第4話
『
旧世代の大戦で生み出された
最大で8mを超えるともいわれる大型のモンスターであり、非常に凶暴な性質を持つ。胴体より伸びる6つの足と、何よりも2つの大きな鎌のような形状をした器官が特徴的だ。
見た目の通り凄まじい切断力を誇るそれは、超硬鉄鋼素材ですら両断して見せる。
冒険者のロボットなどバターを切り分けるのと変わらず、
そして、それを支えるのは強靭な瞬発力を備える筋肉と、超ハイスピードカメラにも劣らぬ動体視力。機関銃の銃弾ですら切り落として飛び掛かってくると言われている、厄介なモンスターだ。
『死蟷螂……接近戦は当然だけど、中距離戦も避けたいわね』
『そうですね。ただ、倒せるなら倒したほうがいいのは、間違いないんですが』
ネクの言葉にシェフィルも頷く。
死蟷螂による冒険者への被害はよく聞くため、積極的な駆除対象なのだ。
平時でも討伐すれば賞金がでるし、その素体……特に、鎌のような器官は用途も多く高値で取引される。冒険者の中には、その鎌を加工して作った『
とはいえ命あっての物種だ、逃げたとしても何かの罪に問われるわけではないが……
『シェフィルさん、狙撃で行きましょう』
『いいわ、任せて』
死蟷螂の一番確実で安全な討伐方法は、遠距離からの狙撃だ。
死蟷螂の死角から射撃し頭部を撃ち抜けば、自慢の動体視力も何の意味も為さない。
……問題があるとすれば、それができる人間は限られているということと、もし外せば後がないことか。
だがシェフィルは
『距離684……いえ、移動した。685フィート。風速5.2ノット。死角の位置はドット表示12-Dから16-Fの間です』
狙撃の態勢に入ったシェフィルに対し、ネクは観測した情報をデータリンクしシェフィルの機体へと送る。
緊張した空気が2人の間に流れる。
ゴォォォ――――――……………ン
次の瞬間、シェフィルの銃が火を噴いた。発射された銃弾は音よりも早く空気をかき分け、死蟷螂に存在を悟られることなく、その頭部を貫き粉砕した。
突然脳を失った死蟷螂の体はその場でキリキリと踊るように暴れ回り、そして唐突に、糸が切れたように崩れ落ちる。
『ふーっ……やったわね!』
『はい!お疲れ様です!』
シェフィルとネクは息を吐き、そして喜びの声を上げた。
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