第6話

第三次機体アドバンスドだ!』

『ベテランで連携するぞ、単騎で当たろうとするな!』

『前に出ます!』


シルバーランク以上の冒険者らが声を掛け合い、前へと踏み出す。

ネクは防弾盾を両手で構え、機体のブースターを吹かして第三次機体へと接敵する。



ガ ゴ ォォォンッ !


再び第三次機体の滑腔砲タンクキャノンが火を噴き、ネクへと突き刺さる。

先ほどは冒険者の機体を吹き飛ばしたそれは、しかし防弾盾を運動エネルギーをもって大きく拉げさせ、ネクの機体の体勢を崩すものの、吹き飛ばすには至らず、機体への損傷も軽微だ。

重量機体ヘビーアーマーであるネクの機体の装甲の厚さが活きた。

ドローンも冒険者が好んで乗る軽量機体ライトアーマー中量機体ミドルアーマーの相手を想定しており、重量機体を相手にしたことはないのだろう。

高い演算能力を備えるAI制御された機体であるはずの第三次機体が、想定外の出来事に思わずたじろぐような素振りを見せた。



『囲め!』

『ここは狭い、一気にかかれ!』


そして冒険者らが左右に分かれ、第三次機体を取り囲むように動き、近接武器を構えて踏み出す。

地下鉄メトロという環境を活かした戦い方だ。

狭く天井の低いこの場所ではドローンの十八番である三次元軌道を活かすことができず、軍用剣マーシャルソードを引き抜いた第三次機体は冒険者たちの攻撃を捌いていたが、しかし対処しきれずに破壊された。



『やったぜ!俺達でも第三次機体を倒せた!』

『場所が良いな、これならいけるぞ!』


ゴールドランク以上の冒険者でもなんとか、という相手である第三次機体を思いのほかすんなりと撃破し、冒険者たちは歓声を上げる。

しかし喜ぶのもつかの間、すぐに第一次機体や第二次機体たちが奥からやってきた。



『……ベテランの何人かで偵察しよう、このままじゃあ、埒が明かない』

『第三次機体が出てきても、この場所ならある程度戦えるからな、そうしよう』

『ランクが低いやつや、自信がないやつはここでドローンたちを足止めしてくれ』

『わかりました、では偵察に向かいます』

『了解だ、発見次第通信を入れてくれ』


すぐに冷静さを取り戻し、冒険者らで相談する。

ネクとシェフィルも同意し、2人で戦場を離れ、地下鉄の奥へと進むことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る