔のように恐ろしい顔に変わる。そして、そのメイドを見つめた。メイドさんはおびえ全身が震得ている。彼女は頭を下げて主人に震える声で謝罪する。


「た…大変、申し訳ございません。レディエリザベス 私は…あ のっ」


「彼女を連れて行け!二度とわたくしにそこの顔を見せるな!!」


「レディエリザベス!!どうか、お許してください!!」


 レディエリザベスの猛烈な怒り声が容赦なくメイドに向かって叱った。そして、赤の騎士がやって来て、そのメイドの髪を引っ張って主人の前で土下座させた。そして、メイドを部屋から引きずり出した。メイドがどんなに情けを訴えてもレディエリザベスは無視する。


 サイモン卿が自分を見ているとわかったレディエリザベスは自分の怒りを納めた。まるで何も起こらなかったかのようにすぐに行動を変えた。


「………申し訳ございません。サイモン卿の前に見苦しい所を見せた事、 お許しください」


「お気にならず…今日はそろそろ失礼するとします。私はまだやらなきゃいけない仕事が残っています」


「もう、お帰りですか? もう日暮れですよ、サイモン卿。まもなくパラレルナイトがやって来るので、ここは一晩お城に泊まった方が良いかと、貴方のために特別なお部屋をご用意しますわ、どうでしょう?」


「ハハハ〜 レディエリザベスのお気遣いに感謝します。しかし、ご心配なく、私の馬車には優れたブラッククロスの技術で作られた発明品が光の晶のように神聖な盾を発生する事ができる。これがあれば、パラレルナイトの結界から完璧に守ることが出来ます」


「これは~なんて素晴らしい。まさか、ここまでブラッククロスの技術を進めだとは思いもしませんでした。それならもう、心配する必要がありませんね」


「それでは今日これにて失礼します」


「私はあなたを引き止めるつもりはありません。サイモン卿、わたくしが送りましょう」


 会談は一人のメイドのミスで終わったようだ。レディエリザベスはこの一件についてまだ機嫌が良くない。彼女はサイモン卿を馬車まで送る。メイド達は並んで、サイモン卿が馬車に着くまで見送りに同行した。メイドたちは淡い顔でお互いを見て、居間であったことを知っているようだった。そのメイドの懇願するような叫び声が城全体に響が渡ったことからそれは驚くべきことではなかった。


「ではまたお会いましょう、レディエリザベス」


「そちらこそ、気をつけてくださいね」


 お別れの声と共にサイモン卿の馬車が城から出た。レディエリザベスは悪魔のような目をメイドに向けた。メイド達はレディエリザベスの目を合わせなくしても、彼女達はレディエリザベスの怒りを感じることができた。


「お前達、早く自分の仕事に戻りなさい……」


「はい、レディエリザベス」


 メイド達は何も言わずにそれぞれ自分の持ち場に戻った。ただ、アンナとマーガレットだけは持ち場に戻るときに小声で話をした。


「ねえねえ、アンナ、何かあったの?教えて」


「本当に何も知らないの?マーガレット、あなたは今までどこに行ったの?」


「まぁ、はやく教えて」


 マーガレットはアンナの耳にささやきました。どうやら、彼女は何が起こったのか知らないようだ。あまり真面目ではないマーガレットの性格だから彼女はここで起こった事に対しあまり気にしていなかった。


 アンナは周りに誰かがいないかを見回した。彼女は誰にも自分達の話を見られたくない、特にレディエリザベス。安全だとわかったアンナはマーガレットに今までの事を話した。


「うん…なるほど、あのメイドさんは本当に運が悪かったね」


「怖いですよ、あの人は何をされるかわからないし」


「私たちは真面目に仕事をすれば十分でしょう」


「マーガレットって、そんな事も言えるの?」


「何―、このデカイメガネ女」


 マーガレットはからかってきたアンナの頬をつねった。付き合いの長い彼女達の友情は女性らしいの可愛さを見せてくれる。


「ひはいひはい、ほへんははい」


「よし、許す。私はもうそろそろ仕事に戻るわ。またね、アンナ」


「ウム、またね」


 二人はそれぞれ自分の持ち場に戻った。アンナが担当している城の地下の掃除場所は今いる所から結構離れています。レディエリザベスの食事タイムまでにすべての仕事を終わらせないと彼女は急いで走った。彼女はあの不幸なメイドと同じ目に合いたくないからだ。


 アンナが城の地下に到着すると、すべての灯が消えている事に気付いた。彼女は近くのライトスイッチを探して見たがなかなか見つからないので彼女は諦めて、そのまま暗い闇の中に歩いた。彼女は暗い所が苦手である幸いなことに外の庭からの少しの光が窓から小道に照らした。


「もう~、なぜ、私はこんなに運が悪かったの… こんな時に通路のライトが壊れるとは」


「あっ…おっ…おっく か こっく…くっ…」


「…? 何の音。」


 道中でアンナはどこかから奇妙な音が聞こえた。彼女は目を一掃して音の元を探した。やがて交差点の角まで歩いていくと廊下の端にある部屋のドアの隙間から溢れる光に気づいた。アンナは静かにその部屋の方に向かい部屋を覗いた。そこで見た光景はあまりにも衝撃だったので、彼女は自分の口を塞いだ。


 血だらけの部屋で空中に浮かんでいるあの不幸なメイドが赤の騎士に首をきつく絞めている。彼女の全身を刺した触手は不幸なメイドの体からも血を吸っていた。痛み苦しむ声が断続的に聞こえる。恐ろしい光景だった。彼女の体は皮膚が骨につくほど吸い尽くされ、棺に横たわっているミイラのようだった。最後の声が枯れ、彼女の体はもう動かなくなった。触手の中はメイドの新鮮な血で満たされていた。赤の騎士は、乾いたぼろきれのようなメイドの体を、目の前の古い井戸のように見える穴に投げ込んだ。


「何なのあれ? 化け物?」


 あの光景を見た彼女は恐ろしかったのでしばらく体を動けなかった。アンナは早くここから離れるようにと正気を取り戻そうとしている。さもないとあの赤の騎士に気付かれたかもしれないからだ。彼女はできるだけ誰にも静かに気付かれないように早くそこから離れようとしている。


 彼女は十分に離れたと思ったらアンナはすぐに暗い道の方に逃げ出したが彼女の後ろからあの赤の騎士がドアの隙間から覗き込んでいると知らずに。






 一方、クロノが偶然に壁の向こう側でレディエリザベスとサイモン卿の話を聞いた。そこで彼女は先の話を思い出して考えたらわずかなにやにや笑い声を上げた。


「フン~、これは思ったより面白くなって来た。さて、他には何を隠しているかな? レディエリザベス」


 クロノは良いことを聞いた後、熱心に捜査を続けた。それは自分の主人がこの城に隠していたものを見つけたくなった。そして、しばらくすると彼女は複数の人間死体の山を見つけた。彼女はその死体の山に光を照らして、その死体を調べ始めた。クロノはその死体を触りたくなかったため金色の金属の棒を作り出し近くの死体を調べた。


「うん~ あのオヤジが言っていた行方不明になったメイドのようだな。可哀そうに…」


 クロノは再び前の死体に光を照らしながら呟いた。


「レディエリザベス、アンタは今まで何人を殺して来た?」


「!?」


 上から何かが落ちて来るのを聞いて、クロノは突然止まった。彼女は急いで持っているランプを天井に向けた。そこには天井にかなり大きな穴があった。穴から音がどんどん近づいて来る。クロノはすぐに金属棒を振って戦闘体制に入った。


 しかし、近づいて来る物はなんと血塗れのメイドの遺体が天井の穴から落ちて来た。それがただの不幸な被害者だと気づいたクロノは武器を下ろした。そして、金属の棒を取りだして、その遺体を近くまで近づけさせた。今度、彼女は手で直接に遺体を調べた。何かを探しているようだ。


「完全に血を吸われたのか? でも、この遺体はまだ暖かかい。死んだのはついさっきみたいだね」


 クロノは天井の穴を見上げて、新たな死体がまた落ちて来る前に手を打つことに決めた。クロノはすぐにその場から離れ上の階を目指した。彼女は近道を探したが、その道は闇と壁だけだ。


「……うん~ まずいな〜 先、どこから歩いて来たのかな… どこを見ても暗いなぁ、はぁぁぁ… あっ!? そうだ!忘れていた」


 クロノは突然、自分がスペクターであることを思い出した。クロノは持っているランプを消し、すべてを暗くした。そして、彼女は影に入り素早く障害物を擦り抜いた。


「スルッ」


 次の瞬間、クロノは城の壁の影から飛び出した。影を使って上手く障害物を擦り抜けたようだ。しかし、突然に大きい眼鏡メイドのアンナが目の前に現れた。彼女は物凄くの速さで走って来たので、足を止める事ができなかった。


