八つの印と大舞台と佐藤
1
午前9時。
キーンコーンカーンコーン――と、いつもの時間に、いつも通りのチャイムが鳴り響いた。
しかし、それぞれの教室の様子は全くもっていつも通りではなく、それぞれのクラスで、それぞれに違う環境でのホームルームが始まっていた。
「……はい、ということで今日が文化祭本番になります。午後から地域の方々や親御さん方が増えて来るかと思いますので、わが校の生徒として失礼のないよう心がけてください。えー他に連絡事項は……」
今日だけは先生からの簡素な注意喚起など誰も真剣に聞いていないだろう。
それは、周りにいる誰を見ても感じ取れる。
あの女子もあの男子も、いつも窓際で冷静を装っているあの子でさえも、文化祭というイベントを楽しむのだと、心躍らせて期待しているのが雰囲気で見て取れるぐらいにはみんな浮かれていた。
「……はい。これでホームルームを終わります。では、解散して体育館へと集まってください」
ざわざわ、がたがた、がやがや……。
先生からの解散宣言を口火に、クラスメイト達は各々体育館へと波のように流れていく。
その流れに乗って、クラスの友人たちと雑談をしながら俺も体育館へと向かうのであった。
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