第三章 砂塵の戦争

第1話

ドローンとは、人工知能AIを搭載し自律的に行動する機械の総称だ。



昔々、ドローンは様々な分野で活躍し、軍事・民生問わず様々な用途で運用されていた。

かつての大戦でも勿論、多くの軍事用ドローンが投入されたらしい。

そして環境の汚染や人口の減少などでどの国も疲弊していく中、最後に作られた軍事用ドローンは、とにかくある1点に特化していた。



――――『人を殺す』ことに、だ。



「2日前にシルバーランクの冒険者、フォルの部隊がドローンを発見した。

 場所は本都市キャラウェイより南西約62マイル。

 映像はこれだ。

 兵装からして第一次機体ベーシック、資材の回収を行っていると判断される」


冒険者ギルドには、今動ける冒険者ほぼ全員がランクを問わず集まっていた。

一番大きな会議室に鮨詰めになり、投影装置が写す映像を食い入るように見つめ、ギルド長の説明を聴いている。


映像は一機のロボット……ドローンの姿だった。


形状は、ネクたちのような冒険者が乗るロボットに近く、腕があり、二足歩行するための脚がある。手には武器というよりも工具に近い形状の簡易剣スクラップ・ソードが握られ、背にはコンテナを背負っている。


唯一違うのはコクピットに当たる部分……本来人間が収まるはずの場所は非常にスリムで、動力パイプなどが見えていた。



「発見時には、このほかにも2機の第一次機体が周囲にいたそうだ。

 フォル部隊4名は、第一次機体を発見し探索を中断。

 撤退準備を進めていたところ、第二次機体スタンダードの襲撃を受けた」


映像が切り替わる。

映し出されたのは、先ほどの第一次機体と比べ装甲が分厚くなった機体。

手にしているのはロッグが持つような大剣グレートソード突撃銃アサルトライフル爆発筒発射機ロケットランチャーを背負った、戦闘用の機体。

……第二次機体の映像が流れると、周囲にどよめきが走った。

 


「フォル部隊は2名が機体損壊につき損失死亡判定

 1名は脚部破損により殿を務め、安否不明まず死亡判定

 1名が戻ったが、機体大破及び重傷。今回の報告を行った後に病院で治療を受けている」


ギルド長が一旦、口を閉ざす。

周囲のざわめきは沈黙に変わっていた。

それは、フォル部隊が受けた被害の大きさに絶句した……


冒険者たちは知っているのだ。

第一次機体だけならまだしも、事態の深刻さに。



「察しているかもしれないが……そうだ。

 我々冒険者ギルドは、この地点にドローンの前線基地フロントラインが築かれていると判断した。

 今回の任務はこの前線基地の掃討及び……


 最優先目標として、『機母マザーウィル』の討伐を設定する」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る