第7話 部屋探検


どうしよう、

入ってしまった


「じゃあ私、先シャワー浴びるね?」


「あっ、ちょっと、まって」


「なに〜?一緒に入りたいの?でも、まだ、だ〜め、」


「そういうことじゃ、」


俺の言おうとしていることも聞かずに美鈴はシャワーを浴びに行ってしまった



ここは二人部屋なのであまり広くない、

おまけに壁も分厚くないのでシャワーを浴びている音がよく聞こえてしまう


「どうしよう、どうしよう」


俺はそうつぶやきながら部屋の中をぐるぐると回っていた


「そ、そうだ、」


気分転換でもしようと部屋の中を色々見て回ることにした


「うぉ、何だこれ?」


なにか入れ物のような箱のようなものがあり、その中を見てみる


その中には、棒状のおもちゃ、丸いものとリモコンが線で繋がっているものやマッサージ機のような物もあった


「気を取り直して、テレビでも見るか」


気分を紛らわせるために、あえて今からやることを声に出して言ってみる


「今の時間は何がやってるのかな〜?」


今この場に誰かがいるわけでもないのに自分は何も知らないと言わんばかりに声に出す


「あん、んっ、っ」


テレビをつけると男の人の上に女の人が乗って何かをしている映像が出た


「わぁっ、あっ、とっ、と」


焦ってしまいテレビのリモコンを手から落としそうになった


「大丈夫、大丈夫、」


自分に聞かせるように声に出して言ったが内心は何も大丈夫ではなかった


やばい、やばい、

これってそういうやつだよね、

どうしよう、とりあえず電源を消そう

どれだ、どれだ、


普段家で使っているリモコンと型が違うせいか、

はたまた焦っていることが原因か、

電源ボタンが分からずテレビを消すことができない

俺が必死にボタンを探している後ろで映像は第2ラウンドに入ろうとしていた


「もっと、頂戴?、次はどこかわかる?」


何をだよ!お金でも上げればいいんか


などと、心のかなでツッコみながらテレビの電源ボタンを探した


「えっと、これじゃない、あれじゃない、」


手当たり次第にボタンを押していくことにした

どこのボタンを押しても大体は男と女が何かをやっている映像が流れる

偶にインタビュー?が流れるけど


「次はここだ、」


パチッ

小さいながらもテレビはそういう音を最後に音と映像が消えた


「良かった、やっと、」


部屋の時計を見ると部屋の探検からテレビ騒動を合わせてかれこれ30分が経っていたらしい


「やっとって、何がやっとなの?そんなに私のこと待ってたんだね?我慢できずに映像を見たりね?」


バスローブ姿の美鈴はさっきの映像に出ていた人たちよりも何倍も魅力的だった

その魅力のせいなのか、さっきまで格闘していたテレビのせいなのかその先までも想像してしまう

だがその想像をできるだけ考えまいと別の方に頭を回転させる


「見てみて、ご飯すごくない?」


「??」


急な話題の振り方に美鈴も困惑している


この困惑のままつきとうせば行ける!何事もなくここから出れる


「どれにしようかな〜美鈴はどうする?」


「んー、じゃあ私はこれかな、」


なんとか場の雰囲気と勢いだけで大人の階段を登るということはなさそうだった

まずは一安心だ

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