年末! 私の色々挑戦編
第154話 声優ラジオへのお誘い再び伝説
もみじちゃんとビクトリア、二人の新人の活躍が目覚ましい。
ビクトリアは早々に登録者数10万人を超えたけど、これは元々こっちに来た時点で登録者がそれに近いくらいいたから。
驚くべきはもみじちゃん。
事前のプロモーションがあったためか、わずか数日で登録者数5万人になってしまったのだ。
凄い……。
私なんか数日くらいだと登録者数二桁だったはずなのに。
ああ、二桁で狂喜乱舞していた頃が懐かしい。
はるか遠い記憶の……。
「八ヶ月くらい前じゃない? えっ、私のこの一年濃厚すぎ……?」
十二月に突入したある朝のこと。
色々振り返って愕然とする私なのだった。
「しかもまだ一年経過してない……。あと四ヶ月ある……」
「リーダーがぼーっとしてる」
「また何か考えてるんじゃない? いつものことよ」
ビクトリアとうちの母が私についておしゃべりしてる。
「そうなんだ……。でもリーダーらしいかも」
「それよりビクトリアちゃん、今日はちょっと遠出するんだけど一緒に来ない? 大学始まるまでしらばらくかかるでしょ」
「ア、ハイ! 行きます!」
ビクトリアはモラトリアム期間かあ。
いいなあ……。
私は学業との両立なのだ!
「ステイツは飛び級があるから」
「ビクトリアは高校生だったのでは……」
「単位は全部取り終わってたので」
「て、天才」
戦慄する私なのだった。
陰キャの後輩がパン屋と天才では勝ち目がないじゃないかー。
「またリーダーが固まった。あ、でもブレックファストはいつの間にか全部食べ終わってる!」
「ね? 気にしなくていいのよ。登校の時間には動き出すから」
いや、後輩二人に任せて私は平和を謳歌すればいいのだ。
私は働きすぎだったからね……。
なんか嫉妬勢が攻めてきたとか言ってるけど、大丈夫、私は後ろで控えててアドバイス役とかすれば……。
そう、私は軍師……!!
「グフフフフフフ」
「リーダーがコロコロ表情が変わるから面白い……」
こうして私は時間ギリギリまで物思いにふけって、登校することになったのだった。
クラスでは、イノッチ氏がぐったりしている。
シカコ氏とチョーコ氏がつんつん突いていた。
「な、何があったんですか」
「あのね、彼氏にしようと思ってた中学生に振られたらしい」
「えっ、ロストラブ……」
「ロストラブ言うなー!!」
イノッチ氏、暴れる!
「あ、あたしは練習台だった……。同い年の彼女を作ったって嬉しそうに報告してきて、練習に付き合ってくれて本当にありがとうございますって……う、うううううー。お姉さんは若者の成長に協力できてうれ、嬉しいよ……」
「血を吐くような声ー」
シカコ氏ドン引き。
「あたしはもう恋はしねえー。な、何か他の熱くなれるような生き方を……!!」
「……」
じっと私を見てくるシカコ氏。
な、何を期待してるんだ……!
「…………」
私とシカコ氏を交互に見るチョーコ氏。
な、何か気付いている……!?
まさかー。
私は気にしないことにした。
私の隠蔽は完璧なので絶対に気づかれてないのだ。
シカコ氏も心配しすぎ。
こうして、十二月も何も変わらぬまったりとした生活が行われていく……。
はずだった。
帰宅後。
『野中さとなさんからまた声優ラジオのお誘いが来たぞ』
「えっっっっ!?」
兄から衝撃的な話が飛び込んできたので、私は驚愕した。
「こ、今回も他にゲストがいるでしょ……」
『お前だけだぞ』
「ひぃー」
何が一体どうなっているんだ。
私なんか呼んでも何も面白くならないぞ……。
連絡は金曜日、収録というか生放送は月曜日!
なんというタイトスケジュール!
『前々から野中さとな個人からオファーはあったんだがな。だから月曜日は予定を空けてあったはずだ』
「あー、そう言えば……」
月曜は突発ダンジョン配信オンリーにしてたんだった。
野中さん、ずっとオファーしてたんだ。
『ついに運営を説得できたとかでな』
「な、なるほどー。凄い情熱」
いきなりな話なので、私はちょっと面食らったけど。
そもそも野中さんとはたまにザッコでお話するくらいで、そこまでたくさん繋がりもなかった。
久しぶりだなあ……。
あの時が八月だったけど、あれから四ヶ月が経過したのだ。
時が流れるのは速い。
私はこの間に北海道に行って、学園祭して、アメリカに行って、後輩二人がデビューして……。
おおおおお、もりだくさん過ぎる……。
時の流れが速いはずだあ……。
「じゃあ行きます」
『わかった。先方には連絡しておこう。Aフォンくらいしか準備するものは無くていいそうだ』
「はーい」
あの時は緊張や、事前のナカバヤシ戦で色々グダグダだったけど……。
経験を積んだ今の私なら、きっともうちょっとマシな話ができるだろう。
できるに違いない。
多分、メイビー。
『ところで、もみじから色々相談が来ているがお前知っているか? うちは当面、配信者を増やす予定は無いんだが』
「あっ」
『何か知っているな……?』
「いえ、なんでもございません……」
『いっそあと二人増やすとか言っていてな。それはもみじの活躍次第だと言っておいた』
「あー、あーあー」
『何か知っているな……?』
「な、何も知らないでござるよ……」
『とりあえず、もみじの登録者数が20万人になったらという話をしてある。計算では半年くらいか』
「半年で20万!? 無茶なー」
『半年で1200万になったお前が何を言っているんだ』
「うっ、それを言われると……」
『とにかく、ラジオの準備をしてくれ。お前は何も心配しなくても、向こうがお前を放っておかないだろうからな。そしてそちらも心配していない。常在戦場だからな』
「えっ、私かっこいい」
兄が笑いながら、頼むぞとか言ってザッコが終わった。
うーん、兄からの話ももりだくさんだった。
あまりに色々あったので頭の中が混乱している。
「よし、考えるのをやめて寝よう」
そういうことにしたのだった。
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