第2話 ナイトメア part.1

Chapter.2

ナイトメア



 パラレルナイトが過ぎ去った後、新しい日の日差し、早朝は普通の人にとっては当たり前のことだが、裸の昼野くんにとってはそうではありません。彼はセクシーな黒いランジェリー姿のクロノの言葉に混乱して座っていた。


「…何?オレのスペクター?…そんな冗談は話やめてくれ、ありえないだろ」


「アンタ、私が嘘を付いていると言っているの?…」


 昼野はまだ彼女の言葉を信じてなかったので、クロノの額はわずかに皺を寄せた。


「当たり前だ…誰がそのようなことを信じるのか? 仮にお前が本当にスペクターなら、なぜ朝になってもまだここにいるんだ?」


「はぁぁぁ…」


 クロノは少しため息をつき首をこすりながらしばらく考えた。


「アンタ、ちょっと立ってちょうだい」


「は?」


「いいから」


「あ、うん」


 そして、クロノは昼野の方に向かって歩いた。こんな裸状態でセクシーな美人女の子が近づいてくるのは独身の男の心臓をドキドキさせた。


「シンィィィィィィ!!」


「えっ!?」


 クロノはすぐに昼野の首に手を振った。昼野はしばらくの間クロノの行動に疑いを持っていた。クロノの手に割れたガラスを持っていることに気付き、昼野は不安を感じ自分の首元に触れた。そこには切り傷があった。昼野は驚いた。即死してもおかしくない深さだった。


「…あぁぁくっ あくっ あ くっ お…まえ な 何を…したっ…」


「落ち着け。」


「は?」


 昼野は大きな傷があった首に何回も手で確認したが、一滴の血が出てなかった。代わりに彼の手にほんの少しの黒い液体が付いた。そして何より大事なことは、彼が普通に体を動かすことが出来ることだ。


「何だ、これは。オレに一体何が起こったというんだ?」


「アンタはもう死んでいるのよ、昼野」


「は? オレは死んで…いる?」


「昨夜、アンタはあのスペクターに殺された。そして、裸姿でここに立てられるのは私がアンタを救ったからよ」


「…信じられない、これは現実なのか?」


 昼野はベッドに座り込みはゆっくりと消えてゆく首の傷を触っていた。クロノが彼に話した昨夜の出来事を聞くと、彼は少しずつ思い出した。彼はあの黒赤髪の少女に殺された事を、それでも今までの出来事は昼野がすぐに受け止めるのは難しい。


「オレが死ななくても、この傷は超痛いなぁ…」


「アンタの体は不死身であっても、まだ感覚は残っているのよ」


「じゃあ、オレは何になっている?」


「ウム…それはおそらくゾンビのようなものだな。今のアンタと私は一つとなった。わずかなアンタの魂を保つために私の魂と一緒に受け入れた。そして、私の…体もうー…」


「は? 何?」


「!!///// とりえず、私のおかげでアンタはまだ生きている事にしましょう。わかった!!」


「あ…ウム」


「さて、服を着て出かけましょう。」


「どこへ行く?」


「決まっているじゃない!飯を食べに行くのよ!」


 クロノは自分の腹を叩いた。それは食事の時間だと昼野に教えた。


「あぁ…えっ? スペクターもお腹が空くの?」


 クロノは昼野の首に面したガラスの破片を持って振り返った。彼はお腹を空かせた女の子に迷惑をかけるほど疑い深かった。


「ささっと、服を着て…」


「はっ はい!」


 昼野は床に落ちている制服を取り、状態を確認した。驚いた事に昨夜の出来事でめちゃくちゃになった制服が傷や汚れは全くなかった。二人が着替えた後、彼らは廃墟となった建物からゆっくりと忍び寄り、建物から出る前に周囲の確認をした。二人が廃墟となった建物から出て来る所を見つかりたくなかった。説明するのが面倒からだが、幸いなことにこのような国境の町では、首都ほど人が少なく、朝歩く人も少なかった。


「もう、大丈夫みたいだね。さあ、行きましょう。」


「待て、待て…」


 クロノが日光に足を踏み入れる前に昼野は彼女の腕を引っ張った。


「お前は本当に大丈夫なの? あんな日差しを浴びて?」


「何ともないみたいね、じゃなければ私はとくに消えたでしょう。それに裸であなたと一緒に寝ることが出来なかっただろう。」


「頼むからその話はやめてくれ/////…」


「アンタはこういうのが好きじゃないの? 男はそういう事が好きと思うだが…」


「いや、そうじゃないけど、男をそんな風に思うのはやめてくれ」


「そっか、エッチめ…」


「...」


 結局、クロノと昼野は廃墟となったビルから出てきて、朝食を目さす為に街に足を踏み入れた。しかし、今の昼野の頭の中には、色な質問がいっぱいで、我慢することが出来なかった。クロノのそばを歩くのは、今目での出来事を尋ねるのは良い考えかもしれません。


「あの…お前はクロノだね?」


「そうよ。何か?」


「なぜ、お前は…ええと、あれに入っていたのか?…その…時計だろう…あれは?」


「分からない」


「は!?」


「どうして、あの時計に閉じ込められたのかは全く記憶がないの。ただ、自分はスペクターであることがわかるだけだ」


「そっか。」


「文句ある?」


「そうじゃない。だってこんな真っ昼間の中で平気に歩いているお前を見て、そして、意思を持っているかのよう見ておかしいと思わない?…もしかして、お前はナイトメアなの?」


