第7話
ネクとシェフィルは、地下に張り巡らされている
その場所には、かつてはこの
もう何十年以上も動いていないのであろうそれは埃も積もっていたが、しかし現物を初めて見たネクとシェフィルは心が沸き立つのを感じた。
ドローンさえいなければ、何時間でもここを探索したのであろう。
だが気持ちを抑え、後で必ず調査に来ることを約束する。
『……静かね』
『うん』
シェフィルのつぶやきに、ネクは同意する。
引っ切り無しに襲い掛かってきた、あるいは周囲を巡回し続けていた
ここはドローンにも見つかっていない場所……ということは、ないだろう。
訝しがりながらも、階段を使って広間の上へ移動する。
『……!』
その先で二人は息を呑む。
広間から出た先は、大きな空間になっていた。
かつて地下鉄には、単なる公的な移動手段としての使用目的のほか、商業施設を併設し、地下に街を作っていたとシェフィルは聞かされていた。
この場所はどうやら、そのような
地下だというのに、まるで地上にある巨大建造物のように天井は高く、かつての名残を灯すように、煌々と明かりが光っていた。
そう。二人が息を呑んだのは。
地下に広がる空間に圧倒されたわけでも。
過去の遺産の一つを見つけたからでもない。
『……『
その空間の真ん中に鎮座する巨大機械……ドローンの前線生産工場である『機母』を見つけたからだった。
その姿は虫のようにも見えた。
学者であれば、かつて大戦前に見られた『ダンゴムシ』あるいは『ムカデ』といった多足の生物の外見に近いといったかもしれない。
機械仕掛けのそれは、全身がドローンを生産するための工場を備え、修復改善を行い、あるいは周囲の資材を利用して新たな工場を生み出すのだ。
幸いなのは、生産能力に特化させているがため、『機母』そのものに攻撃能力はないこと。
ネクは
二人は機母をにらみ、しかしすぐに襲い掛かるような愚行は犯さない。
ボボボボボボ・・・・・・
『機母』には戦闘能力はない。
しかしドローンにとっては最も大切な機体だ。
当然、護衛となる機体がその守りにつく。
ボボボボボボ・・・・・・
天井からゆっくりと、ブースターを吹かして降りてくる。
それは
右手には一丁の
腰に
だが何より目を引くのは、機体が背負った
今では家畜の鶏以外、殆どが絶滅したとされる「鳥」と呼ばれる生き物を思わせた。
なるほど、これだけの広さなら、あの飛行装置……追加ブースターを用いて立体的な機動で存分に戦えるのだろう。
ネクは呆気にとられていたが、急いで冒険者ギルドの
しかし、該当機体はなし。
今迄に、冒険者らが1度も出会ったことがない機体である。
そう、ならば、あれは。
「……
自然と、操縦桿を持つ手が震えた。
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