「!!?」


「ドン」


「いたあぁぁぁぁぁ~」


 クロノとアンナはぶつかって、顔が真っ赤になりながらその場で倒れた。


「いたあぁ~、アンタはどこから走って来たのよ?」


「それは私のセリフですよ… いや、そんなことより早くここから逃げなきゃ。クロノちゃんも早くここから逃げましょう」


「なぜ逃げないといけないの?」


「説明する時間がありません。他のメイドにも伝えてなきゃ」


「待て 待て、 まず落ち着け」


「お願いだから来て下さい」


「ねえ、ちょっと!!」


 アンナはクロノの腕をつかんで走り出した。混乱しているクロノはそのままアンナに引きずれられた。二人はしばらく走ると、クロノは彼女の腕を引きずっているアンナに止めるようと話した。丸いメガネのメイドさんがゆっくりと立ち止まり、涙を流しながらクロノの方を向いた。


「!! ちょっと、なぜアンタが泣いているのよ」


「ヒック…、怖いです…私どうすればいいのですか?」


「まず、落ち着いて、ゆっくり話しなさい」


「うん…シクシク」


 アンナはエプロンで涙をぬぐいながらようやく落ち着いてきた。アンナとクロノは、陽を取り込む大きな天窓の縁に座った。足元には暗闇に沈む廊下が続いていた。アンナは落ち着きを取り戻し、クロノに目撃したすべてを話した。


「へい、なるほどね」


「クロノちゃんは怖くないの?」


「はっ! 怖いと言う言葉は私にないさ。私はスペッ…ウッ (いけない、いけない、このことを言ったらこいつはおショックを受けるかも)」


「スペ…??」


「何にもないわ… ここは私に任せて」


「どう?」


「さぁ、分からない…」


「……フフッ」


「笑うな、急に質問されたら私だって答えられないわよ」


「ごめんなさい、誰かが私と話しかけると、少し安心なってきた」


「そう…うん…良かったね」


「前から気になったけど、クロノちゃんは普通のメイドじゃないね」


「!! な なぜそう思う」


「だって、選抜の時にレディエリザベスの前であんな失礼なことを言っただけでなくご主人様に向かってそんな反抗的な態度までするメイドはどこでもいないでしょう?」


「……仕方ないでしょう!あのご主人ってやつが嫌いだから、ところでアンタはどうしてここのメイドになることを選んだの?」


「私は最初からここに来るつもりじゃなかった」


 アンナは自分のひざをぎゅっと抱きしめた。どうやら彼女は事情があってここのメイドになった。アンナはクロノと話し続けると、彼女は少しずつ落ち着いてきた。彼女は長い付き合いの友人のように、クロノに悩み事を話した。


「私の家族はとても貧しい家族です。今まで私たちは貧乏な生活を送って来ました。どんなに一生懸命働いても、この苦しみから逃れることはできません。私たちと一部の町の人達が生活している土地はすべてレディエリザベスの所有物です」


「あのマーガレットの奴もそうなのか?」


「そうではないよ。マーガレットは子供の頃から両親に孤児にされていた。彼女には弟と妹しかいない。彼女と兄弟と一緒に住んでいる孤児院もレディエリザベスの土地にあったから、お金を支払わなければならなかった。マーガレットは兄弟と孤児院を助けるためにメイドとして働く余儀された」


「フ、なるほどそれは驚くではないな。アンタたちはあいつの土地を使っているから使用金を取られたね」


「うん、そうよ。私たちはレディエリザベスに借金を支払う余裕がないのだが、ある日、レディエリザベスは娘のいる家に、今までの借金を消す代わりにメイドとして働いてもらうと言う条件を出した。そして、女の子が選ばれた場合、すべての借金が無くしてくれるだから、私たちはメイドを募集する必要があった」


「フン~、で選べなかった人や息子のいる家はどうなる?」


「他の場所に連れて行かれたのを知っているだけど、どこに連れて行かれたかはわかりません」


「アンタはサ・センターに報告したことはあるか?」


「私たちはサ・センターに報告しましたが、どうやら彼らは私たちのことをまったく気にしていないみたいです」


「気にしないではないわ…」


「えっ?」


「恐らく、その報告らは上層部に届く前に妨害された可能性が高いと思う」


「そうなの…」


「よく考えて見て、人々が信頼するサ・センターが自国民をこのような事を見越すわけがないでしょう。彼らは自分の名誉を守るためにいろんな事をするのよ」


「…そうですね」


「アンタが言っていたゲストはとても怪しいわ。恐らく、何かの利益のためにレディエリザベスと協力しているかも?」


「じゃ、私たちはどうすればいいの?」


「…分からん」


「はっ!?」


「分からないわよ、考えるのはもう面倒くさいわ。でも、今はお客さんを迎えに行ったほうがいいじゃない」


「お客さん?……!!!!!」


 アンナの顔が一瞬に青ざめた。彼女が座っている廊下に突然大きな影が現れた。そう、彼女を追いかけていた赤の騎士だ。彼らは彼女達の前に恐ろしい黒いオーラを放った。


「下がって…」


「クロノちゃん、何をするの?」


「戦いの準備を…」


「でも、あれは人間じゃないよ、クロノちゃん」


 クロノは恐ろしい赤いきらめきの目でアンナの方を向いた。


「私だって人間ではないわよ…フフ」


「……クロノちゃんあなたは一体?」


「この話は後だ。アンナ、アンタはマーガレットと他のメイド達に急いでこのいかれた城から逃げなさいと伝えろ」


「 で…でも、私を信じる人は誰でも、何が起こったのかを教えてくれれば、きっと私を笑うでしょう。」


「いいえ、私を信じなさい。間もなくこの場所は破壊されるわ。皆は慌てて逃げるだろうね…さあ、今すぐ急いで」


「うん、はい」






 一方、昼野のでは、彼がかなり慌てています。それは太陽が地平線に沈むとパラレルナイトがいつでも現れるからだ。


 そして、城が神聖な結界を展開するとクロノが被害を受けるかもしれないと心配している。


「くそっ、神聖な結界のことをすっかり忘れていた。早くクロノにあの城から脱出させなきゃ!でも、どうやってあいつと連絡するの?」


 そして、昼野はクロノが彼の前に影から現れた時を思い出した。彼はクロノと同じように影に入ろうとする。しかし、彼は彼女のようにと同じことが出来るかどうか、彼はわからなかった。


「よし、やってみようか」


 昼野はバイクのエンジンを起動し、彼とバイクが入れる木の影にバイクを向けた。


「行くよ!!」


「ブロロロロロ」


 昼野はスピードを出して木の影の方に走った。 昼野は木にぶつかるのを恐れて目を閉じた。


「ズバッ」


 一瞬の出来ことで彼が木の影に向けて走ったバイク共に別の場所に現れる事が出来た。しかし…


「はっ!? ここはどこなんだ??」


 昼野は影を抜けた先は全く知らない森に出た。影を通る事が成功したものだが、出た先は彼が望んだ場所ではなかった。


 そして、昼野は再び影に通ってみた。その結果、彼は第四地区の街の路地に現れた。


「……マズイ これはマズイよ!これじゃ、行先を設定ができないじゃないか、あの時はあいつに聞けばよかった」


 仕方なく昼野は出来るだけ城の近くまで影を通り続けた。彼は可能ならクロノがいる場所の近くに現れる事を期待していた。何故なら数分後に太陽が沈むところだからだ。






 不穏な空気があたりに立ち込めている。クロノは恐れもなく敵である赤の騎士と挑んだ。彼女は黄金の金属製の警棒を再建し、交戦した。アンナは皆ここから出るように警告するために急いでマーガレットとメイド達の所へ走った。それを見たクロノはもう心配する事がなくなった。


「固まって、どうしたの? まさか、私の事が怖いのか?」


「うわあぁぁぁぁ!」


 赤の騎士の鉄仮面は大きく開いていて、大声で咆哮している。彼は突然、顔から数十本の針が突き出た透明なガラス管のような触手でふらふらと揺れ動くと、すぐにクロノに突っ込んできた。


「うわっ! 気持ち悪い」


 クロノは金の金属棒を振り回し、向かって来る触手を払い落とした。 その触手らはクロノの金属棒に切り落とされて色なところに落ちたが、切り落とされた触手は動き出しクロノを追いかけ始めた。クロノはどこに逃げても、触手もそこに追いかけるだろう。


