第188話 カンナちゃんとうぉっち動画鑑賞伝説
この間のVR追儺で再会したので、カンナちゃんと遊ぶ約束ができたのだ……!
私はウキウキしながらお出かけをした。
母と選んだモッコモコの可愛いコートを着込んでいる。
「リーダーがソーキュート! 配信より気合が入ってる」
「配信は自然体、今回はデートですので……」
ということで全力で行くぞ!!
待ち合わせ場所まで向かった。
電車で新宿まで出てから……うおおお、人が……人が多い。
私はひいひい言いながら乗り換えの電車に潜り込んだ。
そして待ち合わせの駅で降りる……。
「やっほー!」
「うおー!」
手を振ってくるカンナちゃんに、私は咆哮とともに両手を振った。
目立つけど気にしない!
なぜならこれはデートだから……!!
二人で駆け寄って、手を取り合ってジャンプする。
「やっぱリアルで会うと違うねー! ……あれ? はづきちゃんやっぱり背が伸びてるよね……?」
「そうかも知れない……スカート丈が短くなってきたので」
「足が伸びてるってコト……!? 出会った頃は私の方が背が高かったのに、今はちょっとはづきちゃんの方が大きい」
「ふふふ、背が伸びてパワーもついたので、カンナちゃんをお姫様抱っこできるかも知れない……」
「ほんと!?」
カンナちゃんがやってほしそうな顔をした。
ふふふ、ひと目につかないところでね!
こうして、二人でアニメショップに行ったり執事喫茶に行ったりなどした。
執事喫茶はカンナちゃんの趣味ね。
「はづきちゃんが『おかえりなさいお嬢様』って言われてもスンッってしてるの面白かった」
「実は警戒してしまって……」
「はづきちゃんって男の人、どういうタイプが好みなの?」
「配信だと大炎上になるタイプの質問~! 本能的に私が警戒しないタイプとか……」
「難しいなあ……!!」
いたことはいた!
だが今はそんな気分ではない……。
カンナちゃんとデートだからね!
執事喫茶でなんかパンケーキみたいなのをホイップクリームとバニラアイストッピングで四枚重ねで焼いてもらい、もりもり食べた。
味は普通の美味しさだった。
コーヒーは妙に気合が入ってた。
そしてそして、次は防音がしっかりしたレンタルスペースを借りてコラボの……。
動画視聴!
今回は完璧にプライベートで遊びに来ていますんで!
内容は雑談配信でみんなに共有しますんで!!
「よし、はづきちゃん、やろう!」
「やりますか!」
カンナちゃんが手を広げて待機の態勢。
私は彼女を、ガッと抱き上げた。
お姫様抱っこ!
羽のようにかるーい!
「うわーっ!! 凄い凄い!! お姫様抱っこされたの初めて!! 思ったよりもはづきちゃんがどっしり支えてくれてて安心感が凄い!」
「馬力には自信があるんですよー」
この半年で散々女子を抱き上げたりキャッチしたりしたからねー。
しばらくお姫様抱っこで走ったりして、満足したのでまったりタイム。
あちこちのお店で手に入れた戦利品を並べてお互いに評価し合う。
そして撮影して、ビクトリアに送るのだ。
あっ、ビクトリアから凄くはしゃいだ返答があった。
よーしよし、楽しみに待っててよ……!
欲しがっていたグッズを届けてあげるからね。
締めに、冒険配信者うぉっちチャンネルなどを見たりした。
管理人さん元気だなあ。
最近、イカルガとここの人がやり取りするようになって、色々素材を提供しているのだ。
『ガツガツ貪欲に強欲にやっていきますのだ!』とか言ってた。
最近、週に二回とか動画を発表してて精力的に動いてるんだよね。
人間を超えた取材編集能力とか言われている。
このライバルみたいな感じだったたこやきが、「僕はほんとに今イカルガに就職してて良かったですよ。今の彼とやり会いたくないですね!」とか言ってた。
うぉっちチャンネルさん、物凄くやる気になってるらしい。
『きら星はづきさんの能力について考察してみたのだ! まず、世界各国の有名配信者の戦闘スタイルを見せて行くのだ!』
あっ、この間メイユーと話題にしてたやつ!
基本的に有名配信者は、特別な武器とか特別な能力を使うらしい。
現代魔法というのもあるので、魔法使いスタイルも多いとか。
「私はなんなんだろう」
「本人が自覚してないってことある?」
あるんじゃないでしょうか。
『各国の有名配信者はこういう力を持っていたのだ! では我が国のトップ、きら星はづきさんはと言うと……! なんと、驚くべきことに特別な武器も特殊な能力も魔法も無いのだ! ゲームで言うならボタンを押したら出る基本の技しか持っていないのだ!』
「な、な、なんだってー!」
「なんで本人が衝撃受けてるの?」
「いや、我ながら意外で……」
そう言えば、特に何かを学んだり特別なことをやった記憶は無かったわ……。
バーチャルゴボウとかは特殊武器だけど、普通のゴボウの方が強いし。
『きら星はづきさんと言えば、タンクとしても優秀なことが知られていますのだ。ではここで、全世界の優秀なタンクとの比較を……』
「よくタンクって言われるんだけどなんなんだろうそれ」
「モンスターの攻撃を受け止めて、仲間が動きやすくする人のことね。はづきちゃんはそういうの得意でしょ?」
「言われてみれば……」
『この動画をご覧いただきたいのだ! きら星はづきさんは現在、よそ見をしながらスタンピードを捌ける技量に到達していますのだ! なんとここで特別な技は一切使われていませんのだ。目の端で相手の動きを捉えて、基本的な動きで相手の攻撃をすべて止めているのだ! この基礎的な技量だと、今現在世界最高レベルのストッピングパワーを持っているのだ!』
「あひー! そ、そんな凄いことに……!」
「本人が自覚してないことってある?」
あるんですよ!
いやいやいや、うぉっちチャンネルさん私を持ち上げすぎでしょう……。
これは営業トークというやつ。
間違いない。
「これははづきちゃん、私がピンチになったら助けに来てもらうしか無いなあ」
「もう時空を超えてぶっ飛んでいくよー!」
「ほんと!? はづきちゃんならやってくれそう……! あ、これ新作のアクスタで……」
「やったー!!」
「私、はづきちゃんのフィギュアも予約してあるから!」
「ほ、ほんと!? じゃあカンナちゃんのフィギュアも作ってもらうように働きかける……」
「マジで!?」
世の中ウィンウィンですから。
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