「はぁぁ? ナイトメア? アンタは何を言っていんの?」


「あれ? 影が所有者を飲み込んで完璧な体を手に入れ、こんな真っ昼間に歩く事が出来るって、最強のスペクターじゃん」


「アンタ、バカじゃないの? もし、私が本当にアンタを飲み込むなら、アンタはどうやってここで私に質問をすることができるの?」


「!!…まぁ~確かに」


「でも、最強スペクターに関してはそれを受け入れるわ! フ フム…」


 昼野はクロノを褒めるつもりはなかったが、クロノは最強のスペクターだと誇りに思った。


「…しかし、スペクターは本当に食べる必要があるの? そういうのは初耳だけど。」


「わからない。まさか、私にこんな空腹感があるとは思わなかった。これはおそらく、私の体と心がアンタと融合しているから、いろいろな感情を引き起こすに違いない…」


「なるほどねー」


「もう、質問するのはその辺にしましょう。はやく食べ物を探そう」


「あの…その事だけど、オレ…お金がないだ。財布がなくなったから。」


「そんなものが必要?…」


「当たり前だ!お金がないとどうやって食べ物を買うのだ!」


「今の人間ってなぜ、こんな面倒なことをするの。」


「…お前はいつの時代から来たのよ?」


「それで、金ってどんなものなの?」


「ええと…そこの人が手に持っているものが見える、それがお金だ」


 昼野はクロノに目の前で買い物をしている男に差した。


「あの薄い紙のことなの?」


「そう」


「フン~」


 二人が喋っているうちに白い煉瓦で舗装された通りがどんどん増えていき、お店やレストランが開店した。小さな国境の町でしたが、それでも驚くほど多くの人が住んでいる。クロノと昼野は雑踏の中をゆっくりと進んでいく。混雑した店の前ではお互いの肩にぶつかる。


「ドンッ!」


 混雑した道でクロノは何人かの通行人とぶつかった。クロノの嫌な性格で、ぶつかった人に謝らない。そのことに彼は少しイライラした、なぜそんなに失礼なのか怪訝に思い始めた。


「フーン…こんな田舎町なのに、人はけっこう多いなぁ」


「オレもそう思った。俺が着いた時、町は空っぽだった。あの時はもうすぐ夜が近かったせいなのかもしれない」


 クロノは昼野の話を聞きながら分厚い札束を数えて、その一部を昼野に渡した。


「はい、これ…」


「ああ、ありがと…う……!!!!!」


 クロノが大きな札束とだれの財布を持っているのを見て、昼野は唾液を吹き出した。


「お前、どこから出した!?」


「ああ、さっき私にぶつかって来た人からとったのよ」


「ノウウウウウウウウウウウ!!」


 昼野はクロノの行動に頭を悩ませた。彼はクロノが盗んだお金と財布は所有者の元に返した。所有者は彼の生意気なスペクターのせいで無くした貴重品を探していた。


「…これからどうするのよ?アンタ」


「オレに聞いてもどうにもならない… まずはお金を手に入れない」


「でも、先にアンタはそのチャンスを捨てたじゃないか」


「頼むから、もっといい方法を見つけてくれない?」


「この残酷な世界では、正義が命を救わないのよ。」


「ある…その正義が絶対にある、…オレは信じている」


「…はい はい 好きにして。」


 クロノと昼野が群衆の中を歩きながら、この小さな町で暮らす住民に紛れた。その後ろを尾行してくる男がいた。男は昼野が最もよく知っている人物だった。


「これは、昼野くんじゃないか?」


 二人は男に目を向けた。クロノの表情は警戒の目を男に向けたが、昼野は違った。


「アレックスさん!!」


「…アンタの知り合い?」


「ただ知り合いだけではない、オレの命の恩人だ。」


「へ~…私以外にも、アンタを助けていた人がいたんだ?」


 最初に昼野を救ったのが自分ではないことにクロノは不満そうであった。少女はアレックスに近づいて挑発したが、昼野はそれを察し急いでクロノを抱き、無礼なことをする前に止めた。しかしクロノは諦めていない。


「ぐう〜〜」


 その時唐突に誰かのお腹の音が鳴った。一瞬全員が静止した。そして、答えは目を合わせずに顔を赤らめた金色の髪の少女に向けられた。


「クロノ、お前から話してくれないか? えっ!?今の音ってもしかして、ああっく!!」


 クロノは昼野の顔を強く絞って、彼は彼女に恥ずしいな事を言ったかのように羞恥に顔を歪めた。


「フン~!よくもこのわたしにそんな事を言えるね。そもそも、これはアンタのせいだからなー。」


「ははは、事情はよくわかった。じゃあ食事をしよう。二人とも私の店に来い?」


「いいのか?おっさん、私たちは持ってないよ…えー…その薄い紙ってなんだけ? お金でしょう?」


「大丈夫、私の奢りだ。さあ、付いて来きな。」


「ほぉ、じゃあ、お言葉に甘えて。」


 二人がアレックスの招待に乗り雑踏を進む間。アレックスは昼野の首を絞めるクロノをそのまま店まで引きずって行った。


 間もなく、三人ともは完全に赤煉瓦でできた小さな居酒屋にやって来た。それほど新しい建物ではない。とはいえ壁に煉瓦が割れ落ちているような廃墟というほどでもない。魔法の建物のように魅力的な魅力を通りがかる人々に振りまいている。そんな店構えだった。


