第5話

『ベリさん、ルガさん、お待たせしました!』

『ありがとよ、ネク!』

『助かった』


ドローンに接敵する事故もなく、ネクは第十一部隊……ロッグ、ベリ、ルガの部隊に合流する。彼らは壁だけになった廃墟の裏手に隠れ、そこで瓦礫を盾にして身を潜め仮の拠点としていた。

普段は工具類を装備しているルガも、今日は戦闘斧バトル・アックスと、回転式リボルバー弾倉の大型散弾銃ショットガンを装備している。


ネクはコンテナを降ろし、偵察に出ているロッグの分も含め、すぐさま弾薬を渡していく。



『そちらは大丈夫ですか?』

『ああ、問題ないぜ。

 第一次機体ベーシックを7、第二次機体スタンダードも3機撃破だ。

 不意打ちさえなければ、どうにでもなるもんさ』

『そういう拠点の方はどうだ、ネク』

『はい、こちらも問題なく対処できています』

『そいつは何よりだ。

 まあ何から何まで教本マニュアル通り、とはいかないかもしれねぇが……。

 ドローンなんて所詮決まった行動しかできねえ、ブリキ野郎さ。

 落ち着いて対応すれば人間様の敵じゃあねえよ』


機体の親指を立てて見せるベリの言葉に、ネクは笑みをこぼした。



『あまり引き留めるな、ネクも仕事がある』

『あ、悪いなネク。

 そういうわけで俺たちのことは心配するな!そっちも気を抜いて頑張れよ』

『はい!』


返事をして踵を返そうとするネクに、『待った』とルガが声をかける。

そうして、ルガはネクに戦闘斧と対機拳銃マグナムを手渡した。



『俺のスペアの武器と、第一次機体から回収した銃だ。

 ドローンとは互換性があるから俺たちのロボットでも使える。

 ……帰りに接敵するとも限らん。

 その時は逃げるのが最優先だが、もしもの時は使え、あるのとないのとじゃ大違いだ』

『心配性だねえ。まあでも、一理あるな。

 あ、ネク。依頼が終わったら返してやれよ。

 斧はともかく、銃はそこそこいい値段で売れるからな』

『おい、ベリ。俺の戦闘斧はオプティマス社のモデルだ。

 ドローンの銃より価値があるに決まっているだろ』

『はは……了解です、ありがとうございます』


いつもと変わらない二人の様子に苦笑いしながら、ネクは今度こそその場を離れ、拠点へと移動を開始した。

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