第8話
『どうだ?エルフのやつは仕留めたか?』
『強化手榴弾が破裂したんだ、まともに動ける筈がねえよ。
まあ……念のため、確認するぞ。一応構えとけ』
『おう』
ネクとシェフィルが隠れた廃墟の中へと手榴弾を投げ込んだ者……
ゲハルの仲間である冒険者の男らが搭乗するロボット2機が、
しかし機体の見すぼらしさに反して、崩壊したドアから中を覗き込み、中へと入り油断なく警戒する様子は手馴れた様子を感じさせる。
『……いねえな』
『もっと奥に行ったんじゃないか?』
2機は、当たりをつけていた場所にネクとシェフィルが居ないことに落胆し、そしてすぐに警戒度を上げる。
楽に仕留められたと思ったはずだが、もしかしたら潜んでいるかもしれない。
不意打ちを警戒し、機体のカメラを油断なく走らせる。
ヴィィィィィ―――――――ッ
『?!なんだ?』
『駆動音……?!』
突然聞こえた、腹の底から響くような音に2機は武器を構えなおした。
音は廃墟の中で跳ね返り、上手く場所を特定することはできない。
しかし音そのものは2機の近場で発生しているわけでは無く、実際にすぐに襲撃を受けることもなかった。
『これは何の音だ……
『そういえばエルフのヒモが工具を背負ってたはずだ』
『だが何で機械鋸を起動した?』
『近接でやり合うつもりだろう?
嘲るような色を含ませた男の声だったが、しかし機械鋸の駆動音は近づくような気配はなかった。
それどころか、何かをガリガリと切断しているような音が混じる。
『……あいつら、なにをやって……?!』
訝しがった2人の冒険者は、しかし突然周囲の壁がビシビシと音を立てていることに気が付いた。
床や天井に、バリバリと雷のように、一気に罅が入り、それが周囲に伝わるように広がっていく。
『……!しまった、あの野郎!
逃げろ!あのクソ野郎、この建物を崩すつもりだ!!』
ネクの狙いに気が付いた冒険者の男が声を上げる。
しかし次の瞬間には、廃墟はガラガラと致命的な音を立てて壁が崩れ、天井が落下してくる。
廃墟のビルが瓦礫の山に代わり、冒険者2人の機体はあっという間にそれらに飲み込まれ、下敷きになった。
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