「ちっ…本当にしつこいわ」


 クロノは赤の騎士に接近しようとするが、うるさい触手が彼女を邪魔した。クロノは少し引き下がった。この状況を逆転するために何か役立つ物を探し回った。


 ほどなくして、クロノは廊下で展示されている鎧騎士の手に剣を見つけた。彼女はすぐに展示されている鎧騎士に駆け寄り、その手から剣を抜いた。彼女はその剣を戦いの最中にきらめく黄金の剣に変えた。


「これーいいものを見つけたわ、フフ」


 迷いなく瞬時に触手らの方に向かった。彼女は手にしている金の剣を振り下ろした。触手は切り裂かれて、次々と地面に落ちて行く。そして、赤の騎士はクロノが彼の方に向かって走って来るのを見て驚いた。すぐさま大剣を脇に引き、顔に食い込もうとするクロノの刃を捕まえた。


 人間離れした赤の騎士団の力に圧倒され。クロノは剣を振り落とされ、蹴飛ばされた。


「!!…くそっ。」


 クロノはもう一度攻撃を仕掛けるために空中回ながら着地した。しかし、彼女は赤の騎士の触手に縛られた。さらに赤の騎士がクロノの方に突っ込んできて、手にしている巨大な剣をクロノに振り下ろした。


「ウオォォォォ」


「フ、一筋縄には行かないようね。ならば…」


 クロノは振り下ろして来る巨大な剣を避けた。その巨大な剣はわずかに彼女の鼻の先を通過した。攻撃の後、あまりの重さで巨大な剣を振り下ろした赤の騎士は一時動きが止まった。この瞬間、クロノが赤の騎士に近づけるチャンスだ。


 クロノは金の剣を赤の騎士の首あたりにある隙間に剣を入れた。赤の騎士の兜が肩から落ちたが、それでも彼は動揺することはなかった。その頭のない体がまだクロノを捕まえようとしてクロノの方に向かった。クロノはこの状況を確認するために赤の騎士から距離をとった。


「ホウ~ テメイはどこまでしぶといのか、だったら木っ端みじんまで潰してやる」


 クロノは剣を手に取り、再び攻撃体制に入った。彼女の手にしている金色の剣が帯電し赤い光を発する。次第に火花が激しく散りはじめクロノの体をそのエネルギーで包んだ。


 赤の騎士は再び巨大な剣を掴み、クロノの方に向かった。地面を踏みしめる足音はの振動は、凶暴な野獣のようだった。手をひび割れさせ、剣をクロノに全力で打ち込んだ。


「さあ、テメーはこれを耐えられるかな……」


「はぁぁぁっ!! ビリビリ~」


「ドンンンンンンンンンン!!!」


エネルギーを満々に操る黄金の剣が、一人前の赤の騎士の顔に叩きつけられる。 金の剣が赤の騎士団と衝突したとき、一瞬大きな音と眩しさが燃え上がった。


 城全体に爆発の音が響いた後、クロノと赤の騎士の戦いはチリの舞う廃墟に変わった。クロノ自身は負傷していないものの金の剣はゆっくりと砕けていった。そして混ざり合ったほこりの中で、クロノの前に影が現れた。それは上半身が二つに分断された赤の騎士だった。赤の騎士はそのままもう動かなかった。巨大な剣も彼の手の中で粉々に砕かれていた。


「フン~ こいつ意外と硬いなぁ~ あんな攻撃を食らったのにまだ、立つことができるなんて、まあいいわ、これで終わりだ。しかし、こんな大きな音がしたら彼女はもう気づいているだろう」






 家具や壁に美しい彫刻模様で飾られた寝室。レッドカーペットに天井から石やペンキの小さな破片が落ち始めた。突然の爆発音でカーテンが揺れ、 怒りの歯を食いしばりながら悪魔のような顔をしかめながら立っていたレディエリザベスは、起きている事に気づいた。


「この…虫野郎。よくも私の美しい家を壊した。わたくし!わたくしは!!お前たちを一人残らず潰してやる。『アイアン・メイデン!!』皆殺しなさい!!一匹も残らず」


「シンンンンン~」


 レディエリザベスの後ろにいる他の二人の赤の騎士は、巨大な剣を手にして彼女の命令で動いた。彼らは城のすべての人々を狩り殺し始める。


 一方アンナは、マーガレットと他のメイドがいる灯りが煌々と灯るダイニングルームに向かう。そこで準備していた他のメイドたちを呼び集めた。部屋の真ん中に白いテーブルクロスが長いテーブルが綺麗に覆われている。クリーム色のクッションが付いた磨かれた木製の椅子は、テーブルの長さに沿って配置されている。集まったメイドたちも物音には気付いていた、何が起きているのか、ささやきあっていた。


「マーガレット!!」


「アンナ?」


「急いでこの城から出ましょう!」


「なに? 何が起きているの?」


「説明時間がない、早くっ…」


「ドンンンンンンンンンンンンンンン!!」


「きゃああああああああああああああ!!」


 突然、赤の騎士の一人が部屋の壁を突き破って中に入って来る事に全員が叫んでいた。メイド達は逃げ回る所に赤の騎士が巨大な剣を持ち上げてメイド達を殺す準備した。


 まだ、そこにいるアンナとマーガレットはでただ抱き合っていた、彼女はそこから逃れられないほど怖がっている。その時鋭い金属音が響いた、金の剣が赤の騎士の頭を突き破り、向かいの壁に激しく衝突した。同時に、赤の騎士の手から落ちる巨大な剣と同じように倒れた。


「ヘッドショット!!」


 クロノは、赤騎士が開けた壁の巨大な穴から入ってきた。


「クロノちゃん! 無事だったんですね!」


「フ、当たり前さ…」


「しかし、アンタたちはどうしてまだここにいるんだ?早く逃げろ」


 背後から瓦礫の崩れるような音がした。見ると赤の騎士は再び立ち上がろうとしていた。クロノが投げた金の剣を頭から抜き取り、取り落とした巨大な剣を手にした。アンナとマーガレットとメイドたちは赤の騎士がまだ生きているのを見て再び恐れた。


「何をしている?早く走れ!!」


「は、はい!!」


 メイドたちが部屋からいなくなった今、クロノは存分に赤の騎士団と戦える。 しかし、彼女の前にさらなる問題がやって来て、彼女を困らせた。彼女の前に二体の赤の騎士が現れて、そして、最初の倒した赤い騎士まで引きずって来た。


「…まったく、本当に厄介だわ。あの女がこの三匹の番犬を飼っていることを知っていたら、最初から全力で出すべきじゃなかった」


「シンンンンン~」


 二体の赤の騎士が一斉にクロノを攻撃仕掛けて来た。そして、もう一体の赤の騎士の残骸から複数の触手を放出した。


「フ、三対一か?どうやら、私の強さは全員を同時に相手するくらいの価値が出来たみたいね。それは嬉しいわ」


「...」


「さあ、かかって行きなさい、全員の首を落としてやる」


「ウオォォォォ」


 戦いは始まり、赤の騎士はすぐにクロノを追いかけながら巨大な剣を振り回した。赤の騎士の攻撃が美しい食堂全体に震えを引き起こし、瞬く崩壊する。衝撃波によりクロノの動きは一瞬止まった。クロノは赤の騎士より小さいだが、そのお陰で彼女は攻撃を回避するが出来るが、衝撃波のせいで反撃を邪魔された。彼女はただ赤の騎士の攻撃をかわすことだけだ。


「なってパワーなの? 一発を食らったらやばいかも」


「ブォン」


「何っつ!! いつの間に私の後ろに?」


 この赤の騎士騎士達はただ物凄い力を持ちだけでなく、クロノが想像していた以上に物凄い動きをする。 彼女が最初に遭遇した赤の騎士団とは違い、まるでクロノの動きを学び始めているようだ。彼らは良い連携でクロノを攻撃する同時に常にクロノを邪魔する触手もそこにいた。


「ああもう、邪魔だ!この触手!!」


 クロノは彼女を邪魔する触手を切ろうとしたが、その触手らはすぐに回復し、新たな触手を生えた。まるでヒドラのようだ。


「ならば木っ端微塵になるまで」


「ビリビリ!!」


 クロノの体の周りに赤い電気が現れる。彼女は目の前の破片に向かって走り、金色の鉄の棒を形成した。そして全力で破片を突き刺した。赤い電気が破片の物理的外観を強力な爆風発射体に変え、それが光線を発し、赤い電気が赤の騎士の残骸に向かって明滅した。


「ボカーンンンンンンンンンンンンン!!」


 爆発は十分な威力があった。当たったものは、跡形もなく全てを吹き飛ばしたかのように見えた。 しかし、クロノはその結果に失望した。 赤の騎士がクロノの爆発石を拾い上げ力の半分を相殺していた。