 クロノと昼野が中に入って、居酒屋の前のバーカウンターに座った。う漆の塗られたカウンターは暖色系の店の明かりに照らされあわいオレンジ色に艶めいている。カウンターの背後には色とりどりの酒瓶が並んでいる。棚に設置された鏡が目を引いた。それらの美しい酒瓶を映し出す様子が印象的だった。


「へ~…結構いいお店じゃないか、おっさん。」


「はは、お褒めの言葉をいただき光栄です。お嬢ちゃん」


「さあ、私が料理を作っている間にお二人はカウンターの席で座ってね。」


「パチパチ ウムムム! ムムムムムム!!!」


「あっ!ごめん、忘れていた」


 クロノは先から昼野の顔を絞っていた手を離し、悪魔の手のようなクロノの強力な手を離れ、荒い呼吸で息を整えた。


「…はぁぁぁぁ『もうクロノに冗談を言うのはやめよう』」


「あら~!! どうしたの? 顔があんなに赤くなるなんて?」


「お前なあ…」


「今日は特別なゲストのための特別なメニューだ。さあお二人ともどうぞ、お召し上がれ」


 アレックスは沢山の朝食を厨房から持ってきた。目玉焼きとクリスピーベーコン野菜サラダとホットトーストパンを二人の前に置いた。クロノと昼野はもう待ちきれず、食べ物を口に入れた。カウンターでグラスを拭いているアレックスが笑顔を見せていた。


「そうだ!? 昼野くん、君に聞きたい事があるのだが。」


「はい、なんですか?」


「このお嬢ちゃんは…スペクターでしょう?」


「!!!」


「...」


 昼野はアレックスの質問に驚いて固まったが一方、全く動揺しなかったクロノは危険が迫って来たらいつでも反撃出来るように体制に入った。


「ええと、アレックスさん、その話だけど。『あっ、ヤバイ!アレックスさんは元サ・センターのスレイヤーであることをすっかり忘れた。クロノがスペクターであることがすぐにばれた。どうすればいいだ。』」


「もう隠さなくていいのよ、昼野くん。君もわかっているよね、ここで説明しないと私は君たちをここから出すわけにはいきません。」


「えー…あの…」


「はぁぁぁ…仕方ない、口を封じにコイツを殺す」


「ストーーーップ!!」


 この状況を悪化しないように昼野はクロノの行動を止めた。今までの出来事はもう沢山だから。


「ハハ、なんて熱血な若い者だ。心配しないで、私は何もしません。しかし何が起こっているのか。それを聞きたいだけだ。もし、君が話したくないというならば…」


「はい、話します!!」


 アレックスの手必死になって掴み静止し、話を聞いてもらえるように懇願した。


「うーん…その様子だとずっと苦しかったみたいだな… さあ、話してみな、私は聞くから。」


 昼野が今までの経緯をアレックスに話した。あっという間に時間が過ぎた。誰にも吐き出すことができず鬱積した気持ちが解放されるようであった。


「ウム~…なるほど。このお嬢ちゃんは本当にスペクターなのね。しかし、興味深いのは、それがマグナス様からもらったということ」


「…そのマグナスって奴…誰だ?」


「頼むから!お前はちゃんと礼儀をわきまえてくれない!」


「まぁまぁ、私は気にしないさ。それにこんな真っ昼間中に話したり歩いたりできるスペクターを見たのは、実は初めてなのだ。このお嬢じゃんは本当にすごいね」


「どうやら、クロノは過去の記憶を喪失しているようです。それについて、アレックスさんは何かわかることはありますか?」


「んんん…昔、ザ・センターが独自にスペクターを錬成しようとしていたという話を聞いたことがある。ただしその話は最高機密にされていたので詳細はわからない」


[そうですか…」


「とにかく、ザ・センターには謎が多い。気をつけろよ、昼野」


「は…はい」


「そんなに知りたいなら、直接マグナスに聞けばいいじゃないか」


「お前バカか…どうやって戻るってんだ? 今頃、向こうはオレが影使いになったことに騒いでいるだろう。それに俺が戻ったとしても間違いなく殺される」


「私がいるのにどうしてそこまで怖がっている?」


「まったく、お前の頭の中は暴れることしか考えてないのか?」


「そんなこと無い。それが一番手っ取り早いじゃん」


「ハハハ、二人とも本当に仲が良いね。」


「どこですか!!」


「どこだ!!」


 太陽が人々の頭上を移動するまで、三人の会話はまだ続いたようだ。時はすでに昼になった。昼食時となり人々が表へ繰り出してきた。


「普段はこの店にお客さんが来ないですか?」


「まぁ~私の店はほとんど常連客が多いからな〜 そうじゃ無い場合はいつもこのように静かな店だ。ハハハ、そうそう…先の話、マグナス様からの影使い捜索の話か?」


「はい…アレックスさんはこのことを知っているのですか?」


「いや俺はは何も聞いていない。しかしこの近くの丘の上の城は、影使いの隠れ場所かもしれないと聞いている。また、そこの城で働きに行く女性のメイドが失踪する事件も多発している。しかし、警察もザ・センターの連中もそのことには介入しない」


