第222話 あつまれ配信者! ツイスター伝説

 ゴールデンウィークが迫る今。

 イカルガエンターテイメントでは、ついにあの超大型企画が動き出そうとしていた……!!


「ギリギリ! イカルガエンタ・ツイスターゲーム大会……!」


 兄が企画書を出してきたので、おおーっと私たちはどよめいた。

 以前からやるやるという話はしていたが、ついに……。


「は、はい! はいはいはい! 斑鳩社長、私もやります!!」


 ぼたんちゃんが率先して手を挙げる!

 やる気~。


「ああ。きら星はづき以外の出演者はその熱意を買って蝶路ぼたんとしよう」


 良かったね、ぼたんちゃん!

 これで活躍の機会が……。


「エッッッッッ!? 私!?」


「お前が参加しなくてどうするんだ。むしろお前がメインだぞ。まあ、今回は実はうちの配信者全員に参加してもらうが。それからだな、ゲストに声を掛けてある。なうファンタジーからトライシグナルの三人が来る」


「おおーっ!!」


 兄の根回しが早い!!

 私は大変感心した。


「トーナメント形式にする」


「エッッッッ!? ツイスターゲームをトーナメント方式で!?」


「はづき先輩がいちいちオーバーリアクションで確認してくれるからわかりやすくなるなあ」


「うんうん、師匠はあたしら初心者にも優しい」


「リーダーのあれ、素だと思うなあ」


 つまりこうだ。

 トーナメントの決勝にて、シード枠の私が待つ。

 集められたメンバーはツイスターゲームにて戦い、最後まで態勢を保っていられた者が決勝に進出する。


 そういう集まりになるらしい。


「ということで今度の配信でリスナーに伝えてくれ。お前の配信は業界の多くの者も見ている。新たな参加者が来るだろう……。だが男は絶対にダメだぞ。大炎上するからな」


「アッハイ」


「はづき先輩、うち秘蔵のアーカイブがありますから勉強のためにこれ見ましょう」


 ということで、会議が終わった後、私たち四人揃って、もみじちゃんの家に移動した。

 五人も詰まると、もみじちゃんの部屋が狭い……!


「四畳半でベッドも置かれてるところに五人ですからね! うち一人だと全然広いけど」


 もみじちゃん小柄だからねー。


 はぎゅうちゃんは床に座り込み、ビクトリアはベッドに転がっていて、私とぼたんちゃんでベッドに腰掛けている。

 ぼたんちゃん、そんなに密着しなくてもいいくらいのスペースはあるのではないか。


「じゃあ見ましょう。このアーカイブです。これは三年前のなうファンタジーのツイスターゲーム企画で……男性配信者四人でやったやつで」


「男性配信者!?!?!?!?!?」


 驚愕する私。

 そして動画が始まった。


 あっ、見覚えがある人がいるぞ!!

 兄だ!!


『ぐおおおおおおお重い重い重い重い重い』


 兄が凄いうめき声を発しており、コメント欄が大いに賑わっている。


「うちはこれで、新たな扉を開きました……。つまりツイスターゲームって、それくらい凄い力を持ったコンテンツなんです! はづき先輩! 広報は全力ですよ!! なんならうち、手伝いますから!!」


 フンス! と鼻息も荒いもみじちゃんなのだった。

 新たな扉とは何か。

 聞くのはやめておいた。


 さて、その日の夕方に広報する。


「お前ら、こんきらー」


※『こんきらー』『こんきらー』『なんだなんだお知らせって』


「実はですね、イカルガエンターテイメント全員参加企画としてですね、ツイスターゲームをやります」


※『エッッッッッッ!?!?!?!』おこのみ『待ってた。──待ってた!!』もんじゃ『ほ、本気か……!? 若いリスナーの新しい扉が開くぞ……!!』


 大喜びだったり、戦慄してたり。


「うちのメンバー全員と、ゲストさんもいるんですが……。実はあと何名かゲストさん枠も募集中です。この配信で直に書き込んでもらってもいいですから、後でイカルガにメール下さい」


※いももち『なんてことこうしている場合じゃ』『男は出るの!?』


「男性はなしです。今回は女子だけですねー。きゃっきゃうふふします」


※『すばらしぃ~』『楽しみすぎる』『その日まで生きる理由ができた』


「ゴールデンウィークはイカルガとツイスターゲームで決まりですねー」


 ここで、なんかザッコからピコン! と反応が来た。


野中さとな『参加します!!!!!!!!!!! 生身で挑む!!!!!!』


「あっ!! 声優の野中さとなさんが、生身で私たち配信者に戦いを挑んできます!!」


※『うおおおおおおおお』『はづきっちガチ恋勢声優で有名なあの野中さとなが!!』『お前らの中に潜んでいる疑惑の高いあの!!』


 その他、配信やイベントで絡んだ配信者さんが何人か挙手してくれた。

 全員採用である!!


「じゃあここまでで応募は終わりです……! えー、参加者については後でツブヤキックスにてお知らせしますね。トーナメントを勝ち上がって私とツイスターしよう!」


※『トーナメント!?』『ツイスターゲームの!?』『決勝ではづきっちが待つってやつか……!!』熾天使バトラ『面白くなって来やがったぜ……』『ファッ!?』『バトラおるやんw!!』『よう見とる』


 こうして……。

 有名無名、私との関わりが深い浅い初見さん入り混じった、業界最大のツイスターゲームトーナメントが始まるのだった。

 どんどん話が大きくなるぞお……。


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