第224話 激闘、奮闘! ツイスター伝説

「あっ、準々決勝で野中さんとはぎゅうちゃんがぶつかった!?」


「うおおー! あたしのパワーを喰らえー!!」


「なんのーっ!! 愛の! パワーは! 最強ーっ!!」


「うぐわーっ!?」


 左手を青に置いた野中さんが、なんとはぎゅうちゃんをパワーでねじ伏せた!

 なんだなんだ、何が起こっているんだ……!


※『愛がバーサーカーを叩き潰したな……!!』『はぎゅうちゃんはやられるのも様になるからな……』


「あ、それは美味しいキャラだねー。野中さんおめでとうございます! あっ、次は……カンナちゃんが水無月さんと予選でつぶしあいを!?」


※『はづきっち、物騒すぎるw』『他の箱の配信者やぞw』


 カンナちゃんと水無月さんと他個人勢の人がわあわあ、ひいい、手が届かないー、とか、この姿勢むりぃ、とかやってキャッキャとツイスターをやって、まず水無月さんがぺちゃっと潰れた。


「ぐおお……。ニコチンによって体力を奪われていたか……」


「ミナはいつもあまり動かないで暮らしてるからでしょう? 今度わたくしとランニングしましょ」


 ということで、カンナちゃんが個人勢の人とバトル!

 ここでも、カンナちゃんが意外な体の柔らかさを見せて個人勢の人に勝利した。


 このイベント、負けても自己アピールタイムがあるのでウィンウィンなんだよね。


 うーん、見ごたえあるバトルばかりだ……。

 私はジュースをぐびっと飲んだ。


※『ストローですする音のASMR』『助かる』『そしてASMRと言えば……』


 バトラさんが対戦相手の耳元でなんか甘い言葉を囁いて骨抜きに!

 あ、あれは反則では……!!


 審判としてやって来ていた兄が、サッとツイスターゲームのところまで近づいてから、しゃがみこんで何か調べていた。

 そして立ち上がり、セーフ! と仕草で示す。


「セーフなんだ!」


「耳に接触していない。声はセーフ! 耳を舐めたらアウト!」


 何を言ってるんだこの兄。


※『斑鳩、真面目な顔であれやるから現役のときからめっちゃコミカルだったんだよな……』『真面目な笑いが生まれる……w』


 準々決勝ラストは、ぼたんちゃんとマリトさんの激戦が!

 もう一人の個人勢の人が早々に敗退して、二人の一騎打ちが行われた。


「ノー! マリトのパワーが敗れる!? なんだかねっとりとした迫力がーっ!!」


 あーっ、マリトさんがやられた!

 これで、準決勝に進出するメンバーが揃った。


 野中さんVSカンナちゃん!


 ぼたんちゃんVSバトラさん!


※『配信者ですら無い声優が勝ち進むとは……!!』『ツイスターゲーム、凄まじい可能性を秘めているな……!』


「あ、ここでインターバルです。再開は一時間後なので、一旦枠を閉じますねー。え? 私がデモンストレーションでゴボウダンスを? 仕方ないなあ……」


※『なんだなんだw!』『ゴボウダンスってなんだw』『はづきっちもまんざらでもなさそうだぞ!』


 私が二刀流ゴボウを構えてシャッシャッと踊る。

 これは兄のガンカタを見て、私が独自に考えだした演舞なのだ!


 まあ、いつも配信でやってる私のあれです。


※『決めポーズがなんかゴボウをツン……と突き出す動作なの草』『でもあれ、はづきっちマジの決め手だからな……!』『敵の猛攻を防ぎながら無理やり隙間をこじ開け、そこから叩き込む必殺の一撃だもんな』『相手がいないとこんなしょぼく見えるのかw!!』


 後日、このダンスは切り抜かれてあちこちでアップされた。

 あと、ツブヤキックスのトレンド二位にもなったのだった。


 休憩中にお弁当が……。

 えっ、お弁当が出ないの!?


「ツイスターゲームは体をひねったりしますので……」


「なるほど放送事故……」


 納得。

 他の配信者のみなさんが仕出し弁当を美味しそうに食べているのを眺める私……!


 おおお、羨ましい、羨ましい……。

 ゼリー飲料で空腹を紛らわす……。

 くうー、霞を食べているかのようだ!


「はづきちゃん、お弁当見て悲しそうな顔してる」「あの腹ぺこはキャラじゃなくて本当だったのね……!」「なるほどわがままボディも納得……」


 なんか色々言われてますねえ。

 こうして休憩を挟んだ後、準決勝、そして15分のインターバルを挟んでの決勝が行われた!


 というかまた配信がスタートしたら、同接がもりもり集まってくるんだけど。

 彼らは一日中ツイスターゲームを見ていることになる……。

 応援してもらえてありがたいなあ。


※『よこしまなオーラを感じるけどなw』おこのみ『もうこんな大会やってもらえて、感謝しかないですよ感謝しか……ありがたいなあ……』


 あっ、おこのみから赤スパチャが飛んできた!

 そこまでか……!


 こうして、激闘が開幕!

 カンナちゃんを応援すればいいのか!? 野中さんを応援すればいいのか!?

 うおおお、ハートが引き裂かれるー!


 とか思ってたら、野中さんが「ぐわあああああこれ以上は無理ぃぃぃぃぃ」とか言いながらぺちゃっとなった。

 若さのパワーでカンナちゃん勝ち抜き!


 そしてぼたんちゃんは「絶対にはづきちゃんとツイスターする!!」と熱い闘志を燃やして挑んだんだけど……。


「子猫ちゃん、とっても頑張ってて偉いわ。お姉さん応援してあげる。ほぉーら、がんばれ、がんばれ……!」


「あっあっあっ、み、耳が溶けるぅ」


 ASMRは飛び道具だねあれはもう。

 熟練の技巧が若き配信者を打ち倒す……!


 熾天使バトラさん勝ち抜き……!!


 ということで。

 私とも縁深い二人が決勝に勝ち上がったのだった。


※『激戦だったな……』『はづきっちへの愛で野中さんとぼたんちゃんが来ると思ったが……』『まぐれを許さぬ熟練の技巧……!!』『カンナはトータルで強かったな……』


 カンナちゃん、ジムに通って体を鍛えてるらしいですから。

 バトラさんは発声のためには柔らかい体が必要だということで、本格的なヨーガなんかもやってるとか。


 そして特に何もやってないけど、妙に体は柔らかい私……!


 決勝戦スタートなのだ!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る