「何故ですか?」


「あの城は何百年もの間、偉大な貴族が住んでいた場所だ。しかもザ・センターとコネがある人物がいる。だから誰も手を出さなかった。それに、ここの住民達によると城の婦人はかなり残酷な人だと噂されているようだ。」


「はっ、ただイカれた金持ちじゃないか」


「確かにお嬢ちゃんの言う通りだけど、事を荒立たせないことがザ・センターにとって得策だということだ」


「そんなことがあるなんって、とても信じられないですね」


 昼野は今まで聞いて来た話をあまり信じられなかった。彼はザ・センターに育って来て色々なことを教えてもらってきたが、アレックスさんの言っている事は嘘だとは思えなかった。


「僕があの城に潜入します。何か役に立つ情報を見つけるかもしれません」


「いいのか、昼野くん…あそこはかなり危険だ。何がいるのかわからないぞ」


「もしあそこに、13年前の悲劇を起こした犯人の手がかりがあるならば、ボクにとっては賭ける価値があります」


「ホウ~でアンタはどうやってあそこに忍び込むつもりなの?」


「えーと…」


「もし本当に潜入したいというならば、私にはいくつかの考えがある」


「何ですか、教えてください。」


「城の婦人は城で働くメイドを探すために定期的に街に降りて来る。ちょうど今日がその日だ。これは潜入するチャンスだ」


「アレックスさん、何か作戦はありますか?」


「それはね…」


 昼野は、アレックスが耳元でささやいたことを聞くために手を添えた。そして計画に乗ることにした。クロノは頬杖をついてそれを見ていた。嫌な予感がした。彼らがどんな計画を立てているのか気になってしょうがなかった。話が終わるとアレックスと昼野がクロノを悪巧みをするかのような表情で見ている。


「おお…なるほど分かりました」


「でしょう?」


「それじゃあ、作戦を開始とするか」


「はい」


「は? なに? え ええっ?? 何をするつもり? ちょっと!!」


 二人はクロノをある部屋に連れて行った。そして、アレックスがクロノに衣装を渡した。クロノは前の前に大きな鏡がある部屋に立った、ここは間違いなく更衣室だ。彼女はアレックスが渡した衣装を見て困惑表情した。彼女はこの衣装を今まで見たことがないが、好奇心で着替えて見た。やがて、金色の髪の少女が新しい衣装と共に彼らの前に現れ、


「ホウウウ~ 悪くないね」


「ウム…そうですね」


「…/////… ね、何なのこの服は?」


 短いスカート黒メイドドレス姿で恥ずかしがっているクロノが立っている。白いオーバーニーソックスは、黒い革のロリータシューズによく映えていた。白いエプロンは生地の端に黒い十字架のパターンで刺繍されました。黒のメイドドレスが腰に巻かれ、クロノの胸に巻かれた白いシャツがさらに目立つ。ただでさえ萌えオーラを指数関数的に醸し出すクロノの金色のツイルテールヘアを、その衣装はいっそう引き立てた。


「ハハ、この服を着る女を見る事が出来るなんて思わなかった」


「しかし、このメイド服は誰のですか?」


「趣味で作ったのだ。いつか、かわいいメイドさんが店で手伝ってくれるときのため」


「えっ? 自分で?」


「これはただの趣味だ」


「えーと…好きな趣味を見つけて良かったです」


「ただ、他にやることがない変態オヤジだ。マジ、何考えてんだこのおっさん」


「この格好をすれば、クロノが婦人に雇われて城に潜入することができる」


「はっ!?…なぜそんな面倒くさいことを?」


「俺は真正面から戦いたくない。分かってほしい…今の俺は影使いになってしまったし、それにあそこにザ・センターとの関係が本当にあるなら、俺はすぐに狙われる」


「はぁぁ…好きにしろ」


「さあ、準備して。そろそろ、婦人が降りて来る時間だ」


「おっさん、まだ何か準備することがあるのか?それにこのスカート短すぎじゃない?」


「ハハ、すぐ慣れるさあ」


「…あっそう…」


「さあ、行きましょう。時間をかけないようにここから一番近い選抜会場まで案内する」


「行こう、クロノ」


「はい~はい~ ご主人様…」


 どうやら、少女は叔父と影の持ち主に突然、城に潜入する為にメイドに着替えさせられた事に不満を感じた。しかしクロノは昼野の話を聞いて一応納得した。今はまだザ・センターとの戦いを始めるときじゃない。


 三人は街の中心にある屋敷に向かって歩いた。そこで、メイド服を着た女の子たちが徐々に屋敷の庭に入り始めました。貴族の愛人に仕えるために選ばれるように、誰もが完璧に着飾っていた。


「ここはメイドさんだらけだ」


「凄いでしょう。こんな光景はなかなか見られないだろう」


「よし、クロノ。これから何をすべきかわかっているな? じゃあ、あとは頼んだよ」


「私は誰だと思っている? 大したことないわ」


「クロノ、城に入れたら影使いの手がかりを探してくれ。もし、それを見つけたら急いでそこから脱出してね」


「は? せっかく中に入れるから、そいつらを全員まとめて片付ければいいじゃないか…」


「それはやめてくれ。お願いだから…ね ね」


「…冗談よ」


「お前の冗談はいつもリアルすぎ」


「さて、二人とも時間だ」


「頼むぞ!クロノ」


「分かっているわ」


 クロノは自信を持って選抜に来たメイドたちの集まる庭に足を踏み入れた。屋敷の庭には選択の為にメイドが多くの出入りしている。メイド達の目線がクロノのところに集まっています。魅惑的なメイド服で庭に入ると野獣の心を震わせた男達に魅力をされた。しかし、このような高貴な貴族の場所では、あまり相応しくない、かなり失礼な事だ。


