第3話

ドローンの前線基地フロントラインに到着した冒険者たちは、事前にランクを基に決めたグループに分かれ、配置に向かった。


ロッグやベリ、ルガたちにネクは声をかけ、彼らは機体の手を挙げて応じ、前線へと向かっていく。シルバーランクである彼らは戦闘用ドローン、第二次機体スタンダードの相手をするのだ。


そうして露払いをした後に、本命の『機母マザーウィル』を袋叩きにする。


彼らの機体の背を見送るネクは、ふと、選抜銃マークスマンライフルを背負った機体が一人で進んでいくのを目にした。彼女は、今回も一人で戦うらしい。


そして成りたてのブロンズランクであるネクの仕事は、拠点の設営。

討伐に向かったシルバーランクの冒険者らが負傷したり、機体が破壊されたりして戦闘続行が不可能になった際に避難する地点になる。不可欠だが大人数かつ大規模な行動である以上、ドローンには居場所も筒抜けだ。


それ故、彼らにとって量産の容易な第一次機体ベーシックが、何機も向かってくる。




ゴォォ━━━━━ッ


何機ものドローン、第一次機体が手にした簡易剣スクラップソードを構え、ブースターを吹かし拠点へ突進してくる。

ドローンの脚部の踵部分には巨大な車輪ホイールが取り付けられているため、高速移動では冒険者のロボットよりも優れている。その速度は約50mphにもなり、数mはあろう機体が一気に突撃してくる様子は、まるで鉄の壁が迫ってくるようにも見える。


目の前にすれば圧巻されるだろうこれらの攻撃は、しかしドローンたちの定番パターンとして、既に人類は把握している。



ガ ギ ィ ン ッ!!


教本マニュアル通りに、それらを迎えるブロンズランクの冒険者たちは3人一組で対処をする。


1人が設置式の防御盾タクティカルシールドで剣突撃を受け止める。




ビュオッ―――ドグシャァァァンッ!!



第一次機体が慣性を殺しきれず態勢が崩れたところを、残りの2人が近接武器で殴りつける。まずは武器を持つ腕、次に移動を封じるために片足、最後にAIが搭載されている胴体だ。

周囲でメイスや簡易剣が振り下ろされ、次々に第一次機体が大破状態スクラップになっていく。



『うわああ?!』

『ああっ!ジャン!』


しかし数人は防御に失敗し、盾ごと押し切られその場で転倒する者もいた。

盾持ちを守ろうと、近接武器を持つ2人が慌てて第一次機体を止めようとするが、第一次機体は構わず簡易剣を振りかぶる。



ゴ  オ ン ッ ! ! !


そこにすかさず、ブロンズランクの彼らを率いるこの拠点の指揮官……シルバーランク冒険者からの援護が入る。

腰だめに構えた二脚バイポッド付き滑腔砲90mmキャノンより発射された成形炸薬HEAT弾が、第一次機体の胴体をぶち抜いた。

その機体は大の字の姿勢のまま、後方へと吹っ飛んでいく。



『油断するな!こちらの援護も確実にできるとは限らないぞ!』

『は、はい!』


転んだ冒険者が機体を起こしながら返事をする。

こういったトラブルは良くあることだが、彼の言う通り確実にフォローが入るとは限らない。


ひりついた空気が周囲を支配していた。

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