「あらまぁ~ 貴様らは本当に仲間がいいね」


「メキメキメキ…」


 突然、鋭い触手がすぐに地面から突き出しクロノは慌てて回避した。あごを少し刺すことは回避できたものの、この攻撃は終了せず、二人の赤の騎士が左右からクロノに斬りかかった。クロノは回避できず受け止めるため瞬時に金の棒と剣を生成した。


「あくっ!」


 金属が重い力で擦れ合う音とともに、クロノの体は地面に激突し転がった、彼女は巨大な剣を捉えることができたが、赤の騎士の巨大な力が彼女の左肩を壊した。


「ウクッ、痛いじゃないか~まったく、肩ずれってこんな感じなのね。ここまでやられるのは今回が初めてだわ」


 同時刻、アンナとマーガレットと他のメイド達は城の正面玄関まで辿り着いたが、彼女達はそこで立ち止った。何故ならその門を開けることができなかったからだ。


「まったく、動かない!どうすればいいの? 」


 メイド達が必死にドアを開けようとしていると同時にクロノの戦いの音が鳴り続けた。そして、一人のメイドが慌てて他の出口を探そうと走り出したが、その時…


「シンンン!!」


「キャアアアアアアアア!!」


 そのメイドの首から血を流しながら地面に倒れた。


 アンナとマーガレット、そして他のメイド達が目の前で不運なメイドの血にまみれた短剣を持っている人物を見て恐怖な表情に変えた。


「お前たち,どこに逃げるつもりかしら」


 悪魔のような顔をしたレディエリザベスがメイドの前に現れた。全員を容赦なく殺す準備ができている。


[誰もこれから逃げることはできません、特にあのくそ豚」


 悪魔のような顔をしているレディエリザベスはメイド達を怖がらせた。一部のメイドは足を激しく震わせて立つことができず、座ったまま漏らした。


「ドンンンンンンン!!」


 メイドの背中で大きな爆発が起き、レンガ、石膏、煙を飛び出した。ボロボロしたメイド服のクロノは怪我した体でその煙から飛び出した。


「クロノちゃん!」


「シ…この仕事はマジで面倒くさそうだわ」


「くそ豚ですか。あなたがまだ生きているとは驚いたわ」


「まだ、私の死体を見ていないのに勝手に決めないで、ご主人様」


「あとで分からせてやるよ、くそ豚」


 レディエリザベスはアンナを奪え、そして、彼女にナイフをつけた。クロノと交渉する為の人質だ。マーガレットはアンナを助けたいのだが、そうする勇気がなかった。そんな事をすれば、親友が傷をつけられると恐れている。


「さて、これからあなた達をどうするのかしら? ああ、そうだわ!血がゆっくりと流れるようにあなた達の皮をむいてみるのは悪くないね」


「噂通り、本当にいかれている」


「クロノ…ちゃん」


「……『今日はなんって不幸日なの。なぜ、私はこの人間達の事を心配する必要があるのよ?』」


「あなたたちは決して、この城を出ることはできません。もうすぐ、パラレルナイトがやって来る。その時、あなた達は私に屠殺されるを待っている豚のようですわ」


 クロノが手にしている金の剣を地面に捨て、両手を上げた。レディエリザベスに降伏したことを示した。婦人が勝ち誇ったと見下す目線がクロノを見つめていた。そして、闇から赤の騎士の腕が現れ、クロノの頭の後ろを強く打った、クロノの視界がどんどん黒くなった。


.....


....


...


..


.


 同時に、城の外では、昼野は必死に影を使ってクロノがいる所を目指しているのだがうまく出来なかった。彼はできるだけ城の近くまで現れましたが、彼と城の間に断崖絶壁が彼を邪魔している。太陽はもう、水平線に沈んだ。黒い壁は空に広がって、パラレルナイトが現れた。


「間に合わないのか? クロノ…くそっ!」


 昼野が失敗した事に対して失望したその時。頭痛が襲った。頭を叩きつけられるような痛みが走り。そして、一瞬幻を見た。怯えているメイド達、悪魔のような顔の赤い服女、どこかの暗い部屋が昼野の頭の中に現れた。


「ああ!! いたっ!! 何…一体何が起こった? 今の痛みは何? それに先はなんだ? クロノなの?神聖の結界の影響なのか? これはマズイ!」


 昼野が恐れている事が現実となった。感じた痛みは普通ものではない、あの幻もだ。彼の体がクロノと繋がっている事によってクロノの何かが彼に伝わった。急いで早くクロノに行かなければと思った彼は更に焦り始めた。


「くそっ、どうする? 早く考えろオレ。ここから遠回りすると時間がかかる。こうなったらまた影をくぐり抜けるしかない、今度は成功させてくれ、お願いだ」


 昼野は再びバイクを目の前の影に向けた。クロノへの期待を最大限を抱きながら、バイクに跨り再び飛び込む準備をした。先に見た幻は、何があってもクロノを見つける。という気持ちの原動力となった。






 クロノと赤の騎士の戦いによって破壊された食堂は、恐ろしい拷問場に変貌しつつある。犠牲者の血でまだ汚れている透明な触手が部屋全体を切り裂いた。そしてそれは、彼女がついた膝を押さえつけている間に、クロノの腕を伸ばし縛りつけた。触手はクロノが動かないように彼女の体を強く打ち付けた


.


..


...


「…ウム~…『まったく何で私がこんな目に』」


「ホウ~ 目覚めたのか、この意地汚い豚。あなたの姿を見て、まるで屠殺されるのを待っている豚見たいだわ。それにあなたに色々聞きたい事がたくさんあるわ」


「なんという偶然だ。私も貴様に聞きたいことがあるわ」


「この状況になってもまだ生意気な口で喋れるね。まあ、いいわ。お前が大人しくなると全然、面白くないし」


「…あっく!!」


 一本の触手がクロノの首を巻いて、彼女の頭を強く頭を搾った。


「さあ、答えなさい…お前をここに送ったのはサ・センターでしょう?」


「わ…私… 知らないわよ」


「そうか?… いかにも教皇の忠実な犬だな。 まあ、お前がそれを言わなくても大体予想がつくわ」


「じゃあ、なぜ私に… き 聞くの…バカじゃないの? ムフッ!!」


 エリザベスはクロノの頬を手で挟んだ。どうやら、彼女はクロノの生意気な喋り方に腹が立ったようだ。


「正直に言うと、あたしはあなたの生意気な口を嫌いではありませんわ。むしろ好きですよ。それに先から気づいたけど、あなたの柔らかそうな肌を見るとわたくしの鼓動がおかしくなった」


 エリザベスはクロノの滑らかな肌を顔から首筋までをひと撫でし、彼女の表情は徐々に変化した。それは変態の感覚を示し続けた。


「この…変態メイ」


「ビリビリビリ」


「/////!!?」


 エリザベスはクロノのメイド服を無理矢理引き裂き、黒いブラジャーが見えるまで剥がした。縛られたボタンは床に飛び散っている。そして、エリザベスがクロノの絹のような肌を見たと彼女は更に狂わせた。彼女は狂ったようにクロノの肌を撫でたり手探りしたりしている。


「フフ、お前を殺すのはもったいないわ」


「...」


「このくそ豚…わたくしの仲間になってくれば、お前をお宝のように飼ってやるわ。あの腐った教会にいるのはもったいない」


「……だったら、お前にやって欲しいことがあるだけど、もし、してくれたら私が気変わるかもしれない」


「よくもこのわたくしと交渉するなんって、まあ、今回はよしとしましょう」


「まず、他のメイド達を解放して」


「...」


「どうした、出来ないの?」


「…よかろう。お前だけいれば、他の者達に用はない」


 エリザベスはクロノの要求を飲んで、メイド達を拘束した触手に命令し、メイド達を影の中に連れて行った。


「お前は彼女達をどこに連れていった?」


「心配しないで、わたくし達は交渉をしたでしょう?」


「…なら、お前に聞きたいことがある」


「お前はとても好奇心旺盛な人ですね」


「あの地下室にある死体に血が全く残ってない。お前はなぜ、彼女達の血を取った?」


「血? それはわたくしの肌を美しくするための物ですわ。今までこんな美しい肌を保つ事ができたのはあのメイド達のお陰だ、感謝するわ」


「どこか美しいなの、まるで死体の色だ おっく くっ!!」


 エリザベスが持っている赤い柄のポケットナイフをクロノの口に突き出した。クロノがナイフをかわすために自分の口を大きく開けた。クロノは少しびっくりしたが、冷静を保った。このイかれたレディエリザベスは次に何をするかはわからないからクロノが警戒している。