「ハハハ、アンタ、こんな恥ずかしい服をよく着れるな?」


「はぁ!?」


「マーガレット、そんな失礼なことをやめなさい」


「だって、このメイド服はやりすぎじゃん」


「...」


 茶色の巻き毛の少女は、率直な感想をクロノにぶつけた。クロノは思わず言葉を失い、声の持ち主に目を向けた。その横には、大きな丸い眼鏡をかけた別の濃い青髪の少女がいて、クロノに対してこれ以上の無礼を働くのを制止した。


「ごめんなさい、失礼なことを言って」


「まぁ~気にしないで、私だってこんな服を着たくないし」


「アンタにこんな服を着せた人はどうやら変態さんみたいだね、ハハハ」


「フ それは同意するわ」


 このメイド服を作った人に対する悪口が続く中、アレックスが誇らしげな表情で衣装を見届けると笑顔が堪えなかった。横でその光景を見ている昼野は思わず鳥肌がたった。


「おー!自己紹介はまだしなかったわね。あたしはマーガレット。そして、この子はあたしの親友のアンナだ。こいつは少し恥ずかしがり屋でね、いつも面倒を見ないと」


「もう、マーガレット、そんな恥ずかしいことは言わないでください」


「すまん すまん、でアンタは? エロメイド」


「はじめまして、私はクロノ。あと、私をそのよう呼び方を二度としないでね」


 マーガレットの親しみやすさのせいか、初めて会ったばかりなのに、三人はすぐに打ち解け親密に会話を始めた。


 屋敷の大きな扉が開くと共に全身は鎧で鉄の仮面をかぶった赤の騎士が出て来て、入り口の前に立ち止まった。メイドたちが次々と沈黙し、そして、礼儀を持って屋敷に足を踏み入れた。


 メイドの列にクロノがいた、彼女は周りを見回して観察した。彼女は赤の騎士を通り過ぎたとき、その赤の騎士の事を物凄く怪しいように見えた。あっという間に屋敷の前の門が閉まり、屋敷前の庭ではメイドの姿もういなくなった。ただ、屋敷の外で心配そうにクロノの選抜の結果を待っている昼野とアレックスおじさんがいた。


 屋敷の本館では会話の声が静まった。メイド達は左右に前にきちんと列を並び、もう、すぐ到着するご主人を迎えるのを待っています。しばらくすると赤の騎士が長い赤い絨毯の先にある白いドアを足で蹴り開ける。そこから、ドレス全体に黒いレースが入った赤いドレスを着た城の主人の姿が現れた。ふわふわした絨毯まで届くロングスカートは。腰を包む黒いコルセットのせいで砂時計のようだった。彼女は黒い羽で飾られた大きなつばの広い赤い帽子をかぶっていて、肌をほとんど見せない衣装だった。愛人は、メイドたちが一斉に彼女にお辞儀をする中を歩き出した。


「ようこそ、レディエリザベス!!」


 挨拶をせずクロノを除いて、ただ他の人を追いかけた。レディエリザベスは、各メイド、彼女の顔、髪の毛、顔色、そして彼女のマナーを注意深く精査しました。


「…良い…合格!彼女を連れ行って…」


「どうも、ありがとうございました。レディエリザベス」


 メイドが次々と徐々に選ばれ、選ばれた人はとても幸せそうな表情で、自分の嬉しさを抑える事が出来ぬ人もいながら選ばれなかった人はがっかりし悲しい表情を抑える事ができなかった。マーガレットとアンナもうまく選ばれた。レディエリザベスはゆっくりと歩き、そして、クロノの前で立ち止まった。


 恐ろしいレディエリザベスは彼女の前の金髪のツイルテールの女の子を見下ろしました。雰囲気は完全に静かで、緊張はすぐに高まり始めた。他のメイドたちは何が起こったかに驚いた。彼女たちは頭を向けて彼女たちを見たかったのですが、マナーを失うことを恐れてできない。レディエリザベスは軽蔑的な目でクロノを見つめ続けました。彼女はすでに彼女の前に立っていたにもかかわらず、クロノは彼女の愛人に挨拶をしませんでした。


「なぜ、わたくしに挨拶しなかった…」


「必要か?…」


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 ショックを受けたメイドたちは、すぐにクロノに頭を向けた。彼らは皆、オーディションに参加するマナーを忘れ、前後にうわさ話をしていた。誰かが前にレディエリザベスの前でそのようなことを言ったのは信じられないことで。それは死刑にさえつながる可能性があるほど失礼でした。アンナとマーガレットも彼らの顔に非常に衝撃的な表情をしていた。


「あのバカ、何をやっている?」


「クロノちゃんは何をするつもりなの?」


 レディエリザベスとクロノから突然雰囲気が緊張した。これにより、そこのメイドは彼らの顔にかなりなじみのない表情を持ち始めました。


「あなたはわたくしをバカにしているのか?」


「私は毎朝と毎晩に主人を挨拶したいのなら、私を選んで下さい」


「…ならば、これからわたくしの近くで仕事するために城に来てもらう。あなたの傲慢はいつまで続くのか見て見たいわ」


「喜んで、レディエリザベス」


「彼女を行列に連れて行け」


 まさか、主人がこんな無礼なメイドを受けるとはとても信じられなかった。それでも、今日の出来事は彼女を許されることではない。クロノは間違いなく主人に罰を受けるだろうとメイド達が思った。


