これからの私の将来編
第493話 勝利の女神にインタビュー? 伝説
『ここ一週間は世界中が浮かれ気分だったみたいなのだ! ダンジョンの数も目に見えて減って、世界は安全になりつつあるのだなー。ということで、今日も冒険配信者うぉっちチャンネルを始めていくのだ!』
LIVE配信スタート。
うぉっちチャンネルの管理人が、緑色の小人の姿で登場する。
『きら星はづきさんが、魔王マロン・グラーセを倒してから一週間。もうみんな、魔王討伐のアーカイブは見たのだ?』
※『見た!』『凄かった』『語彙を失うよな』『あんなアニメとかゲームでも早々ないコト、現実に起こるんだ……』『これからはまず起こらないと思うけどねw』
『そうなのだなー。まさしく、様々な要因が重なった奇跡だったのだ。ちなみにはづきさんのチャンネル、あの瞬間の同接数がこれなのだ。はい、540億。地球上の人口は今、30億弱なのだ。これがどういう意味かわかるのだ?』
※『視聴者の数が地球人口より多い!?』『バグか!?』『いや、でもあの異常な力はこの同接数なら説明つくし……』『異世界とか宇宙人が視聴してたって言うのか?』
『その可能性もあるのだなー。後でそれについてもインタビューしたので、映像を流しますのだ! さて、今回はゲストが来てくれていますのだー!』
※『ゲスト!?』『今呼ぶゲストと言うと……』『まさか……』
『きら星はづきさんですのだー! 拍手ー!』
ピンクの髪の少女が、宇宙服っぽい格好で現れる。
彼女はうぉっちチャンネル管理人の隣の席に座った。
「どうもどうも……。こんきらー、きら星はづきです~」
※『うおおおおおおおお』『救世の英雄きたあああああああ』『はづきっちぃぃぃぃぃぃ』『人類を救った陰キャ!!』
「ウワーッ、皆さんヒートアップしすぎですぅ」
※『ステージの上での堂々とした態度とは別人だぜ』『謙虚なはづきっちだ』おこのみ『そこもいい。宇宙服もセンシティブでいい』
コメントの中に見知ったリスナーネームを見つけたようで、少女がにっこりした。
『きら星はづきさん、お越しいただきありがとうございますなのだ!』
「いえいえー、管理人さんもマモンさんと組んでインドでジーヤを撃破したそうで。お疲れ様です」
『恐縮ですのだ!』
「私の大罪の伝手を使って聞いたんですけど、現地のお嬢さんとちょっと仲良くなっておられるとか……」
『あっあっ、そ、そんなことはないのだ! ふう、油断も隙もないのだ! では本題に入るのだ!』
※『管理人……!!』『緑の小人じゃなかったのか!』『内に男としての本能を秘めてたか……』『まあこれだけ活躍してる人が報われないんじゃなw』『祝福するぜ管理人』
『やめるのだ! その話題は終わりなのだー! えーと、はづきさんが魔王を倒した時、異常な同接数を記録したということなのだ! どうだったのだ?』
「えっと、それはですね」
少女が首を傾げると、彼女の隣にもう一人のきら星はづきが現れた。
『どもー、ベルゼブブでーす。これは私が解説するね。これはねえ、魔王が今まで滅ぼしてきた世界が幾つもあってね、その世界が全部はづきの側についたの』
『なんと! 滅びた世界の遺志がはづきさんを応援したのだ!? これは凄いニュースなのだ!』
『そうそう! カメラには映ってない? あ、そうか、スペクタクルな画面の裏側だから見てないよね。Aフォンのワイド撮影の機能を使って、この画面端……ほら。地球がめっちゃくちゃ奥までぶれてるでしょ。しかもよく見ると全部色違いのぶれ』
※『いま新たになる新事実!!』『滅ぼされた世界がみんなではづきっちを応援してたのか!!』『なるほどー!!』『私達だけじゃなかったんだ!』
これは新事実、と盛り上がるコメント欄。
きら星はづきも驚きでポカーンとしている。
※『はづきっちが驚いてるw』『本人が今初めて知ったんじゃないかw』『らしいといえばらしいw』
『ということで、今ベルゼブブさんが話してくれたものと同じような内容を、ビクトリアさんからもインタビューしていますのだ! こちらに映像を流しますのだ!』
※『今や売れっ子声優のビクトリアだ!』『基本素顔で活動してる配信者なんだよね』『アバターを使わない勢!』
画面にビクトリアが映し出される。
『そうね。リーダーの攻撃をみんなが応援したと思うわ。私、地球の後ろに無限に連なる世界が見えたもの。声も聞こえた。たくさんのコメントが現れて、魔王の分身の攻撃を防いだでしょ? 普通のコメント密度じゃできないわ、あんなこと』
宇宙空間で、はづきの周囲に出現した超高密度のコメント群が攻撃を防ぐ映像が流れる。
『みんながリーダーに望みを掛けたんだと思う。賭けるんじゃなくて、望みを託したの。だから、あのゴボウは無数の世界の力を載せた一撃。魔王が勝てるわけないじゃない』
そんなビクトリアへのインタビューなのだった。
コメント欄では納得する声が多数。
『世界に託された力を振るったからこそ、はづきさんの勝利があったのだ! そして僕らは今、他のたくさんの世界が未来を託した時代に生きているのだ! この意味を噛み締めて生きて行きたいのだー』
※『ほんとほんと』『俺等が繁栄しないとな』『ダンジョンも少なくなったことだし』『そう言えば、ダンジョンは減っただけで消滅してないでしょ?』
『そう、そこなのだ。ダンジョンはもう世界の法則として固定されてるのか、未だに出現し続けるのだ。ただし、前よりもずっと頻度は減っているし、人間の意思に反応するんじゃなくてランダムに発生する感じになってるみたいなのだ』
そこは今研究中なのだなーと続ける管理人なのだった。
『はづきさん、何か一言ありますのだ?』
「えーと、そうですねー。配信者の人たちもこれからは、ダンジョンだけじゃない活動が増えると思うんですけど、みんな応援してあげてくださーい」
※『優等生~!』『今や冒険配信者の顔みたいになってるからなw』『はーい!』『もちろん推し活は続ける!』
『では次のニュースですのだ! さきほどトピックでも伝えた通り、アメリカのメカはづきさんが来日を宣言……』
「あひー、私の三人目!!」
まだまだ配信は続くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます