第9話
『?!どうなってる!!』
ゲハルは、ネクとシェフィルが隠れていた廃墟がガラガラと崩れていく様子を見ていた。
仲間である2人の冒険者がトドメを刺しに向かったはずだ、とゲハルは考えていたが、通信に応答がないことを見るとあの崩落に巻き込まれたかもしれない。
だがゲハルは救助には向かわず、
冒険者の安否よりも、シェフィルやネクをどうにかしなければ、と判断したのだろう。
『……居たな!』
ネクとシェフィルたちの車両の方へ視線を向ければ、そちらに向かって移動するネクの
盾を油断なく構えており、最初の銃撃から凡そのあたりをつけたらしく、こちらへ向けている。
ゲハルはにやりと笑う。
ネクは2人の冒険者の追撃から上手く逃げおおせたようだが、しかし狙撃できる自分がまだ残っているのだ。
そして、そもそもこの廃墟から去るには車両に乗り込まなければならない。
最初から車両の位置を確認していたため、その付近さえ警戒しておけば逃げることなど不可能なのだ。
シェフィルの姿は見えないが、どのみちネクも倒さねばらないのだ。
ゲハルは狙撃銃をネクの機体へと向ける。
ガコ――――――――――ォォォン
銃が火を噴き、銃弾がネクの機体に襲い掛かる。
盾に隠れた胴体部分ではなくネクの機体の足元を狙ったそれは、装甲に覆われている場所に着弾するものの、ネクの機体は体勢を崩しその場で蹲った。
銃弾の消費がかかるが、ここは仕方がない。
ゲハルが次弾を撃つために狙撃銃の
そして次の瞬間。
ガ ァ ン
ゲハルの機体の頭部カメラが撃ち抜かれ、大きくのけ反るような態勢になった。
ゲハルが何かを叫んだりするよりも前に、次弾が狙撃銃を持つ腕を、機体の脚を順に撃ち抜かれる。
まるで子供が手足を引きちぎって遊んだ後の人形のようになったゲハルの機体は、廃墟の屋上で動けなくなった。
『……おつかれ、シェフィル』
『ありがとうネク。
ま、アイツ、全然場所の移動とかしてなかったみたいだし。
狙撃手が場所バレたら終わりなのよ』
衝撃のために蹲っていたネクの機体が立ち上がる。
そちらを見れば、瓦礫の中に身を潜め、機体の脚と瓦礫を使って銃身を安定させているシェフィルの機体があった。
ネクを囮にしてゲハルの位置を特定し、
元より場所はある程度予測していたので、修正もすぐに行えた。
『さて、どうしましょうね……』
シェフィルはふう、とため息をついた。
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