第6話

『あっ?!』

『シェフィル!』


軽量機体ライトアーマーであるシェフィルの機体が、銃弾を受けた衝撃で大きく体勢を崩す。

ネクは素早く、背面に背負っていた防弾盾バリスティックシールドを取り出してシェフィルの前に出た。

これは、先の『機母マザーウィル』討伐の際に用いた盾を、個々の機体でも持てるように一部性能を落とし軽量化させた盾だ。

数瞬遅れて、盾に銃弾がぶつかる轟音が響く。



『えっ?!……アイツ!』


盾を油断なく構えながら、ネクは銃弾の飛んできた方へと機体のカメラを向ける。

ネクの高性能なカメラは、敵の狙撃手の姿を捉えた。

最初はドローンだと思ったが……違う。

あれは、だ。

機体に標準搭載されている記録ライブラリに紹介をかければすぐ、下手人の正体も判明した。



『……ゲハル!!』


ネクの声に返事をするように、ガギンッ!と3発目の銃弾が盾に弾かれる音が鳴り響いた。







「ちっ……」


廃墟の屋上に機体を潜ませ、狙撃銃スナイパーライフルを構えたままゲハルは舌打ちをした。

最初の不意打ちでシェフィルを仕留めるはずだったが、上手くいかず左腕を損傷させるだけだった。

追撃をしようにもネクの重量機体ヘビーアーマーと盾が邪魔だ。的確にシェフィルを守ってくる。

ならば、先にネクの機体を仕留めようとも考えたが……重量機体はとにかく硬い。

銃弾がいくつ必要になるか解ったものじゃあない、とゲハルはその考えを捨てた。



「ったく、面倒くせえ機体に乗りやがって……あ?」


どうしたものか、とゲハルが考えている間に、シェフィルとネクは移動し始めた。

隙を見て狙撃しようと試みるが、盾で上手く、シェフィルの機体を隠しているため難しい。

そうしている間に、近場の廃墟の中に2人は入っていく。



「これじゃあ狙撃は無理か……まあ、いい。

 あとは、アイツらに任せることにするか」


もし出てきたらすぐに銃撃を放てるようその場で待機したまま、ゲハルはにやりと嗤い……そして、その表情をすぐに憎悪に歪ませる。


「俺のことを馬鹿にしやがって……絶対に殺してやる、糞エルフとその腰巾着が……!」

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