第2話
「……あなたは?」
突如嫌味を言われたネクだが、しかし激昂する様子もなく……まずは何者かと男に尋ねた。
ネクは今一度、男の姿を確認する。
作業着を着た小太りの中年手前の男性……作業着は油汚れが目立っている。背は少し小柄。無精ひげを生やし、顔はネクを小馬鹿にするようにニヤニヤとしていたが、ネクがそっけなく対応したことが面白くないのか、今は不機嫌な表情を浮かべている。
ネクは内心で首をかしげていた。
ネクはこの男のことを全く知らない。
エルフが忌避されていることは知っているし、パーティを組んでいる自身にもそういう目が向くことは分かるが……。
「ふんっ、スカしやがって……
……いーや、エルフがついてるんだ、どうせランク上げのための適当なでっち上げの口実だ。人が汗水たらして稼いでランクを上げてるときに……いいご身分だなあ?」
「えぇ……?」
一人でまくし立て、罵声を浴びせてくる男に、ネクは怒りよりも呆れの感情が勝ったようだ。生返事をしている間に周囲を見ると、どうも他の冒険者も胡散臭そうな目を、この男に向けていた。
「あ!こいつ……!」
と、ネクの後ろからシェフィルが声を上げる。
目を細め、男の顔を睨みつけていた。
「この人のこと、知ってるの?シェフィル」
「ええ!この男……冒険者ギルドの整備員よ!私の機体の銃の照準を弄ってダメにしたヤツ!」
シェフィルの答えにネクは目を見開く。
大して男は「へっ!」と鼻で笑った。
「お前が変な銃を使うから調整を間違えただけだろうが!それを人のせいにしやがって!」
「はぁ?あんた以外の整備員に任せたときはふつーに調整できてたわよ?
自分がまともな整備員だとか思ってるの?いい歳してまだそんな妄想してるわけ?」
「んだと、このクソアマ!」
男が一歩、シェフィルに向かい踏み出した。
「おい」
「あ?……うわっ!」
が、ネクが男に声をかけ、その胸ぐらをつかみ上げた。
男が何か言う前に、ネクはまるで射殺すように男の目を睨みつける。
男は「ひっ」と短く悲鳴を上げる。
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