「あなたを受け入れる前にまず、お仕置きをしないと」


「ハタヒハハダへメイヒヘントウヒテイナイ」『私はまだテメーに返答していない』


「ハハハ、何を言っているのか?全然わからないわ。人間の言葉で話ししてくれる?」


 エリザベスが十分に満足した後、クロノの口からナイフを抜いた。そのナイフはクロノの口に切って、黒い血が流れ出した。エリザベスがクロノの血を見て、彼女の表情はかなり驚いている。そして、物凄く興奮で大きな笑声で笑い出した。


「!!!!!… ハハハハハ、あなたはスペクターだったのか!まさか、ここで良いものを見つけるとは信じられませんわ。あの教会はどうやってあなたのような完璧ものを作れたのか? ねえ、教えて…」


「おまえ、何を言っている?」


「お前はあの連中に作り出されたスペクターですよね?」


「はっ?」


「何も知らないふりをしないで。せっかく、こんな素晴らしいものを手放すつもりないわ」


 エリザベスは情熱的にクロノを抱きしめた。彼女は両手でクロノの肌を止まらずに撫でて。そして、クロノの柔らかな口から流れている黒い血を舌で舐めてその血を味わった。クロノがエリザベスの変態さに対して気持ち悪そうな表情に変わった。


「/////いやっ… 待て 待て、私の質問はまだ終わってないが…」


「他にまだ何があるの? これ以上待ってられないわ。もっと、お前の体をじっくり見たいわ」


「だったら私がお前らの仲間になることを期待するな」


「…わかったさっさと言って…早く!!」


 エリザベスは少し落ち着てきたが、クロノがまだ質問する事に対しちょっと気に食わない。


「/////… お前らは何のためにスペクターを作ったの?」


「……お前はわたくし達が話していた事を聞いたのか? まあいいわ、お前に教えてあげる。『戦争だわ!』我達の新たな変革時代のための戦争だわ。サ・センターはもはや我たちを導く存在ではない。愚かな教会の時代は終わりだ。これからは愚か者ではなく影の女王によって選べられた者達の時代になる。そして、権力や財産が我々の所に流れてくる」


「…影の女王?」


「よく考えてみて、わたくし達が支配した後はわたくし達が強者となる。そして、価値のない弱者達が消える。お前とわたくしはいつまでも幸せに過ごせるわ。まもなく、ブラッククロスはザ・センターに宣戦布告を開始する。そして、彼らは敗北し、全て失われるでしょう。彼らはわたくしたちが作った素晴らしいスペクター軍隊に対抗する事が出来ないわ。ああ~、影の女王はきっとこの勝利に喜ぶでしょう」


「先から影の女王って何者だ?」


 エリザベスはしゃがみ込んで、そして、クロノの顔を恐ろしい目で見つめた。辺りの雰囲気はただでさえ薄気味悪いのがいっそう不気味さが深まる。その静かな空間の中で、エリサベスはクロノを見つめた。クロノの体を汗の雫が伝った、エリザベスの次の動きは読めなかった。


「…よくもあの方に無礼な事を、女王は誰も触れることのできない、すべてのものの頂点に立つ存在だ。影の女王に対する無礼なことをした君にお仕置きが必要だ」


「…怖いもんか」


「……それは残念ですわ」


「グサリ」


 一本の触手がクロノの心臓を背中まで突き抜いた。エリザベスは見下と楽しんでいるような目線でクロノを見る。彼女はブラッククロスのスペクターの創造を調べる為にクロノを解体すること決意した。


「それにしてもあなたはスペクターのくせになぜ、人間のように感情を持てるの? あなたの起源はあるのか? ああ~、それともお前はナイトメアかしら? まさか、教会の連中は私より先に進んでいたのか?」


 エリザベスはクロノの心臓を突き刺したホースをつかみ、それを更に深く押した。クロノの黒い血が噴出し、彼女の滑らかな白い肌を汚した。


「あくっ…この馬鹿、刺すなよ。私はそんなことを知らないわよ」


「それなら大丈夫ですわ。わたくしがお前を隅々まで調べてあげる」


 何百本の触手の先端がクロノの方に向かった。エリザベスはかつてないほどの興奮で赤い目を大きく見開いた。


「…ちっ…」


「うわわわわわわ!!!」


 その瞬間、部屋の影からバイクと若い青年が飛び出した。彼はクロノとエリザベスの間に割って入った。エリザベスと触手とそして、彼女を護衛する赤の騎士と共にその場から離れ距離を取った。クローノを拘束した触手が切れ、彼女を解放した。昼野はバイクを止め、急いでクロノの方に駆けつけた。


「クロノ! 大丈夫か!?」


「アンタ、遅い…」


「すまない…オレはお前のように影を使って好きなようにどこでも現れることが出来ないんだ」


「はっ? アンタバカじゃないの… そんな事は誰でもできることなわけがないでしょう!」


「そんなことより… 早くここから逃げましょう。所で他のメイド達はどこに?」


「知らん」


「はぁぁ!! 何?」


「あいつはどこに彼女たちを連れて行ったのかわからない。それより自分のことを心配しなさい」


「ウム、彼女達が無事だといいけど」


「フ……誰かが体を震えているぐらいに怒っているようだわ」


「??」


「キャアアアアアアアア!!」


 エリザベスは大声で叫んだ。彼女は自分の頬から血が流れた事に衝撃を受けている。突然に昼野が現れて、そして、何かが顔に傷をつけられて血を流した。エリザベスは何よりも自分自身の顔を愛し、大切にしていたので彼女が激怒した。彼らを引き裂こうと彼女はクロノと昼野の方に悪魔のような顔で向けた。


「わたくしの顔……わたくしの美しい顔、貴様… 貴様らは絶対に許さない!! ああああああああ!」


「さあ、早く行きましょう。こんな狭い場所では不利だから」


「ウム!…」


 クロノと昼野は素早くバイクに飛び乗ってアクセルを回し、その部屋のドアに突っ込んで城の長い廊下を走り去った。


「このわたくしから逃げられることができると思うなよ。この下等か!!」


 二体の赤の騎士と仲間の残骸が自ら粉々に分散し再結合し始めた。 駒は厚い鋼鉄の鎧で防御した玉座の形に形を変え始め、その鉄の玉座は動き回ることができる大きな鋼鉄の車輪もあった。 玉座の形の大きさは、道ゆくすべてを粉砕する戦車に近い大きさだった。


 体が組み立てられるとすぐに、車輪は回転し始め、鉄の玉座を駆動し、全力で前進する。 ドアに衝突しすると壁は大きな穴を開けた。 エリザベスはすぐに周りを見て、クロノがどの方向に逃げたのかを調べた、彼らは遠くに行っていない。


 彼女は自分のターゲットを発見し、エリザベスの鉄王座は信じられないほどのスピードで前進した。わずか数分後でエリザベスの鉄王座の大きな車輪の音が彼らのすぐ後ろに続いた。


「噓でしょう… なにあれ!?」


「わからないけど、あまり聞かないで。とりえず、最大全速走って!!」


「貴様らを潰してやる! 死ね!!」


 鉄王座から数十本の鋭い触手がクロノと昼野に向けられて放たれた。それを見たクロノは急いでサイドカーから立て、鋼鉄の警棒と金色の剣を作り、向かってくる触手を払い落とした。


「ギシッツ」


「ゴキブリめ!!」


 クロノがすべての攻撃を止めたのを見て、エリザベスは更に激怒した。彼女は更に数十本の触手を解き放ち、必死にクロノを攻撃した。


「…ちっ しつこいな、もっとスピード出して!」


「もう、限界だ!これ以上出せない」


「!… 伏せて!!」


 クロノが昼野の頭をハンドルに押し付けた。気が付かないうちに一本の触手がまっすぐに向かって来たが、幸いな事にクロノはそれを防いたが、そのせいでバイクはコントロールを失え、壁にぶつかりに行く。


「うわっ! マズイぶつける!」


「ハンドルをコントロールして!!」


 クロノは金色の鉄の棒を壁につけてバイクの道を作った。その衝撃とスピードで、クロノの金色の鉄の棒が彼女の手から滑り落ちた。コントロールを失ったバイクは再び三輪車で走れた。クロノが衝撃で少しバランスを失い、彼女のお尻がぴったりサイドカーに入った。


「…まったく、この仕事が嫌いになって来たわ……フン? 何これ?」


 クロノのサイドカーから何かを拾った。大きなフックが付いた鉄の鎖みたいだが、もう使え物にならないし、サビが付いた部分もある。


「クロノ! 前!…」


「??」


 彼らの目の前には大きな窓が広がる行き止まりだ。これを見たクロノはバイクに手を置いた。次の瞬間、繊維のような黄金のエネルギーがバイク全体を包み込んだ。


「突っ込め!!」


「何!! 正気か??」


「いいから、やれ!!」


 クロノはできるだけバイクに鎖を巻き付け、そして、昼野に窓に突っ込めと言った。昼野は納得しないが、エリザベスの恐ろしい鉄の王座に追い詰められる彼には他の選択を考える余裕がない。彼女の怒りの叫び声がどんな者でも震えさせた。


