第6話 映画と…


俺は自分の家に帰ったあと着替えて、また美鈴の家に戻ってきて、今は美鈴と二人で映画館にいる

美鈴も着替えたようで、社会人と言われても不思議じゃないほど、大人っぽい服を着ていた


「服似合ってるよ」


「本当?ありがと、湊もかっこいいじゃん」


かっこいいと言われてドキッとしてしまった





「何見るー?」


ほとんど映画館には来ないので久しぶりだ

表を美鈴と確認し、見る映画を決める


「んー、俺あんまり詳しくないから、美鈴はみたいのある?」


俺は元々映画やアニメなどには詳しくなく、大体が美鈴に進められたものを見る程度だったので今回の選択も美鈴にしてもらおうと思う


「じゃあ、これはどう?湊でもこのゲームはやったことあるんじゃない?」


美鈴が選んだのは国民的アクションゲーム原作の映画だ

海外先行公開でめちゃくちゃ話題になり、最近日本でも公開された


「この4DXって何?」


映画の項目が2つに別れていた、もう一つの方が何を示しているかわからないので美鈴に聞いてみる


「知らないの!?映画なんだけど、体感するっていうか、アトラクションみたいなやつ!」


アトラクションか、

俺の映画の特別な演出は3Dで止まっている

メガネをかけるという行為が億劫なのでほとんど

行ってないけど、


「じゃあせっかくだから、これ見てみる?少し高いけど、」


美鈴が提案してくる

俺もこの映画なら原作を知っているし、4DXというのも見たことがないのでちょうどいいと思った


「なら、これにしてみよう、お金の方は心配しないで、美鈴の文も俺が出すよ」


「で、でも、」


「お礼だから、気にしないで、美鈴のお陰で立ち直れてるんだからお礼ぐらいさせてほしい」


「そういうことならわかった、あ〜あなおさら好きになっちゃうよ、これは?いいの?」


冗談を言うような口調で答える

場を固くしないために配慮してくれたのだろうか


「ありがとう」


「何が?そんなことより、チケット買おう?」


「そうだな」


遊園地に来た子供のようにはしゃぐ美鈴

可愛いと思ったが、

そう思うと心が少しチクッと傷んだ




「結構人多いね」


上映時刻間近になったのでシアターに入りその椅子に座って待機をする


「椅子の種類もいつものやつと違うんだね」


通常の映画は椅子を自分で上げて座るタイプなので先に上がっているタイプの椅子は新鮮だった


「この椅子に色々仕掛けがあるからね〜楽しみにしててよ〜」


ニヒヒといたずらっ子みたいに歯を見せて笑う

美鈴


「美鈴は来たことあるの?」


自分の感情を自分で理解しないようにするために

新しい話題を投げかける


「あるよ〜と言っても何回かしかないけどね」


「そうなんだ、結構動く?」


シアターに入る前にポップコーンとドリンクを買ったら袋をもらえた

ということはポップコーンが溢れるぐらい動くのだろうか?


「そうだね〜あんまり言うと楽しみが減っちゃうからそこは自分で体感してよ!」


「分かった、そうする」


楽しみ半分不安半分で上映が開始された




映画が始まった

主人公が動くと椅子も左右に揺れる

まぁこんなもんだよな、映画館だし、


二時間後



「めっちゃすごかった!」


「ね?だから言ったでしょ楽しみ減っちゃうよ〜って」


「これすごいね、正直映画館だからって舐めてた」


「だよね〜私も最初そうだった」


「これ、次も行こう?」


「ふふっ、そんなすんなり次回のデートの約束をするんだ〜」


「あっ、ごめんそういうつもりじゃなかった」


したことなかった体験をしてとてもはしゃいでいた

いつもなら言わないようなことを言ってしまった


「ううん、別に怒ってないよ、ただそんなに私とでかけたいのかな〜って、返事はもちろんオッケーだよ」


ポンポンと、優しく俺の頭を撫でた



「このあとどうする?」


時刻は13時を過ぎようとしていた


「ご飯でも行く?安いところしか無理だけど」


高校生なのでそんなにお金があるわけじゃない、


「それじゃあ私行きたいところあるんだ」



映画館からその美鈴の行きたいところを目指した


「なんか、高校生カップルみたいだね」


湊はそう思う?と笑みを浮かべながら聞いてくる


「傍から見たらそうなるのかな?」


「傍から見たらか、もうそろそろ湊から見てもにするね?」


今度は小悪魔っぽく笑う

今まで気にして来なかったが、気にして見てみると美鈴の表情はコロコロ変わっている

俺はそんなに表情を表に出せないので羨ましい


「私の行きたいところ、そろそろつくんだ、」


「聞いてなかったけど、どんなところ?」


多分お昼時だからご飯屋さんだとわかっていても聞いてしまう


「さぁ〜どうだろうね、」


ついてからのお楽しみとでも言うのだろうか、



「着いたよ」


「え?本当にここ?」


映画館から歩いて20分ほど、俺たちの目の前には

そういう雰囲気の宿泊施設があった


「さ、行こう?」


美鈴は俺の手を引いて中に入ろうとする


「ここって未成年入れなくない?」


「大丈夫でしょ、そのためにこの服だし」


だからこんなに大人っぽい格好をしていたのか

ということに気がついてももう遅かった

俺は美鈴に手を引かれ、施設内に入っていた

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