第4話

冒険者たちが第一次機体ベーシックによる3回目の行動を凌ぐ。

こうなると、学習したAIは別の戦術アプローチを試みはじめる。


簡易剣スクラップソードによる突撃だけでなく、対機拳銃マグナムなど銃器を持った機体が現れる……回転式リボルバー弾倉が低い位置にある全体的にスマートな見た目の銃だ。冒険者のロボットが使用する突撃銃アサルトライフルに比べれば連射性能も命中精度も低いが、しかし一発の威力は秀でる。運悪くコクピットに当たれば即死もありえる、まだフォローが効いた剣による突撃よりも厄介な武器だ。


もっとも、これも定番パターンの行動である。


盾を構えて敵の銃撃を受け、剣突撃してきた第一次機体を銃の盾にしつつ、倒していくのだ。



『第十一部隊より要請有り!!弾薬支援!!』


事態が動いたのは突然だった。

指揮官役のシルバーランク冒険者より、拠点内のブロンズランクの冒険者への広域通信が入る。第二次機体スタンダードや、『機母マザーウィル』の討伐に向かった部隊の内の一つから、弾薬補給の依頼だ。

拠点に持ち込んでいる物資を、前線にまで運ぶ補給の役割もブロンズランクの仕事になる。



『ネク!1人で悪いが向かってくれ!』

『は、はい!』


ネクが担当していた第一次機体対応に応援要員が入り、代わりにネクは戦線を離れた。

武器を着脱パージし、弾薬類や交換用の武器を積み込んだコンテナを背負う。

補給も3人で部隊を組んで行うのが鉄則セオリーであるが、しかし今まさに第一次機体が攻め込んできているため、人員の徴収が不可能だ。

やむを得ない状況であるが、ネクは不安な表情を浮かべ操縦桿を握りしめる。



『補給路は一度掃討が完了している!

 安全性は確保しているが、万一ドローンが来たら第十一部隊の方へ走れ、そちらの方が安全だ!』

『りょ、了解しました!行きます!』

『頼んだ、気をつけろよ!』


指揮官役に見送られ、ネクの機体が巡行モードに移行する。

ガシャン、ガシャンとマップに表示された「掃除済」のルートを頼りに前へ進んでいった。

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