8
「ねぇ?」
「なに」
「あんなに都合いい感じで仮装した人がいることなんてあるの?」
「うーん……そんなことも、あるんじゃないか? 実際にいたわけだし」
「それはそうだけど……」
何やら腑に落ちなさそうな様子である。
「ほら、もう終わったことは置いておこうじゃない。それよりほら一年一組着いたぞ」
俺達はこの騒動の出所を探る為、最初のポイントである一年一組から最後のポイントの茶道部までを訪れて、何か情報がないか聞き込みをすることにしたのであった。
どうやら、一年一組は飲み物を売っているカフェ的な休憩所的なものをやっているらしい。
そして、その教室の前の廊下に置かれてある机と椅子、そこに一年一組の生徒だと思われる男子生徒が一人。
「お疲れ様です。生徒会のものです」
「お疲れ様です。どうかされたんですか?」
「あのですね、今スタンプラリーをやってるじゃないですか」
「はい」
「それでですね、どうやら既定の数、七個のスタンプの他に一つ多くスタンプが押されている事例が見られるんですけど」
「はぁ……」
「何か知ってることってありますか?」
「いや、特にはないですけど」
「そうですか……じゃあ、あなたの他に何か知っていそうな人とかって心当たりありますか?」
「他に知っていそうな人? ……うーん、別にいないかもしれないですね」
「分かりました。ご協力ありがとうございます、引き続きよろしくお願いいたします」
「はい」
そんな質素な会話をして俺達はその場を離れた。
「何にも得られなかったじゃん」
「まぁまぁ、気を取り直して次は二年二組行くぞ!」
「その前にちょっとここで一服していかない? あたしあのサイダー飲みたくなっちゃった!」
「えぇ……」
俺はスマホの時計をチラッと確認して、
「ちょっとだけだからな。少し休んだらすぐに行くぞ」
「やったー!」
と結局流されてしまったのだった。
……俺は何にしようかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます