第7話
『シェフィル、大丈夫?』
『ええ、私は平気……ただ機体は……
歩くことはできるけど……バランスがうまく取れない……ブースターを吹かして移動するのは少し難しいわね』
廃墟の中に身を潜め、ネクはシェフィルに話しかけた。
シェフィルの機体は左肩を撃ち抜かれ、機能不全に陥り、ぶらん、と胴体にぶら下がっているような状態だ。
燃費と機動力に特化させているために装甲が薄く、被弾が即機能不全へとつながる。
だからこそ、モンスターやドローンの排除は先手必勝、初撃で仕留めるのが基本戦術なのだ。
『アイツ……ゲハル、私たちを攻撃してどういうつもりなの。
逆恨みも良いところだけど、仮に私たちをここで殺したとしても、機体には
調べられたらすぐにバレるのに』
シェフィルの言葉に、ネクも首をかしげる。
冒険者の乗る機体には機体が何をしたか、何処にいたのか、カメラは何を映していたのか、といった情報をリアルタイムで記録する装置が必ず備わっている。
モンスターやドローンに遭遇した場合、最悪破壊された機体からでも情報を得るために備えられたそれは、冒険者同士で諍いがあった際の証拠にもなる。
冒険者が都市に帰還すれば、記録媒体の情報は真っ先に調べられるのだ。
要は、常に監視されているようなもの……機体に乗る冒険者に対して犯罪を犯すは不可能だというのが共通認識であり、事実突発的な喧嘩以外で問題が発生したことなどなかった筈なのだが。
『とりあえず、あとで考えよう。
ゲハルはシェフィルを殺そうとしている……多分僕も標的だ。
シェフィルが戦うのは難しそうだけど、高速で離脱して逃げることもできない』
『戦えないこともないけど……そうね。
なんとか廃墟を盾に隠れつつ、外へ……!』
カァンッ―――!
廃墟の床を叩くような硬い音が響く。
そこへ目を向けたシェフィルとネクが見たのは、床から跳ね上がる金属の塊。
『
ド ォ ォン
すぐさまネクは盾を構え、その場を離脱するシェフィルが機体を動かす。
それとほぼ同時に、投げ込まれた手榴弾が破裂した。
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