第5話

瓦礫の裁断を終え、2人は道をさらに奥にまで進んでいった。

ここまでくると、まだ他の冒険者の探索の手が及んでいない様子であった。

それは宝がまだ眠っていることを期待できると同時に、モンスターやドローンが居るかもしれない、という危険も伴っている。

いっそう気を引き締め、2人は周囲に目を配った。



『それにしても、ここは瓦礫が多いね。建物の残骸も結構大きいよ』

『元は結構栄えていた場所なのね。ほら、あそこをみて……道路の上を通るように橋が架けられているわ』

『あれは知っている、センロだよね?デンシャを走らせていたっていう』

『いえ、あれは高速道路よ。あの上を車が走っていたの』


ネクとシェフィルが、少し離れた場所に見える陸橋を確認しながら、そう会話をする。

視認範囲にドローンの姿は勿論、モンスターの姿もないことを確認すると、ネクはカメラで写真を数枚撮影した。



『でもこういう、大きそうな町にはデンシャが走っていたと聞いたけど……あれじゃあないの?』

『そうね……確かにああいう地上の高架に、電車を走らせている場合はあったけど……えーと』


シェフィルは何かを思い出すように言葉を濁し、そして周囲を見渡した。

すると、ちょうど、そこにお目当てのものがあったらしい。

機体を滑らせるように移動する、ネクも彼女の後を追っていった。


そこにあったのは、階段だ。

地面からさらに下に向かう……地下へと向かう階段。



『こんなところに階段が……?』

『ええ、これこれ。確か……地下鉄メトロだったかしら?そういう乗り物の入り口らしいのよ』

『チカテツ?』

『電車を地上ではなく、地下で走らせていたのよ』

『地下で? でもデンシャって結構大きいって聞いたよ、ロボットなんかよりも』

『ええ、それが十分入るくらいの空間を作ったみたいよ。それであちこちの都市を繋いでいたんですって』

『へ~……じゃあ、ここの入り口も別の場所と繋がっていたりするのかな?』

『きっとそうよ、もし入れるなら行ってみたいけど……この機体じゃ無理ね』


地下鉄へ続く階段と、自身の機体の大きさを比較しながら、シェフィルは嘆息した。

ネクも、どうにか外から中を覗けないものかと機体を動かし、内部へと目線を向けていた。

そして次の瞬間。






ガ ァ ンッ


銃声が聞こえたときには、シェフィルの機体の左肩は撃ち抜かれていた。

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