第4話
チェスの工房でオーダーメイドしたカメラを購入したネクは、六時通りにある冒険者ギルドに向かっていた。
公共車両の停留所を降りて歩く。
高く昇っていた日も傾き始め、街はうっすらと暗くなり始めていた。
六時通りは東西南北にある都市の入り口の直線上にあるため、都市キャラウェイでも最も太い通りの一つだ。
この時間にもなると仕事帰りの人間や、資材の運搬車両などでごった返しており、市場にも匹敵する人だかりができていた。
ガシャン、ガシャン―――
特徴的な機械音を耳にしてネクは足を止めてそちらに目を向ける。
それはやはり、ロボットだった。
全長は3mほど。手には
ネクたちの乗っているロボットと違い、全体的にごつく、分厚い装甲をしている。
そのロボットに随伴するように、制服を着て銃を持った人間が数人歩いている。
彼らは都市キャラウェイの治安維持隊だ。中央に向かっているということは、門番の交代時間だったのだろう。
「あ!イズマさん!」
「お、ネクか」
制服を着た、中年の男のうちの一人が手を挙げて答える。
同僚に話しかけた後、ネクに向かって近づいてきた。
「門番仲間に聞いたぞ、冒険者になれたんだってな。まずは、おめでとう」
「ありがとうございます、イズマさん」
「外の世界を見てみたい、って言ってたものな。危険な仕事だがその分、金も手に入る。あまり人には勧められんが、冒険者が持って帰る資材は街にとっては重要な物資だ。頑張ってくれよ、だが命は大事にな」
「はい!」
元気よく頷くネクにイズマはニッと笑うが、しかし少し顔を顰める。
「……一歩も都市を出たことのない人間の中には、冒険者を馬鹿にするやつもいる。
廃墟は歩かないにしても、門番として外を見て、モンスターなりと戦うこともある俺たちの中にも、そう言うヤツがいるんだ。
だが気にすんなよ、何かあれば先輩なり、冒険者ギルドなり、俺を訪ねてくれ」
「わかりました、ありがとうございます」
「……ま、俺たちより稼ぎはデカいからな、貧乏人の僻みだと思って笑い飛ばせばいいさ!」
イズマは再びニヤッと笑うと、じゃあな、とネクに手を挙げて隊列に小走りで戻っていった。
彼の背を見送ったネクは再び歩き出した。
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