「ドンンンンンンン!!」


 バイクが窓を突き破り粉々に砕け散った。彼らは空中に浮かび、その下にはこの城の裏の深淵がある。クロノは後部座席に立て、彼女の手に金繊維で包み込んだフックの鎖を持っていた。


 クロノは近くの窓に金色のフックを投げた。フックが窓を貫通し、壁の真上で壁の端に引っかかっていた。それが彼らのバイクを空中で広い円で引っ張った、下の窓を壊した。再び、クロノが以前に入って来た暗い廊下を駆け下りることができた。


「はっ、助かったのか…」


「まだ、早い…」


「ドンンンンンンン!!」


 危険はまだ終わっていなかった。鉄の王座は突然天井を突き抜け、彼らの前に塞がり、突然な事ですぐにバイクを止めることができない。彼らは本当にここまでなのか?しかし、クロノはそうは思わなかった。彼女は指パッチンを鳴らした。その瞬間、領域を覆う球形の時空が形成された。時間が止まるとすべてが止まり、奇跡が起きた。


 金色の糸が織り込まれ、未来のビジョンを映し出した。クロノはこの状況を突破するための糸口を計算した


「あそこだな〜 ちょっとした飾りをすればオッケー」


 彼女がこの状況から逃れる道を見つけるとすぐに、クロノはバイクのハンドルをつかんで横に振るために手を伸ばした。未来予測金色の糸がそれに伴って変化した。


 それだけでなく、クロノは金の剣を使って鉄の王座の触手を傷つけないように配置を変えた。更に彼女はその触手をエリザベスの顔に向けた。


 クロノが楽しんでいる間、彼女の目から黒い血流れ出来た。それは危険を知らせの合図だ。まだ一分が経たなくてもこれ以上この力を支え続けたら危険だと彼女に告げる。


「もう限界か… 仕方ですね パチン!!」


 クロノは再び指パッチンし、時間の結界が消え、すべてがゆっくりと元通りに戻りつつある。結界消えると今の混乱がすぐに彼らを襲う、しかし、心配することなく、時間結界の中でクロノの装飾が彼女の計算したとおりに行われています。


 彼らのバイクは鉄の王座の触手に傷つけられることもなく衝突をギリギリまで避けた。さらに、痛みの叫び声が彼らの後ろに聞こえた。一本の触手がエリザベスの顔に深く突き刺さった。彼女の顔に穴が空き、そして、顔全体に血に汚れた。


「キャアアアアアアアア!! わたくしの顔! いやぁぁぁ……わたくしの美しい顔!! くそ野郎、死ねえええ!!」


「できるものか、ベエー…」


 どんな状況でも、クロノの軽口は治まらなかった。彼女はエリザベスにべロを出し、彼女を馬鹿にする。エリザベスは自分を制御が出来ないくらい怒りに狂った。


「昼野、正面ゲートに向かうわ」


「正面ゲート?あの暗い道に?」


「そう!」


「わかった…」


 昼野はクロノの言う通りにスピードを出した。どうやら彼らは城の入り口の門に到着した。そして、彼らの後ろから追いかけてきた鉄の王座の声が聞こえてきた。今度はエリザベスの復讐が伴い、途中で彼らを怒鳴りつけた。 怒りが増し、狂気の中でクロノを追いかけるエリザベスの意識と思考に影を落としている。 彼女はクロノを潰す事以外に他の事に興味を失った。


「フッ、今度は狂犬になったわ」


「お前があいつの事をバカにするからそうなったじゃないか!!…」


「付いて来ればいいじゃない」


「バカじゃないの!! 先は死ぬ所だったぞ」


「黙って運転しなさい」


「お前は本当に人扱いが荒いだね…」


 彼らは互いに追いかけ抜いて、美しい建築の城の部屋が次々と崩壊していく。ついに彼らは城の正面の門にたどり着いた。すべてがクロノの想像通りに進んでいくとクロノが少し微笑んだ。彼らのバイクはすぐに大きなドアを突っ込んで壊した。同時にクロノは愛用のマグナムを作り出し、それを大きな鋼鉄製の門の上に引っ張る鎖に向けて狙った。赤い電が再び彼女の銃の周りに現れ、爆音が聞こえるくらいエネルギーが弾丸に込められた。チャージが限界まで来たらクロノは両方の鎖を狙いながら引き金を引いた。


「ズドン」


 エネルギーを込めた弾丸が鎖を切断した。大きな鉄の檻の扉が突然落ちて来る。クロノの作戦によれば、腹をたてたエリザベスは周囲に気づかず、この後災難に直面する。巨大な鋼鉄の檻の扉が彼女の鉄の玉座の上に落ちるのだ。最後の瞬間にエリザベスがそれに気づいたとしても彼女は自分の体が突き刺さり、地面に固定される事しかできなかった。


「キャアアアアアアアアアアアアアア!!」


 鉄の王座は動き止まりと同時に痛みの叫び声を出した。巨大な鋼鉄の檻の扉から抜け出そうと奮闘する高貴な女性の状態は悲惨です。クロノはバイクから飛び降り、そして、金の剣とマグナム銃を手にしてエリザベスのところへ向かった。エリザベスはすでに不利な立場に置かれているが、クロノはまったく油断する事ができない。クロノの後から追う昼野は、少し離れたところで見守った。


「おや~、ご主人様どうかされましたか?」


「ああああああ… 貴様、死ね!!」


「フン、それは残念ですが、どうやらあの世へ行くのは私ではなくご主人様の方見たいですね。それではさようなら、ご主人様」


「ああああああああああああああああ!!」


 エリザベスは必死に叫び、復讐の表情を浮かべて両腕を広げた。


「『アイアン・メイデン!』聞け!! これがわたくしの最後の望み。邪魔なるものをすべて殺せ! わたくしの体を飲み込んで!!」


「?!」


 クロノは異変を感じ、彼女はすぐにエリザベスの体から飛び降り、昼野の元へ駆け寄った。


「何が起こったの?」


「分からないけど、なんか嫌な予感がする…」


 鉄の王座は再び動き出し、何十本の触手の鋭い頭がエリザベスの体に向かった。そして、鉄の王座の他の部分が鋭い歯を持つ口のような形に変え始めた。その鋭い歯がエリザベスの体を食い尽くし、触手が体を刺した。彼女の血は鉄の王座の床に飛び散り、エリザベスの体を貪り食い、赤い血がその一部に塗りつぶされた。


「あいつは正気か?自殺するなんて」


「違う… これは…」


 鉄の王座の形は少しずつ変化し始めた。他の部品が分解しては組み立て直し、人間の形になりましたが、大きさは三〜四倍でした。赤い血で満たされた触手は、体を一緒に保持する腱として関節から現れる。小さくて鋭く、長く、大きな檻で斬る準備ができている腕と足は、それに遭遇した不幸な人たちを奪い。人間の骸骨のような胴体は、機械の歯車が内部で働いていることを示しており、その頭は三つの赤の騎士の顔であり、三つの方向に組み立てられ、回転できる。


「ナイトメアスペクター?……」


「...」


「これはかなりまずいぞ。早くここから逃げた方が…」


「それが何であれ、私はあいつを潰してやる」


「ビュン…ガスッ」


 クロノの生意気な姿勢は何かが彼女の髪の毛が抜け落ちるほど、速く頭を取り過ぎた。昼野もそれを見えなかった。二人は一瞬驚いて立ち止って、音がする方に振り向くと地面の真ん中に巨大な鉄のピンが地面に刺さって、熱い煙の蒸気が立ち上っているものだ。


「えっ!?」


「キエェェェェ」


 アイオン・メイデンは再び叫び、奴の鉄の鎧は半分に裂けて開いた。蒸気共に大きな銃口が突き出した。後頭部からカチカチという音がした。それは発砲する準備の合図だ。


「さて、プランBだ」


「プランBってあるのか? お前はいつから考えたの?」


「あるよ……………さあ、走れれれれれ!!」


「マジかよ!!」


「ビュン ビュン ビュン!!」


 クロノと昼野はアイアン・メイデンの攻撃から逃げた。巨大な弾丸をかわしながら体制を立て直す為に遮蔽物を見つけ出すが、クロノはあの巨大な鉄のピンにやられた。巨大鉄のピン弾がクロノの右足を切断した。彼女は痛みを抱え、すぐに切断された足を拾い、近くの大理石の像の後ろに飛び込んだ。昼野もクロノのように足の痛みを抱えながら急いで像の後ろに隠れた。