 選抜は終わり、レディエリザベスの馬車は城に戻る途中です。レディエリザベスが用意した馬車には、厳選された数十人のメイドが並んでいた。古い建物の屋敷の反対側では、少年とバーテンダーおじさんが双眼鏡を使って状況を詳しく調べていました。


「...」


「クロノお嬢ちゃん見えるか?」


「うーん…まだです。えっ、あれ! あそこです。最後尾にいます」


「おの嬢ちゃんが選ばれたの? 本当に凄いね」


「そうです、ボクも心配しました。あんな生意気性格がよく選ばれると………うんんんんんんんんん?!」


 クロノがメイドと一緒に馬車の中を歩いていないことに気づいたので、昼野は一瞬立ち止まった。代わりに、彼女は行列の後ろにある金属製の檻に入れられた。


「…どうして、クロノはあの中に入れられたのか?まさか、選抜の時にまずい事をやらかした」


「まあ、少なくとも今は合格したって事かな?」


「『あれって、まるで囚人じゃないか?』…ボクはちょっとクロノの事が心配になって来ました。ボクも城までついて行きます」


「私は反対するつもりだけど、しかし、君を止める理由はない…それに私もあのお嬢ちゃんの事が心配している… それじゃあ、お嬢ちゃんを助け行く前にちょっと、私についてきて」


「はい」


 アレックスと昼野はバーに戻り、そして、店の裏にまっすぐ向かった。そこは何かが古い曇りのマントで覆われている。アレックスはその古いマントを取りに行くと、黒いサイドカー付きオートバイクが停まっている。随分と使用されていないようが、まだまだ良い状態をしている。


「アレックスさん、どうしてボクにこのバイクを見せるのですか?」


「城までの道はかなり遠いから奴らを追いかけるにはこれを使う方が早い」


「アレックスさん、これを貸してくれるのですか?」


アレックスが昼野に何かを投げた。彼が自分の手元にあるものを見て、それはバイクの鍵だ。


「君、運転できるか?」


「ええ、ちょっとだけです」


「もし、できないなら今から練習するのだ。あとクロノお嬢ちゃんをよろしく」


「はい…えっ!? アレックスさんは一緒に行かないですか?」


「ああ、私が一緒にいても邪魔なだけだ」


「なぜ、そう思うのですか? アレックスさんは強いのに」


 アレックスは昼野に少し首を横に振ったが、個人的な理由で彼を拒絶するのに十分だった。


「今の私の力は昔とは全然違う。この力は緊急の時に取っておきたいだ。それを分かってほしい」


「そうですか…分かりました。それでは行って来ます」


「ウム…気をつけて。昼野君」


 昼野が鍵を差し込んでバイクのエンジンが起動した。そのエンジンは見た目の割にはよく動きそうだ。長い間使用されていないわりには悪くない。もし、このバイクが喋れたら、自分を起動してくれた人に感謝しているところだろう。昼野は出発前にアレックスを見た。出発の準備ができたとお互いに幸運を示す親指を出した。


 昼野はバイクを加速し、クロノがいるレディエリザベスの城へ向かった。 レディエリザベスの馬車を追い掛けるのは遅いかもしれません。それでも、昼野は彼をザ・センターの兵士の目を避けるために街を迂回することにした。馬車の護衛に気づかれずに馬車からの距離を保ちながらバイクを走らせる。


 城へ向かう途中の馬車の側護送船団の後ろにある鉄の檻では、邪悪な金髪の少女が快適そうに足を組んでいた。こんな状況でも彼女はまったく動揺しなかった。


 夕上げの頃ではレディエリザベスの馬車が灰色の煉瓦の壁のある巨大な入り口に到着した。その壁を見上げると首が痛くなるほどとても高かった。馬車を迎え入れる為にゆっくりと開いている巨大な門を待つ馬車はゆっくりと止まった。馬車の列は道路の両側に掛けられた騎士の鎧が並ぶ緑豊かな庭園を通過した。その装甲騎士を見ると、鳥肌が立ち上がるほど恐ろしかった。


「ヒヒーン」


 騎手が馬を止めた後、馬は叫び声を上げた。なぜなら馬車は城の巨大な入り口の前で止まっているからだ。メイドたちはゆっくりと馬車から降り、まっすぐ城へ向かった。一方、檻の中で待っているクロノは、その地域を所有する貴族の壮大な古城を見た。見た目は綺麗だが、恐ろしいオーラを感じた。


 クロノの檻に向かって来る足音が鳴り、赤の騎士が檻の扉の方に歩いてきて扉を開けた。彼はクロノを引っ張り引き下ろそうとした。


「ピウッ!! 私に触るな、この鉄ごみ」


 クロノは赤の騎士の目の穴に小さな石を投げ入れた。彼は少し立ち止まったが叫び音を出さなかった。そして、再びクロノをつかもうとする。クロノと赤の騎士の攻防が続く間にレディエリザベスがやって来た。


「あらまぁ~、凶暴なメイドだね。実にいい、調教しがいがあるわ」


「フウ〜喜んで、レディエリザベス。私はいつもレディエリザベスからご命令をお待ちしております」


「ついてきなさい…」


 クロノは城の地下室に連れて行かれた、それは暗くて暗いもので。それは廊下にぶら下がっているいくつかの小さな提灯によってのみ照らされました。彼らは、大きな鉄の納屋がぎっしり詰まっているように見える檻の前まで歩いて行きました。赤の騎士はクロノを中に押し込み、クロノを閉じ込めていた金属棒のドアを閉めた。


「今日からここがアンタの寝所だ。良いでしょう。このケージはあなたのような下市民にふさわしい」


「…どうも、ありがとうございます。レディエリザベス」


 クロノは振り返り、少ししゃがみ込み、スカートの先を持ち上げて、謙虚な感謝の気持ちを表した。


「それじゃあ、ゆっくりしてね。今日はとても大切なお客さんが待っているので、君のような下市民と遊ぶ時間がないだ。時間がある時はまた遊び相手にしてあげる」


 レディエリザベスは、重要なゲストが来るために新しいメイドを準備するために去りました。クロノはまた、レディエリザベスがこのような場所に投獄されていたという事実に動じないみたい。


「うわー、こんな所が寝所とは呼ばないわ。下水道よりも汚いわよ」


 部屋の中の状態はかなり悪く、雰囲気は湿気があり腐っていた。煉瓦の壁から粘り気のある液体が流れる黒緑色の苔は嫌そうに見えた。クロノはこの独房の物事を調べましたが、それは汚物に他ならないようでした。


 彼女は側面に錆びた鉄の棒がある小さな窓に歩いて行った。外を見ると、製材所でいっぱいの荒涼としたエリアしか見えない。しかし、遠くない目の前の森で、彼女は誰かが自分を見つめていることに気づいた。クロノは彼女を見つめている人を見て、すぐにその人に明るくかわいいポースをした。


「…クロノ、あいつはあそこで何をしている?」


「私が何をしているじゃなくて、アンタのほうこそそこで何をしている?」


「ウワワワワワワ?!! お前どうやって来たの?」


 突然、クロノが昼野の前に現れて、昼野は物凄くびっくりした。


[私はアンタの影だよ。忘れていたの? アンタがどこにいても、私もそこにいるよ」


「あ…うん、お前がこんなことができるのは今で初めて知った」


「ならば、知っておきなさい」


「ところで、様子はどうだ、クロノ?」


「私がここに入って来たばかりなのよ。何が知っているわけないじゃん?」


「そ…そっか。じゃあ、今からオレもお前を手伝ってやろうか?」


「嫌だ、邪魔だから」


「ゥク! 少し、人の親切を受け止めてくれよ…」


「まあ、心配しないで、アンタはここで待っていればいいのよ」


「うん…分かった」


「正直に言うと、私はこの場所が好きじゃない」


「なぜだ?」


「分からない、ただの予感だわ」


「!! 誰が来た、戻らなきゃ」


「うん、気をつけて、クロノ」


「分かっているわよ」


 クロノは別れを振って、彼女が現れた木の影に飛び込んだ。上昇する魔法のように、クロノは瞬く間に独房の壁の影から現れた。クロノを見ている昼野は、彼女の能力を心からほめたたえた。


 クロノは数秒後、彼女の独房に戻ったとき誰かが彼女の独房に向かって歩いた。クロノの独房に向かって歩いている足音の主は、丸い眼鏡の少女アンナで、彼女はクロノのことをとても心配していた。


「あら、アンタなの?」


「ええ、私です。クロノちゃん」


「『ちゃん』をつけるのはやめて恥ずかしいから」


「どうしてですか可愛いのに? ちょっと待ってください、今扉を開きます。ところでクロノちゃんは怪我をしていないですよね?」


「ご覧の通り傷ひとつは付いてないよ。ところでアンタはどうしてここに来たの?」


「レディエリザベスは私にクロノちゃんを連れて来るよう命じられたから」


「フ、どうやら初仕事がきたみたいですね。しかし、アンタがどうやってこの独房に来られたの?」


「…実はここに来る途中に迷子になってしまったけど、偶然にこの独房を見つけた。レディエリザベスが暗い地下に行くように命令を受けた時は死ぬほどとても怖かった。レディエリザベスが私にここに来る道の説明を受けても道に迷うのはとても心配だった」


「アンタはラッキーガールですか?」


「もう、そんな私をからかわないでください…さあ、急いで行きましょう」


 二人とも冷たい地下の廊下を歩いた。アンナもかなりおびえているように見えたので、そばのアンナを覗きクロノは、彼女をからかうのを楽しんでいた。 アンナのうなじを撫でた、彼女は愛らしい鳴き声を上げ。


