第8話

『馬鹿!! 何をしているの!!』



シェフィルの罵声を合図に、ネクは戦闘斧バトル・アックスを手に機体を前進させる。

第三次機体アドバンスドは、侵略に特化した機体であるため機動性に重点が置かれている。

故に第二次機体スタンダードと比べると装甲は薄く、一撃でも重い一撃を受ければ大破状態スクラップにできるはずだ。

そう考えたネクは全速で距離を詰め、戦闘斧を横薙ぎに振りかぶる。


第三次機体も、左腕を失い満足に選抜銃マークスマンライフルを構え発砲できないシェフィルよりも、今まさに攻撃を加えてきているネクの方を優先する様子だ。

突っ込んでくるネクの機体へと向き直り、斧槍ハルバードを構える。



『うおぉぉぉぉッ!!』


グウォンッ!!


ネクは突進の勢いを乗せ、さらに機体を捻り回転しながら斧を振りかぶった。

遠心力の乗った高速の刃が、風を切る音をたてる。

ネクが放った渾身の攻撃は、しかし手ごたえなく空振る。

つい先ほどまで第三次機体が居た場所に、しかしその姿はなかったのだ。



だがネクが機体に搭載したカメラ……量産品のそれとは違う、チェスという職人が作った特注のカメラは、微細なを映し出していた。

ネクの機体にのだ。

まるで



『………………!!』


凄まじい悪寒がネクの背筋を走る。

操縦桿を傾け、転ぶのも構わず全力で前進する。



ガゴォォォンッ!!


瞬間、背後で何かを穿ち砕くような物音が響く。

ネクが回転した一瞬の隙に、第三次機体が、斧槍を構えそのまま落下してきたのだ。

間一髪で串刺しを免れたネクが、第三次機体に対処しようと機体を振り向かせる━━━




ゴ ガ   ギ   ン ッ




しかしその前に、第三次機体は斧槍をそのまま横薙ぎに振り抜いた。

それは目論見に違わずにネクの機体の胴体に命中クリーンヒットし、ネクは振り抜かれるまま機体を切り裂かれた。

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