「くそっ!!超痛いなぁ~… 大丈夫かクロノ?」


「まあね。ただ、足が取れた」


「足が取れた…」


「ほら、取れた足を元の場所にくっつけば元通りに直ったわ。それにアンタは私の事より自分のことを心配したほうがいいわよ。じゃあないと痛い目に合うわ」


「そうだね~ 所で痛くないの?」


「まぁ~ 少しね〜」


「じゃ、なぜオレはこんなに痛いのよ」


「知らないわ。アンタはまだ慣れていないでしょう… さて、無駄な話はこの辺にして、あいつを倒す方法を探した方がいいわ」


 アイアン・メイデンが発砲し続けているからクロノと昼野は大理石の像の後ろに隠れている。少し休憩する事が出来てもこの遮蔽物はそれほど長く持たない、彼らは状況を乗り越える方法を考え出さなければならない。


「どうしよう…」


「こんな攻撃では接近すらできないな〜」


「そっか、離れた場所から攻撃すれば…」


「どうやって?」


「それは… ええと…」


 昼野は全く何も思い付かないせいで口から言葉一つも出なかったが、彼は求めている答えを見つけ出すためにただ周りを見回した。そして、偶然にその答えを見つけました。彼はたまたま城を囲む高い壁の頂上を見上げて、そこにまるで飾りとして置かれている巨大なバリスタがあった。そして、まだ使えそうな状態だ。


「クロノ、あの上を見て… あれっ使えそうじゃない?」


「??… バリスタか? ホウ~、面白いじゃない…アンタはあそこまで行ける?」


「…この近くに壁の上へ行く階段があると思うだけど、あのナイトメアをなんとかをしないと。あそこに着く前に撃たれてしまう」


「よし、私があのポンコツを相手している間にアンタは早くバリスタの所へ行きなさい」


「いいのか?」


「アンタは他にいい考えがあるの?」


「…んん 分かった、気をつけて、クロノ」


「…フフッ、アンタは最強のスペクターと話しているわよ。私より自分のことを心配しなさい」


「最強?じゃあ、なぜ君の服はあんなにボロボロなのか? そして、もう一つ… /////前を隠したほうが…いい……かと」


 クロノはエリザベスが城で逮捕されたときにそれをしていたので、彼女のメイドの服が破れたことに気づいた。破れたシャツは常にクロノの真珠のような白い胸を露出させ、彼女のような自信のある女の子が彼女の耳に顔を赤らめさせた。


「…?! ///// はぁぁっ!!アンタ、どうしてこんな状況にヤラシイ目で他人の胸を見ているの?本当に信じられない」


「オレだってそこまで見たくねえよ… そもそも、お前から見せて来たじゃないのか?」


「はぁぁぁ!!」


「パリパリ! ドンンンン!!」


「!!?」


 もはや鋼鉄のピン弾の攻撃に耐えられない大理石の彫像の壊れていく音。鋼鉄のピン弾が大理石を突き抜き、クロノと昼野の口論している最中に割って入った。二人は口論をやめ、話した作戦通り解散した。


「さっさと行け!!」


「わかった!!」


「ズドン」


「おい!鉄のゴミ!!貴様はただ撃つことしか出来ないのか…」


「キエェェェェ」


 クロノはマグナムを使ってアイオン・メイデンを撃ち、相手を彼女に目を付けさせた。アイアン・メイデンが攻撃を止め、クロノをすぐに追いかけ始めた、どうやらうまくいったようだ。昼野が城壁の石段を駆け上がって要塞のバリスタにたどり着くチャンスだ。


「ドンドンドン」


「ハハハ、それだけか? 貴様がこの私を殺すのはまだ千年が早いわ」


 激戦の音と共にアイアン・メイデンに向けて話した、クロノの腹を立たせる言葉がアイアン・メイデンを追いかけながら攻撃を続いている。クロノの笑顔は彼女が楽しくアイアン・メイデンと遊んでいることを示している。


 アイアン・メイデンは長い爪を容赦なくクロノに振りかけた。しかし、その攻撃は彼女の黄金の剣によって受け止められた。鋭い衝撃で炎のような閃光が弾け続ける。


「ガッ」


 様々な攻撃は完全に無駄であり、それはまったくクロノを傷つけることはできなかった。一方でクロノも反撃を仕掛けたが、アイオン・メイデンの固い鉄の鎧を傷つけることが出来なった。


「ちっ… なんって硬さなんだ」


 城の要塞の壁の上では、昼野は疲れた状態で頂上までたどり着いた。彼が思っていたより階段が急斜面だった。昼野はしばらく休憩を取りながら設置されたバリスタを探した。


「ああ… み…見つけた… んん はぁぁ… よし!!」


 下で激戦をしているクロノを救う為に昼野は残りの力を集めて急いでバリスタへ向かった。彼が巨大なバリスタに到達し、それを作動しようとしたが、このバリスタは錆びた鉄と腐食した木材で、その状態から見るとかなり古いものだ。


 昼野は心配そうな表情を見せ始めた。このバリスタはもう使えものにならないと心配している。しかし、彼に残された選択は他になかった為、下でクロノと斬りつけたアイオン・メイデンにバリスタを向けてみた。バリスタの下には全方向に回転できる機械式の台座がありますが、一人の力で簡単に動かすものではない。


 昼野は残された力を全力で回転台にしがみつき、全力を尽くしてこのバリスタを回した、どうやら希望はまだ彼の味方のようだ。 そのバリスタの回転台が少しずつ回り始めたが、それでもよかった。昼野はクロノがアイアン・メイデンと戦っている城の庭の方に方向を向けようとする。


「そうだぁぁ それだ!! 動け動け んんん~!!」


「バリバリバリ」


「おい、噓でしょう? くそっ!!」


 運命は再び彼をいたずらした。回転台の腐食した木材は耐え切れなく、木の激しく割れ音がした。昼野は壊れた回転式を手にしたまま倒れた。彼は立ち上がり、もう回す事ができないバリスタを見た。そのバリスタは反対側の城の壁の方に向けていましたが、それはなんの役に立たない。昼野は立ち上がり、他の方法を考えていると、クロノの叫び声が壁の上にいる彼の耳まで響いた。


「何をしているアンタ!! 月を眺めているのか?」


「動けない…」


「はぁ!! 何?」


「全く動けないいい… 壊れたぁぁぁぁ!!」


「アンタは本当に使えない奴だわあぁぁ!! うわっ!?」


「キエェェェェ、ガンガン」


 クロノが昼野を叱っていたにもかかわらず、アイアン・メイデンは攻撃をまったく止めなかった。発射管が燃える鉄のように真っ赤になるまで、鋼の弾丸をクロノの方に連続に発射した。


 クロノは背中が城壁にぶつかるまで弾丸を交わした。彼女の黄金の剣は限界に近づいて来た。黄金の剣は少しずつ金色の霧に崩壊し始めた。


「ちっ、マズイな…このままだと、間違いなく蜂の巣にされるわ。あのバリスタを使うことができるなら…… フン??」


 クロノはバリスタの向かう先にある壁の影の方に振り向くと、そこで何かを思いついたかのように彼女は微笑んだ。


「ヒルヤアアアアアア!! 壁の影に矢を放って!!」


「はぁぁ!何をする気だ?」


「いいから、やれぇぇぇぇ!!」


 昼野はバリスタが狙っている方向を向いた壁を見た。側面の城の壁は、月明かりが降り注ぐところから遠く離れた壁に影を落としている。 もし彼の考えが正しければ、昼野自身もクロノが何をするかを推測できる。


「そうか、分かった。クロノ待ていてぇぇ!!」


 昼野はバリスタの裏にあるレバーへ駆け寄り、巨大な矢のロックを解除した。彼は全力でバリズタの錆びた古いレバーを引っ張り、体重を全部傾けるまでを尽くする。


「ズドン」


 巨大な矢のロックが解除し、巨大な矢がバリスタから素早く飛び出し、壁の影に向かった。レバーを引いた昼野は倒れ、そして、クロノに大声で叫んだ。


「クロノノノノノノノノノノノノノ!!」


 下ではアイオン・メイデンの攻撃で煙があがった。体に傷だらけのクロノが手にしている金色の剣は粉々に砕け散り、それはすべて金色のほこりになった。


 アイアン・メイデンは銃を顔に戻した。そして、全弾丸を浴びた、クロノがまだ立っているのを見たアイアン・メイデンは叫び声を上げながら全身に鉄のスパイクを作り出して、まっすぐにクロノに飛び込んだ。


「フ、そこなくちゃ ビリビリ!!」


 クロノは後ろにある壁の影に触れ、城壁の影を赤い電流が流れていた。放たれた巨大な矢が壁の影に突き刺さり、クロノの頭上に壁の影から突き刺さった。


「ギシャリ」


 巨大な矢がアイアン・メイデンの体を擦り駆け抜け、瓦礫、内臓、赤い血が地域全体に散らばっていた。そして、体は浮かび上がり、バリスタの矢の力によって地面に突き刺さる。


