第13話 貸切風呂で

山道をぐるぐると登ってしばらく行くと、クマ牧場へ到着していた。


ここが、ニコルが来たかった目的地だったようだ。


「懐かしいなぁ。子どもの頃によく家族と来たんだ。」


ニコルが嬉しそうだ。


「そうなんだね。クマかぁ、楽しみだな。」


山の斜面を利用したクマ牧場だった。


ニコルは受付で入場料を払い、クマの餌だというドライフルーツの入った小袋を5つ買う。


「そんなに餌買うの?」


俺がこっそり聞くと、


「ドライフルーツはこの入場受付にしか売ってなくて、クマはこのドライフルーツが大好きなんだよ。食いつきが違う。」


「はぁ、そうなんだ。」


受付のおばさんは、


「ドライフルーツを5つ買ってもらったら、1つサービスする事になってるのよ。」


と言って、6つのドライフルーツの小袋を渡してくれた。ありがたく頂く事にする。


「あ、あと5分で子グマと写真が撮れるイベントが終わるから、行かれるなら急いでね。斜面の1番上に子グマ舎があるから。」


それはぜひ撮りたい!


2人で斜面に作られた階段を駆け上がる。

呼吸が上がる。


子グマ舎へ入ると、もうお客は誰も居なかった。


千円を支払うと、俺の携帯電話を係員に渡す。自分の携帯電話で写真を撮ってもらえるようだ。


ニコルと並んで木製のベンチに座る。2人の膝の上に毛布を乗せられる。そして木でできた盃のような物を渡された。盃の中にはすりおろしたりんごが入っている。


すると、口にガードをはめられ、おむつをした子グマが1頭連れられて来た。ツキノワグマの赤ちゃん。身体は真っ黒。


係員が俺とニコルの膝の上に子グマを座らせた。まだうぶ毛のようで、ふわふわだった。大人になるにつれて、毛が硬くなっていくらしい。


ガードの中から舌だけ伸ばして、一生懸命にりんごのすりおろしを舐める。両手で盃をしっかりとホールドしていた。


その様子が可愛くて、、。


「かぁわいいー!かわいいなぁー!」


思わず連呼してしまう。


係員は何度もシャッターを切ってくれる。

ワンショットじゃないんだなぁ、嬉しい。


子グマの可愛さの余韻が冷めぬまま、子グマ舎を出る。


何区画かに分かれたエリアに、ツキノワグマが沢山居た。


さっそくドライフルーツを投げてみる。


すると、クマたちが立ち上がって両手を上げて、こっちへ投げろというように待ち構え始めた。


慌てて待ち構えているクマにドライフルーツを投げてみる。


ドライフルーツはクマの顔にぶつかって、コロコロと転がって、下の溝へ落ちてしまった。


「ご、、ごめんー。」


ニコルはそんな俺を見てふふっと笑うと、クマに向かってドライフルーツをポイっと投げた。パクッとクマが上手に口を開けて食べる。


「うまっ!いいなぁー。」


俺も何度か投げているうちに、何回かはクマが上手に口でキャッチしてくれるようになった。


夢中で投げているうちに、6袋あったドライフルーツはすぐに無くなってしまった。


牧場内の自販機で100円のクマ用クッキーを買う。


クマ用クッキーも、投げると喜んでクマたちは食べてくれる。クマ用クッキーもすぐに無くなってしまった。


キリがないので、この辺りで帰る事にした。


ニコルが車のドアを開けながら、


「この近くに露天風呂が11種類ある、温泉の森っていうのがあるんだ。そこへ行ってみる?」


と聞いて来た。


「うん。いいねー!」


温泉の森へ着いて、そこの食事処でとろろそばと川魚の塩焼きを食べた。


それからいざ温泉へ向かおうとすると、


「あのさ、貸切風呂っていうのがあるみたいなんだけど、そこに入ってみる?」


ニコルが言った。


「うん。いいよ。」


貸切風呂は空いていたのですぐに入れた。


身体を洗って、小さな檜の露天風呂へ入る。

先に湯船に入っていたニコルがすぐに寄って来て、唇を合わせる。舌を絡め合う。


明るい自然光の中で、2人とも素っ裸。

檜の香りと温泉の硫黄の香りに包まれている。


湯に浸かったまま、あ、このまま抱かれるのかな、と思う。


ニコルの指が、俺の首から胸に降りて来て乳首を摘む。


そのまま唇も下りてきて、もう片方の乳首を舐めて来る。


ゾクゾクと感じてしまう。


「あ、、ニコ、ル、、。」


「みつき、可愛い。」


指が1本、2本と下の穴に入って来る。

朝セックスしたばかりだから、簡単に入る。



「あぁ!!あ、、ん!あぁ!!」


「充生っ、気持ちい、、いっ、はぁ、、。」


湯船の縁を掴んで、後ろからニコルに突かれる。


顎を掴まれて後ろからキスされた。


俺のモノからトロリとした液体がピュッと出る。すると、ニコルも俺の中に液体を注ぎ込んで来た。


ニコルは俺を自分の方に向かせると、ぎゅっと抱きしめた。


「充生、俺は今凄く幸せだよ。」


「ニコル、、俺も凄く幸せ。」


俺はぐったりとニコルにもたれかかった。


その後、ニコルは洗い場へ俺を連れて行って、優しく身体を洗ってくれた。俺の下の穴にも指を入れてニコルが注ぎ込んだものを洗い流してくれる。


恥ずかしくてニコルの顔が見れない。

、、少し、感じてしまう。


その後は、服を着て11種類の露天風呂へは入らずに、車に乗り込んで家路についた。


俺は車の中で眠ってしまって、目が覚めたときには、もう家の前だった。


「ニコル、ありがとう。ごめんね、俺寝ちゃって、そのうえ家まで送ってもらってしまって。これから車を返しに行くんでしょ?」


「こちらこそ今回は付き合ってくれてありがとう。大丈夫だよ、充生こそ早く休んでね。あと、これは今日の記念に。」


ニコルが紙袋を渡して来る。中には土産物屋でニコルが買っていた水うちわが入っていた。


きちんと紙箱に入っている。


「え?これニコルのじゃなかったの?」


ニコルは車の後部座席からもう1つ紙袋を出して見せた。


「俺のもある。絵柄も同じ、水の波紋の絵が描いてあるやつ。」


「そうなんだ!嬉しいよー!俺は高かったから買うの諦めたのに!」


「充生、見惚れてたでしょ?欲しそうだったから。夏にこれを持って花火大会でも行く?浴衣着て。」


「うわぁー、それ最高だね!」


「うん。楽しみにしてるよ。じゃあね、早く休んでね。また明日!」


「うん。ニコル、ありがとう。おやすみ。」


ニコルの乗ったメタリックブルーの車が遠ざかっていくのを見送ると、俺はすぐに家へ入って自分の部屋のベットに倒れ込んだ。そして、そのまま朝まで眠ってしまった。


心地よい深い眠りだった。




つづく







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