第137話 お絵かき配信伝説
「お前ら、こんきらー。今日は私のパソコンの画面を共有してですね」
※『こんきらー』『こんきらー』『こんきらー』『なんだなんだ』『えっ、はづきっちのパソコン画面!?』『PC持ってたんか』
「持ってるよー。お父さんのお下がりで、ここの隠しファイルを私の誕生日のパスワードで開けるとエッチな動画とか画像が……。あっあっ、センシティブなので開きません」
※『はづきパパの尊厳を守れw』『はづきっちがエッチに興味あることは俺等も知っている……』『自分のエッチ絵にいいねしまくってるもんな』『絵師たちがあちこちで喜びの声をあげてたw』『はづきっち、いいねするとタイムラインに画像が流れるんだぜ……』
「えっっっっっっ!?!?!?!!?」
私は驚愕した。
ま、まさかツブヤキックスはそんな構造に!?
じゃあ私のエッチ絵がたくさんリスナーのタイムラインに流れてたってことじゃないか。
「あひー。……あ、でも今日は別の配信なんでね。これからそれをやって行こうと思います」
※『凄い剛腕で切り替えたぞ』『心が強い』『今回のお題はなあに』
「お題はですねー。みんなの意見を聞きながら、私のハロウィン衣装をデザインします。はい、お絵描きソフト立ち上げ。このエメラルダスっていうお絵かきソフトのメーカーさんから協賛してもらってます」
※エメラルダス公式『お世話になっております』『公式さんだ!』『あっ、公式さんがスパチャ投げてきた』『1500円だ!』『公式さんの中の人のポケットマネーなんじゃねえか……?』
「ど、どもども。じゃあ描いていきますね……。えっと、ここにさっき描いておいた私の全身像のラフがあるんですけど、簡単に色も載せてあるんで」
※『ちょ、ちょっと待て』『え? それはづきっちが描いたの?』『うま』『絵まで描けるのかこの人』
「私のこの姿、自分で描いたものをAフォンでバーチャライズしたやつですし。ハロウィン近いから正式に依頼して実装するのはちょっと間に合わないですし……エメラクさんは他の作業とか、私のクリスマス衣装とか作ってて」
※『どんどん情報が追加されてくる』『こ、こいつ~。まだまだ隠し玉もってやがるな』『陽キャと接する以外なんでもできる女』『むしろこんなに多芸でなんで陰キャだったんだw』
芸の数は陰陽の属性に関係ないのだ……!
ということで、私は古いタブレット(兄のお下がり)を使って新しいレイヤー越しに色々書き加えていく。
「えっと、猫耳とか……猫しっぽとか……」
シュシュっとパーツを足す。
※『かわいい~』いももち『描き慣れてる! はづきちゃんすごーい! 私の演じたキャラも描いて欲しい』たこやき『いももちさん中の人が漏れてる』いももち『ハッ』おこのみ『思わぬ有名人……!! 知ってたけど』
いももち、一体何者なんだ……。
「えっとえっと、じゃあみんな好きなネタをたくさん言ってください。私がピンと来たの描きます」
※おこのみ『スク水うさ耳メイド!!』『思考0秒w』『つよい』『つよすぎるw』
「いきなり欲望が凄いのがきたあ」
私はさらさら描く。
そんなに上手いわけじゃないけど、とにかく描くのだけは早いのだ。
うさ耳はピョンパルさんのを参考にして……うさ耳の耳毛だけ少なくして……。
えっと、メイド要素とスク水要素? いにしえのイラストで見た旧スク水?
これが望まれてるかなーというのをラフでさらさら描いてみた。
※『はええw』『この人ほんとなんで陰キャなんかやってるんだw』『配信者以外に幾つも天職ありそうw』
「ほ、褒めるなよー」
うへへ、と私は照れた。
デッサンとかガタガタだし、父のエッチコレクションを見ながら練習したやつなのでリアルよりはかなりセクシー系よりのプロポーションなんだけど。
とにかくできた。
スク水に襟と袖口とメイドのスカートみたいなフリルがついてて、うさぎの耳が生えているやつ。
※『うおおおおおお』『うおおおおおおおお』おこのみ『エッッッッッッ』『寒そう』
あっ!!
最後の意見で私はハッとした。
「10月にこの姿は風邪を引きそうなので……。バーチャライズでも見てて寒いのでやめましょう」
※『確かにw』『暖かいので行こうw』おこのみ『あああああああああああああ』『寒そうって言ったやつ出てこい、ワイはお前を殴らにゃならん』
幾つかの意見を統合していく。
どうやらみんなは私に可愛い姿をさせたいらしい。
大変照れくさい。
んで、私のボディラインを出したい派と可愛い服を着せたい派がいる。
「前者はセンシティブでモザイクが掛かる可能性が……」
※『そ、そんなぁ』『アワチューブめえ、許さん、許さんぞぉ』
「ネチョネチョ動画なら見られます」
※『ネチョネチョ民になります!!』
それもまああんまりなので。
今回は可愛い服で行くことに決めた。
うさ耳はピョンパルさんと被っちゃうから、ここは違うけもみみで……。
※『キャラ的にはたぬきとかみたいなおっとりした動物がいいんだけど』『キツネ……はイメージちょっと違うもんな』『もこもこしてて耳が目立つ生き物……』もんじゃ『体温を逃さない体毛と、熱を放散する大きな耳、本来ならば相反するな』
有識者もんじゃ~!
そっか、確かにそうだ。
※もんじゃ『つまり、熱を逃がすのと熱を留まらせるの、双方が必要な場所に住む生き物にするのがいい。私の考えでは、やや耳は小さいがチベットスナギツネを推そう』『チベスナwwww』『なるほどwwww』『素人は黙っとれwwww』
「あー。こういう?」
毛皮みたいなマントと手袋、ブーツ。
そこにチベスナの耳。ついでに私の目をチベスナ目にしておいた。
※『目wwwww』『やめろwwwww』『あかんwwwwww』
受けた。
ちょっとうれしい。
※いももち『はづきちゃんはくりくりした目が魅力なのでそこは守って欲しい!』
「あっはい。じゃあチベスナは頭の上に載せておきます……」
そういうことになった。
チベスナの目から上を帽子みたいに被った私の完成なのだ。
あとはこれをブラッシュアップしてAフォンに読ませるだけ……。
※エメラク『つまりこうですね』
「や、野生のエメラクさんだー!!」
ザッコで彼が私のイラストを清書したのが送られてきた!
すぐさま配信で共有すると、
※『さっすがプロ……』『はづきっちの描きたかったものが存分に発揮されてる』『すげー』『色は何色なんだろう』エメラク『ピンクでしょ』『ピンクチベスナwwww』『ピンクって言うとブタもピンクだよな……』
イカルガだけじゃなく、他の仕事もたくさん抱えてる売れっ子絵師のエメラクさんなのに、このフットワークの軽さはなんだろう!
頼りになる~。
こうして私のハロウィン衣装は決定した。
当日は盛り上がっている街中に繰り出し、あちこちで突発的に発生するダンジョンを攻略することになるのだ。
「まあ、見た目だけの衣装なんでチベスナ耳とか尻尾は触れないんですけど。あ、ブタさんももらいです。ちょっと作っておこうかな、どうしようかな……」
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