「キエェェェェ」


 アイオン・メイデンは叫び出し、激しくしゃがみこみ、矢から身を拔き出そうとした。ナイトメアスペクターの持久力のおかげで、生き残ろうとしているに十分な強さを持っている。


「タッタッタ、さっさと死ねええええ!!」


 クロノは彼女の足元に赤い電流と共に走り、空にジャンプし、空中で矢激しく蹴った。


「ドンンンンンンン!!」


「キエェェェェ」


 クロノの強力なキックで、巨大な矢が地面の深くに突き刺さり、アイアン・メイデンの体を封印した。手足は地面に落ち始め、すべての動きが止めた。彼の体から赤い血が流れ、石の床が真っ赤になった。それでも抵抗を続けて、最後の力を使い、もう一度別の発射体を発射するために顔を開きの試みをしたが、遂にアイアン・メイデンが完全に動きが止まった。その赤い目が消えていった。


「はぁぁぁ… やっと終わったか、たく…」


 戦いの後、クロノは大きなため息をついた。 彼女は腰からつま先まで立って、信頼できない表情でアイアン・メイデンの体を見つめていた。 彼女の最も深い心の中で、彼女はそれもまだ生きているのではないかと恐れていた。しかし、しばらく観察した後、アイオン・メイデンが死んでいることを確認した。


 昼野は疲れながら壁から降りてきた。彼は急いでクロノに様子を伺った。


「クロノ、どうだった?」


「ああ… 完全に死んだわ」


「そっか、それは良かった。本物のナイトメアスペクターを見るのは今回が初めてだ。もう、ダメかと思った」


「こいつがナイトメア?…」


「…マグナス様から聞いた話だと、ナイトメアスペクターは影の所有者が自ら自分の体を自分の影に犠牲にして生まれた、だからあんな風に強かった。前に話しただろう」


「ああ、そっか。だからあんな風に食われたのか」


「こんな儀式は俺が初めて見た。まさか、こんなに恐ろしかったとは思わなかった。」


 昼野はとても警戒した表情でクロノを見た。


「…何? 私をジロジロ見て」


「えっと…もし、オレが自分の体をお前に差しあげたらお前は俺を食べるのかなって、それだけだ。」


「フン~… そうかもね、確かめてみる?」


「い…いいえ、聞いて悪かった」


 クロノはその昼野の反応を見て、彼をいたずらする心を押さえる事ができなかった。クロノは昼野を抱きしめ、そして、昼野の両足の間に膝を入れた。彼女は昼野を食べるつもりで昼野の目を見つめていた。クロノは昼野の顔が赤く染まるのを見て喜んで微笑んだ。


「バカ何をする?/////」


「ちょうどアンタを食べる方法を考えているのだ。それだけだわ〜フウウ~」


「ワぁぁっ!?/////」


 クロノは昼野の耳に息を吹き込んで驚かせた。彼が彼女を自分から追い払って、クロノに急いでここから脱出し、ここでのでき事をアレックスさんに話した方うがいいかと説明した。しかし、クロノは彼を止めた。彼女はまだやらなければならないことが残っている。


 クロノと昼野は、まだ城の中に残されたメイドたちを外で自由に救出する。彼らはまだパニックに陥っており、まだ生きていてうれしいです。正気のアンナは無事に他のすべてのメイドを救出し、幸いなことに城の神聖な結界はまだ正常に機能しており、メイドは朝までパラレルナイトを生き残ることができます。


 一方、皆が安全な場所に着くと、アンナとマーガレットはクロノを探し始めたが、生意気なメイドのクローノの姿はどこにも見当たらないが、アンナの表情は笑顔に変わってそして、感謝言葉を述べた。


「クロノちゃん、ありがとうね」


「アンナ、クロノを見つけた?」


「いいえ。」


「あいつは一体どこに消えたのだろう… 無事だといいけど?」


「心配しないで、マーガレット。 クロノちゃんは必ず無事だ。」


「アンタはどうして、そこまで自信があるの?」


「さあ~ フフッ」


「??」






 森の中の城の反対側では、バイクが再び始動し、アレックスおじさんのバーに戻す準備ができていた。昼野はクロノをしばらく見ていましたが、彼女に聞きたいことがあった。でも、あぐらをかいて座り心地よく、吹く涼しいそよ風を取り入れて彼は彼女をあまり怒らせないように注意しなければならないと思った。


「あの… クロノ…」


「フン? どうしたの?」


「お前は大丈夫か?」


「何を言っているの? 見たのとおり、私は大丈夫だ!心配することはない」


「しかし、あの神聖な結界にいると体にダメージを受けるでしょう?」


「はっ? アンタの頭は何かに打たれたのか? 神聖な結界? アンタは何を話しているの?」


「はっ? あの、神聖な結界のことだよ。お前のようなスペクターが入ることができない結界だよ。」


「……アンタと話すのはもう、疲れるからおやすみ」


「え?? どういうこと ……『そういえば、オレ達はパラレルナイトが城を飲み込むくらい結構長い時間にいたのはず。城自体は神聖な結界を展開したはず。それにオレ達はあのナイトメアを相手ばかり気が付かなかった。オレもクロノも、そして、あのナイトメアも神聖な結界からダメージを受けていたはずだが、これは… 』」


 昼野は確かめるために後ろに振り向いてエリザベスの城を見た。その城は長い間放棄されていた古い城の残骸に変わり果てた。それはまるで彼が最初にパラレルナイトに入ったときと同じように街を瓦礫に変えた。おそらく、彼らが神聖な結界の外にいるから城の姿が見えた。このことで昼野はまだ理解ができなかった。彼は城が間違いなくその聖域を展開したはずと考えた。さらに、昼野が第四司令部での出来事を思い出させた。


「何故だ、分からない」


「何ぼうっとしているのよ…さっさと行きなさい」


「ウ…ウム… ごめん、ちょっと考えことを」


 クロノが幸せそうに目を休んでいる間に昼野は神聖な結界の事を考えている。


「あっ、そうだ! 何かいい情報を見つけたか?」


「...」


「クロノさん? もう、寝ていたか… 仕方がない、続きは戻ってからにしましょう」






 日の出が光を照らすと、パラレルナイトが完全に消滅した。ヴィンセント司令官が率いるザ・セッターの第四司令部隊は、通報を受けて城に到着した。彼らはすぐに城を制圧し、城の隅々まで検査した。


「報告です!!」


「何か見つかったか?」


「はっ! 我々はまだ生存しているメイドを見つけ、治療のために彼女達を車に運びました。そして、体から液体を吸い取られたように複数の遺体を城の底で見つけました。おそらく、行方不明者たちの遺体だと思います。どうしましょうか?」


「その死体を燃やせ… 彼らをあんな風にさせないで」


「後、もう一つ、我々はスペクターと思われる死体を発見しました…」


「はっ、ありえない!?もう朝だ!その死体は消滅するはず」


「司令、ご自分の目で確かめた方がいいかと思います」


「...」


 ヴィセント司令官は部下にクロノ達に敗れたナイトメアスペクターの死体と激しい戦いの痕跡を残したところまで案内してもらった。


「…ここはまるで戦場だな。ここで戦闘でも起きたのか? そして、この死体は何? 」


「司令、こいつはどうしましょうか?」


「......」


「司令官!!」


 別の兵士が無線を持ってヴィンセント司令官の方に駆け寄った。


「何?」


「ザ・センターからの連絡です」


 何も言わずに、ヴィンセント司令官は走っている兵士から送られたラジオから電話を受けました。


「こちら、第四司令部のヴィセント司令官です」


「おはようございます、ヴィンセント司令」


 老人の声が無線から聞こえた。ヴィンセントは、この声がマグナス教皇の声であることをすぐに分かった。


「あなたでしたか? 今日はどのようなご用でしょう?」


「そこにあるスペクターの死体はできるだけ早くザ・センターに送ってほしい。」


「何? どうして、あなたは死体のことを?」


「司令官、あのスペクターの死体はとても重要なサンプルなので、やってくれないかね?」


「あなたは何を考えているのですか?」


「よろしくお願いね、ヴィンセント司令。」


「…ガチャ『ツー、ツー』…ちょっと待って、俺はまだ… 『ドゥー ドゥー ドゥー』」


 ヴィンセント司令官は無線を置いてしばらく考えた後、部下にナイトマアスペクターの死体をザ・センターに送るよう命じた。


「まったく、いやだな〜これは…」

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パラレルナイト 白羽 @Shirobane

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