「ねぇ?」

「なに」

「あんなに都合いい感じで仮装した人がいることなんてあるの?」

「うーん……そんなことも、あるんじゃないか? 実際にいたわけだし」

「それはそうだけど……」

 何やら腑に落ちなさそうな様子である。

「ほら、もう終わったことは置いておこうじゃない。それよりほら一年一組着いたぞ」

 俺達はこの騒動の出所を探る為、最初のポイントである一年一組から最後のポイントの茶道部までを訪れて、何か情報がないか聞き込みをすることにしたのであった。

 どうやら、一年一組は飲み物を売っているカフェ的な休憩所的なものをやっているらしい。

 そして、その教室の前の廊下に置かれてある机と椅子、そこに一年一組の生徒だと思われる男子生徒が一人。

「お疲れ様です。生徒会のものです」

「お疲れ様です。どうかされたんですか?」

「あのですね、今スタンプラリーをやってるじゃないですか」

「はい」

「それでですね、どうやら既定の数、七個のスタンプの他に一つ多くスタンプが押されている事例が見られるんですけど」

「はぁ……」

「何か知ってることってありますか?」

「いや、特にはないですけど」

「そうですか……じゃあ、あなたの他に何か知っていそうな人とかって心当たりありますか?」

「他に知っていそうな人? ……うーん、別にいないかもしれないですね」

「分かりました。ご協力ありがとうございます、引き続きよろしくお願いいたします」

「はい」

 そんな質素な会話をして俺達はその場を離れた。

「何にも得られなかったじゃん」

「まぁまぁ、気を取り直して次は二年二組行くぞ!」

「その前にちょっとここで一服していかない? あたしあのサイダー飲みたくなっちゃった!」

「えぇ……」

 俺はスマホの時計をチラッと確認して、

「ちょっとだけだからな。少し休んだらすぐに行くぞ」

「やったー!」

 と結局流されてしまったのだった。

 ……俺は何にしようかな。

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