15
華々しく幕を開けた文化祭。
そんな文化祭も終わる時は意外とあっさりもの……ではない。
山を登って達成感に満たされた後に待っているのは、同じ景色の来た道をまた戻るという運命が待っている。
ようは、閉会式を経てぱったりと終わるものじゃないということである。
自分の尻は自分で拭けよ、ということである。お片付け~♪ お片付け~♪ ということである。
なので、真の終わりはまだではあるが、この行事・イベントに一つの区切りをつけるのが
「これより文化祭閉会式を始めます」
そんな儀礼を目の前にして、俺は今大量の汗を流していた。
「まずは校長先生からの挨拶です。校長先生お願いします」
人間って汗こんなに出るんだ。え、鼻血?
「えー、皆さんは今回の文化祭どうだったでしょうか……」
……あ、鼻血じゃなかった、良かった。ティッシュ、ティッシュ――あーやべっ足の震え止まんな。
「ありがとうございました。それでは次に生徒会長からの挨拶です」
喉が無限に乾く……さっきからずーっと唾を飲んでるのに、一瞬で渇いて水分を渇望してしまう。
「えー今回、生徒会長が体調不良でお休みなので、代わりに副会長の佐藤さんにお言葉を貰います。佐藤さんお願いします」
名前を呼ばれて周りを見渡し、壇上に置いてあるマイクの前までゆっくり歩いていく。
裸一貫で向かうのだ。
光に照らされたステージの上、俺はただ目の前を真っ直ぐ見つめる。
……メモ帳まじでどこいったん?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます