出張!私のイギリス編
第301話 地球の裏側からの連絡伝説
学園祭が終わると気が抜けるね。
しなしなになりながら、雑談配信などをした。
「お前ら、こんきらー。私です」
※『こんきらー』『こんきらー』『お前か』『私だったか』『なんだそのだらけた姿勢はw』『そっか、はづきっちの学校、この間学園祭だったもんな』『リアル事情に詳しいやつがいるぞ』
「まあ確かに学園祭だったんですけどね! 大盛況のうちに終わりました! それでですねー、イベントが終わると気が抜けるよねーという」
※『ダンジョンを攻略してもそこまで疲れてないのに』『人間と接するからな……』『はづきっち、人付き合いが得意じゃないもんな』
「私への理解度が高い! そうです、そうです。大変でしたー。でも、楽しんでもらえて良かったー」
あっ、なんか無言スパチャが飛んできた。
なんだろう。
「スパチャありがとうございます~」
※『ナイスパ!』『ナイスパ!』『主張のない奥ゆかしいスパチャだな』『はづきっちの学校の生徒さんじゃね……?』『あの、リテラシーが高くてはづきっちの学園生活の情報を一切ネットに流さないと評判の……』
やたら詳しいのがいるぞ!
だけど確かに、私の話が全然ネットに流出しないのは凄い。
まあ、私の正体隠蔽が完璧だから、全然バレてないからだと思うけどね!
※『急にドヤ顔をしたぞ』『多分だが、考えていることは違う、そうじゃない、みたいな内容だろうなw』
な、なにぃーっ!
そんな風なやり取りをしていたのだけど……。
そこへ、妙なコメントが飛んできた。
※ルシファー『きら星はづき。緊急事態だ。貴様の協力を要請する!』『なんやこいつ』『いきなり馴れ馴れしいぞ』『ルシファーって、あっ』『あっ』『あっ』『察し』
「あっ、もしかして」
急に配信にノイズが掛かった。
そして、私の配信画面の左上に勝手にワイプ画面が出現する。
『私だ』
「ルシファーさんじゃないですか」
コメント欄騒然。
※『配信ジャック!?』『いや、普通に配信の主導権ははづきっちだな』『なんか和気あいあいと喋り始めたぞ』
「どうしたんですか、突然?」
『ああ。日本でもそろそろ報道される頃だと思うが、新たな魔将が出現している。きら星はづき。貴様が東京湾で撃破した大魔将のうちの一体だ』
「あー、イギリスでも! 大変ですねえ……」
『協力を要請する!』
「ほえ?」
『きら星はづきの協力を要請する! これから迷宮省へ英国政府を通じた正式な要請を行う! 人間どもに任せておくと、メンツを気にして自国だけでどうにかしようとするからな。だから現在、北部アイルランドをダンジョンにやられ、凍結される羽目になったのだ』
そんな事があったんですねえー。
※『ルシファーって傲慢じゃなかったっけ』『素直に頭を下げてくるとは』『大罪勢が当たり前みたいな顔して配信にいるの草』『まあはづきっちもそうだからね……!』
『頭を下げてなどいない。これは対等な関係としての要請だ。国家間のやり取りとはかくあるべきなのだ。人間どもはそこが分かっていない。いいか? 人種や宗教を盾にした見下しがあるが故に、要請ができぬ愚かしさはだな……』
※『せ、説教が始まったー!!』『この人日本語ほんと上手いなw』『いちいち人間を見下してくる辺り、傲慢の大罪だなーって感じw』『顔と声の良さでギリギリ許されてるw』
うちのリスナーさんとルシファー氏は割と打ち解けたかな?
というか向こうからもコメント見てるんだ。
とにかく、詳しい話を聞いてみたら、風の魔将っていうのがやって来てるらしい。
北部アイルランドで猛威を振るっているみたいで、ルシファー氏はすぐに救援を出したけど、民族的な云々でそれが難航。
結果的に、北部アイルランドが壊滅状態に陥ったとかなんとか。
で、ルシファー氏激おこ、というわけなのだ!
ちゃんと政治家してる~!
『やることをきっちりとやりきらずして、なんのための傲慢か! 慢心と傲慢は違うのだ!』
傲慢の美学ー!
結局その後は、私がイギリスの美味しいお店などをルシファー氏からたくさん聞くことになった。
インド料理と中華が美味しいんだって。
楽しみー。
「ということでお前ら、私はどうやらイギリス旅行に行くみたいです! 毎年秋は忙しいかも知れない」
※いももち『はづきちゃんはいっつも忙しいでしょ! 応援してるー!!』『ゴーゴー! イギリスを救っちゃえ!』もんじゃ『大罪能力者二人が肩を並べて戦うことになるのか。これは凄いことになりそうだ』
みんなのあったかい声援が嬉しいなあ。
今回の配信内容は、迷宮省にも共有されたらしい。
新しくなった迷宮省は優秀だなあ。
すぐにPDF形式にまとめられて、今回の件が正式な要請として送られてきた。
前は感じられた、担当者の自我みたいなのが完全に削られてますね!
AI?
あっ、一応責任者のはんこは押してある……。
書類の内容的には、ルシファー氏が話した通りのまま。
余計な一言すら付け加えてない。
こういうのでいいんですよ、こういうので。
本当に、一切、絶対に余計なことをしないで配信者のサポートに徹するという固い決意を感じる。
夕食時に、父が早く帰ってきてたんで、今後の報告などをしておいた。
「イギリスに行くことになるって」
「えっ!? イギリスに!?」
ものすごく驚く父。
「心配だ……心配だ……」
「去年はアメリカだったし、この子なら平気だと思うわよ」
母からの信頼が厚い。
『我は同行しよう。小さくなれば持ち運びも楽であろうからな。なんならば、きら星はづきを守るアーマーにもなれる』
「なんと! バングラッドさん、行ってくれるか!! 娘を頼む……!!」
「リーダーの海外遠征! 懐かしいわね……。もうあれから一年かあ……」
ビクトリアが遠い目をしてる。
横では父がバングラッド氏と固い握手を交わしてるし。
「あ、ビクトリアも行くんだって」
「えっ!? 私も!?」
ということで、今回は私、ビクトリア、バングラッド氏の三人でイギリス入りします!
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