第10話

その後、すぐに都市キャラウェイに戻ったネクとシェフィルは、冒険者ギルドに事の顛末を報告する。

2人の機体の情報記録ブラックボックスも確認し、それが事実であることが判明すると、ギルドはすぐに人員を手配し、ゲハルと2人の冒険者の回収・捕縛へと向かった。




「2人とも、すまなかったな」


後日、念のために医療検査メディカルチェックを受けたネクとシェフィルはギルド長に呼び出された。

彼の応接間に通され、話をする前にギルド長は2人に頭を下げる。

驚くネクとシェフィルだったが、ギルド長は構わずに今回の事件について話し始めた。



「ゲハルは、ロボットに搭載された情報記録を開封し中の情報を改竄する手段を持っていたのだ。

 それで、もとより素行が悪かった冒険者2人と共謀して君たちを襲ったらしい。

 君たちを殺した後は、機体の情報記録を書き換え、ドローンに襲われたことにするつもりだったようだ……すでに何人か犠牲になっているようでな、今は余罪を追及しているところだ」


ギルド長は大きくため息をつく。

そして改めて、2人に謝罪して頭を下げた。



「情報記録は冒険者ギルドでしか開封できず改竄はできない……そう思い込んでいた。もし、今回君たちが彼らを無力化していなければ、今後も襲撃される冒険者が出ていただろう。

 情報記録についても改善することを約束する。

 本当に君たちには助かった、ありがとう」

「い、いえ……」


ネクは頭をかいて、ギルド長の言葉を受け取った。



「……そうだな、これはギルドに対する多大な貢献だ。

 ネクも、シェフィルにも、我々は何かしらの報酬を与えなければならない。

 ……どうだね、昇級……ゴールドランクなど……」

「お話のところすみません!ギルド長!」


と、応接間のドアが素早くノックされ、アルマが顔を出す。

アルマはネクと、シェフィルを見て……シェフィルを見たときに苦々しい顔になったが……頭を下げると、ギルド長に向き直る。



「何事だ」

「都市キャラウェイ代表議員会……エルフの方が、お越しになられています。

 ギルド長と……シェフィルさんを呼べ、と」


ガタッとシェフィルが席を立つ。

その顔は先ほどまでとは違い、驚愕と、焦りが混じっていた。

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