「いややややややや!!」


 アンナはすぐにクロノに顔をしかめた。クロノはアンナもこんなにカワイイとは思っていなかったので少しショックを受けました。


「クロノちゃんのバカ!!」


「ごめん ごめん、アンタがあんなに怖がっているのを見てちょっとだけからかいたかったの」


「いや、二人目のマーガレットのように振る舞わないでください。」


「まぁまぁ、少なくともアンタはもう落ち着いただろう?」


「あっ…本当だ。でも今度は別の方法でやってくださいクロノちゃん」


「はい〜はいい~」


「もう、クロノじゃんのいじわる。」


 クロノの悪戯の結果、年齢相応の女の子らしい会話をするまでに二人の緊張をほぐした。


「クロノちゃん、ちょっと聞いてもいい?」


「『ちゃん』をつけるな、で何?」


「どうして、あの時クロノちゃんはあんなことをレディエリザベスに言ったの。クロノちゃんはレディエリザベスの事が嫌いの?」


「…でアンタはあいつの事好き?」


「…私 その…」


「難しいなら答えなくてもいいのよ。アンタはもう、心の中に答えがすでに出ていると思うよ?」


「…うん…」


 二人が話しながら歩いていると、二人は神秘的な城の大広間にやって来たと気づいた。大広間はレトロモダンな内装となっていた。壁全体にろうそくの明かりの代わりに電球が設置され、上のシャンデリアが城全体を照らしていた。城のすべての廊下に、黄金色の華やかな刺繡が施されたレッドカーペットが敷かれていた。そして最後に、彼らの前には多くのレディエリザベスとメイドがいて、赤の騎士がレディエリザベスの後ろに立って彼女たちを待っていた。


「やっと来たわね、このくそ豚。」


「…お呼びですか?レディエリザベス」


 血の気の多いクロノは、入ってレディエリザベスの顔を殴り血を見たかった、がしかし仕事を台無しにしたくなかったので、自分の感情を抑えた。


「いい子になったじゃないか。わたくしがあなたに与えた宿泊施設に満足していますか?こんなに変わったなんて… まぁ、わたくしは気を変わりましたわ。このお城のメイドになったからには、そんな泥だらけの豚のように寝かせることはできません。」


「…どうぞ、ご命令をレディエリザベス」


「よし、わたくしについて来なさい。そして、お前たちは、自分の仕事に戻りなさい」


「はい! レディエリザベス」


 クロノはレディエリザベスと赤の騎士を追って部屋に向かった。この部屋の前には、頭上のはるか上まで伸びる階段があります。長い間誰も掃除に来ていないかのようにかなり汚れているように見える


「急いで降りて来なさい、このくそ豚…さあ、部屋に入なさい」


「…はい レディエリザベス」


 クロノはまだ彼女の愛人の命令に従い、階下に行ってその汚れたドアを部屋に開けた。そこはかなり暗く、壁に沿って灯り無しには何も見えなかった。外からの光を透過させる窓や開口部だけでなく、不快な臭いが漂っていた。


「この城の最も重要な仕事ができるとは君達、本当に運が良かったわよね。この下は長い間、誰も掃除しに来なかった。中にはこの城の汚物がたくさん溜まてるわ。だから君達にここを掃除してもらう。絶対に汚れや腐った臭いを残すじゃないわよ」


「…誰もここを掃除しないのではなくこのような場所に降りて来る人はいないのだ...もうやりたくないのかしら?」


「いいえ、やります。レディエリザベス」


「ならいい、さっさと掃除しなさい。このくそ豚」


 赤の騎士がドアを閉めて。そして、クロノがいる部屋の鍵をかけた。彼らの足音はどんどん遠ざかり、クロノは部屋に一人で残された。


「…さて、ここに何があるかを見てみよう… しかし、ここの臭いはまるで何百年前から何か死んだものがあるように臭いだなぁ… まったく」


 メイド服姿のツイルテール少女が恐怖もなく掃除用具と小さなランプを手に持って暗闇の中へ歩いて行った。この暗い部屋で十分に光を照らせるくらいの明るさだ。






 一方、城の外では太陽がゆっくりと地平線の下に沈んで行くと共に光が消えて行く。城のあちこちから松明が掲げられた。夜の静かな雰囲気がゆっくりと城に向かって来る。しかし、城壁の入り口にある大きな鉄の門の前から大きな音がした。その門が開く同時に黒くて美しく装飾された馬車が城に入って来た。


 城の入り口の前ではメイド達が馬車の到着の迎え準備をした。馬車は城の入り口へ続く長いカーペットの前で止まった。どうやら、この歓迎はとても大切な客人のために違えない。


 馬車の馭者が降りてきて、中の人が降りられるように馬車の扉を開けた。馬車の中から老人が降りてきた。その老人は地面まで落ちるくらいの長いマントを着ている。そのマントの真ん中には黒い十字架がある。彼が頭にはとても目立つ小さな赤い聖人の帽子を被っている。


「ようこそ、サイモン卿!!」


 この老人の名前はサイモンという。彼はこの温かい歓迎を見て、笑顔を見せた。


「ようこそ、サイモンクラウス様。今日は来ていただいて本当にうれしいですわ」


「おおう~ レディエリザベス…」


 レディエリザベスは直接ブラッククロス帝国のサイモンに挨拶した。この親しいやり取りを見ると、どうやらこの二人は何度も会ったようだ。ブラッククロス帝国のサイモンはレディエリザベスに城へ招待された。彼らは長い間、大きく開いた城の扉に姿を消していた。


「…あの、誰だ? ザ・センターの人?…でも、その衣装は違うな?」


 昼野は双眼鏡を使って、遠くから城の動きを観察した。思わぬ事態が発生した場合、彼はすぐにクロノを助けに行きます。この場所に来た客人達は自分の護衛を連れてきた人が多いだから、昼野はただ予想外のトラブルが起きない事を祈った。

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