第4話
「あなたが噂のエルフの冒険者なのね!
どんな機体を使ってるの?!データ見せてデータ!あ、これ私の端末の番号!」
「は、はあ……」
グイグイと迫ってくるチェスを、シェフィルは半ば引いた様子で対応していた。
それを見てネクは、彼女と初めて会った時を思い出して苦笑する。
「ふむふむ、
………
……あ!じゃあ、銃を
フルオート射撃、バースト射撃、単発射撃が出来るようにして、距離と状況で使い分けできるようになるし、どう?」
「え、そんなことできるの……?!」
そして唖然とするシェフィルの様子を見て、ネクの苦笑はさらに深くなった。
チェスは少々強引ながら、その実力は他の老舗工房や企業にも引けを取らない。
最初は面食らい、チェスのことを疑っていたシェフィルだったが、今は真剣に改造プランを立てていた。
そうして数十分以上は談義を続けていたが、ふっとシェフィルが顔を上げる。
「……あ、そうだった、当初の目的を忘れていたわ」
「え?何なに?」
「私の機体……武器とかも含めて、整備してくれる人を探していたのよ。
結構な改造を施すから、できればあなたに「やります!!!やります!!!!!やります!!!!!!はい、契約書!!!!!!」
シェフィルの言葉を遮り、チェスが大声で許諾する。
そして言うが否や駆け出し、工具箱に手を突っ込むと、そこから書類を取り出してシェフィルへ突き出した。
これまでの流れでチェスの扱い方に慣れてきたらしいシェフィルはもはや突っ込むこともなく、その書類をさっと一瞥し、内容が問題ないことを確認すると
「いよっしゃぁぁぁぁ!!!整備員の仕事ゲットぉぉぉ!!!定期収入源確保ぉぉぉぉ!!!」
「え?!えーと、シェフィルさん、良かったの?
チェスは確かに腕は良いのは間違いないんだけど……いっつもこんな感じだよ?」
「ちょっとネク止めて!せっかくのお客さんなのよ?!
もし心変わりとかされたら私、冷静さを失うかもしれない!」
ネクはぎゃーぎゃーと騒ぐチェスを尻目に、シェフィルへと問いかける。
だが、シェフィルは問題ないと頷く。
「いくつか質問もしたし、彼女の描いた図面も、いくつか実物も見せてもらったけど……腕の方はあなたの言う通り、何の問題もなさそうね」
「それは、まあそうなんですけど」
シェフィルはそしてふっと微笑む。
「それに一番は……エルフだからって、特別扱いしない姿勢ね。そこが決め手よ」
そういうシェフィルに、ネクはやはり何も言えず、ただ曖昧に頷くしかなかった。
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