第8話

一瞬の邂逅の後、第四次機体ハイエンドが動く。

身体を捻り凄まじいスピードで滑空しながら、手にした突撃銃アサルトライフルが発射された。

ネクはシェフィルを庇いながら、他の冒険者から借りた防弾盾バリスティックシールドでそれを防ぎ反撃の機会を狙う。

だがネクやシェフィルが一手動く前に、第四次機体は上空へと移動。

シェフィルが選抜銃マークスマンライフルを連射モードに変えて追撃するが、踊るように体をひねり第四次機体は回避する。

そして天井すれすれにまで移動すると、そこで滑腔砲タンクキャノンをネクらに向ける。

防弾盾を構えたネクだったが、滑腔砲が光を明滅する様子を見て、ネクに猛烈な悪寒が走った。




ギュイイイィィ━━━━━━━━━ッ



『ネク、避けて!あれは防げない!光線砲プラズマキャノンよ!!』


シェフィルの悲鳴にも似た指摘に、ネクは弾け飛ぶようにして回避行動をとる。

それとほぼ同時に第四次機体が発砲した。



ゴォォォォ━━━━━━━━━━━━━━━━━ン!!



光が空気を焦がしながら着弾し、爆発。

濛々とした煙が巻き起こり、ネクの姿が見えなくなる。

だがシェフィルが何か言うよりも先に、光線砲を脱装パージした第四次機体がシェフィル目掛け滑空してきた。



『ネクッ?! よくもっ!』


シェフィルは連射モードの選抜銃マークスマンライフルを向けて発砲する。

寸分違わず第四次機体のいる空間へ殺到する銃弾は、しかし着弾する寸前に第四次機体が身を捻り回避する。

くるくると回転しながら降りてくるように見えるそれは、自身が襲撃されているのでなければ、見惚れてしまうほど見事なものだった。



『このっ!』


舌打ちしたシェフィル。再度銃撃をしようとするが、距離を詰められすぎた。

銃を捨て、肩に備えた加熱剣ヒートダガーを引き抜く。

高熱により刀身をプラズマ化させることができるこの短剣は、光線剣ビームサーベルとも切り結べる武器だ。

第四次機体が振りかぶったそれに、シェフィルが加熱剣を合わせ、バチバチと鍔迫り合いが発生する。

そうして生まれた刹那の均衡の合間、シェフィルは短剣を持つ手とは別の手で腰に下げたホルスターから自動拳銃マシンピストルを引き抜く。

反動がキツイものの、連射性能を機関銃以上に高めたそれを第四次機体目掛け発砲した。



ズガガガガガガガガガガガガガッ


第四次機体に銃弾が命中する。しかし致命打には至らない。

第四次機体は光線剣を収め、装甲を損傷させながらも、跳躍するように後方へ離脱した。

一瞬で弾をすべて吐き出した自動拳銃を捨て、その第四次機体に追撃を加えようと、シェフィルは短剣を構え一気にブースターを吹かす。

が、機体の足にカツン!と何かがぶつかる音がして、思わずそちらにカメラを向けた。

そこにあるのは手榴弾グレネード

第四次機体が離脱しながらその場所に置いて行ったそれは、当然ながら安全装置ピンは抜かれており、起爆時間を間近に迎えていた。



『しまっ……』


それは、シェフィルが離脱するよりも早く、至近距離で爆発を食らったシェフィルの機体は、殺意の爆風と鉄片の嵐に機体を大きく拉げさせ、壁に叩きつけられるように吹き飛んだ。


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