第132話 状況も落ち着いてきた伝説
なんか巷では、きら星はづきの活動を停止せよみたいな運動が起こってるみたいですけど。
私は私で、土曜の朝食雑談配信などしていた。
ながらで食事は父に注意されるので、自分の部屋に持ってきての配信なのだ!
こういうゆるーい配信が続いているせいか、同接数がかなり落ち着いてきた。
多分、アメリカ配信で私の派手な活躍を見て、こういうダンジョン踏破する系の配信者だと思った人たちが見に来なくなってるんだと思うけど……。
なお、登録者数は1300万人になった。
おかしい。
たまたまアメリカで活躍しただけなので、みんな御祝儀で登録してくれたに違いない……。
アワチューブからダイヤの盾が送られてくるらしい。
10万人でエメラルドの盾、100万人でサファイヤの盾、そして1000万人でダイヤの盾!
うーん!
私の部屋に三つの盾が並んでしまう。
なお、日本の配信者では登録者数がトップになるとか。
ついにトップ配信者になってしまった。
配信半年ちょっとなのに。
「ということで、今日の朝ごはんはゴボウのマヨネーズ和えをからしバター塗ったパンに挟んだやつなんですけど」
※『新しいレパートリーじゃん!!』『パンとゴボウのマリアージュかあ』
「ですねー。ちょっと将来のためにパン食も……あ、オフレコで……」
※『!?』『何か重大情報をお漏らししたっぽいぞ!』『パン……!? 一体何が……。新規コラボか……!?』
「なんでもありませーん! なんでもないでーす! あ、美味しい……」
※『美味しそう』『朝飯食った後なのに腹が減る……』『そう言えば最近、英語とか中国語のお前ら減ったな』『没有人不热爱她的日常生活』『中国語ニキ!』『ええこと言うわ』
メンタリティが近い人たちが集まってるからかもなあ。
※『そう言えばはづきっち反対運動みたいなの、すげえ勢いで縮小してるの知ってる?』
「えっ!? それほんと!?」
初耳だ。
テレビだとその話、全然放送しなくちゃったし。
※『あ、そうそう』『ちょっと配信者にちょっかいだすくらいならいいけどさ、やり過ぎは……ね』『あー、都市伝説の矯正施設w』『すぐ帰ってくるけど人間が全然変わってるんだろ』『薬と魔法で頭の中いじるらしい』『都市伝説、都市伝説……だよな?』
「こわぁ……。現代の怪談じゃん」
※『いつも怪奇スポットで怨霊タコ殴りにしてるはづきっちが怖がってるw』『草』
「現物よりも想像の中の方が怖くない……?」
※『大罪勢二体もぶっ倒しておいて抜かしおるwww』『世界中の怪異の方が怖がってるでしょw』
「まあ、なんか大罪勢も想像の魔物には勝てない的な……」
※『大罪勢になるはずだった人が言うと説得力が高い』『はづきっちしか言えないギャグじゃん』
「ギャグじゃないですー! 私はいつも真剣です!」
※『はづきっちは大真面目なところが常に面白いからな……』『さっきの発言、めっちゃ文学的だったんじゃね?』『ビクトリアの影響だな』
「そうかも……。今も毎日ザッコでおしゃべりしたりするんだけど」
※『エッ!?』『繋がりあるの!?』『ひえー、尊い……』『またコラボしてくれ……』『海を超えたコラボは無理かあ』
「そ、そ、そうですね」
※『おい、はづきっちが誤魔化すような言い方と表情を』『こいつ、何か握ってるな……!!』『分かりやすすぎるんよw』
し、しまった!!
雑談していると重要な情報がポロッポロ出ていきそうになる。
これはまずいぞ……。
※『ネチョネチョ動画にスパイおるぞ』『はづきっちがマジで雑談しかしてないから困惑してるw』
「そんなことが……。一応、生配信はアワチューブとネチョネチョで同時にやってますからねー。コメントはどっちかしかチェックできてないんですけど」
※『アワチューブ、チャンネル登録者だけしかコメントできねえからなあ』
そうそう、便利便利。
そんな話をしていたら、ザッコで兄から業務連絡が来た。
『誹謗中傷を垂れ流していたやつを400人ばかり簡易訴訟に放り込んだ。配信者相手の誹謗中傷はこちらに非がなければインスタントに判決が出て、上告不可能だからな』
「兄がなんか難しいこと言ってる……」
※『なんだなんだ』『斑鳩から重要情報か』
「400人アンチをやっつけたみたいな」
※『うおっ』『強い』もんじゃ『あくまで都市伝説だが、ここで賠償できないと施設で教育になるぞ』『ヒェッ人格が変わり果てて戻ってくるやつ!』『喜怒哀楽の怒りが欠落するんでしょ……?』『やべー』
「こわあ。あんまり怖い話しないでよー。お風呂で後ろ振り向けなくなるじゃん……」
※『関係ないでしょw』『はづきっち怖い話に凄く弱かったか……w』『かわいい』『薬物人格改造ネタと幽霊と関係なくね?』『はづきっちの中では謎の繋がりがあるんだろうな……』
本日の雑談も大いに盛り上がった!
途中で兄から不穏な報告もあったけど。
とりあえず一~二週間のんびりして、アンチには反応しないで放置しておいて……。
そうするとみんな飽きて次のネタに行くというのが、受付さんのアイデア。
その間にアンチを特定して片っ端から物理的に活動不能にするのが兄と配信者に詳しい弁護士さんのアイデア。
反応しないのは得意なのだ……!
というか気付かないから。
※たこやき『まあ、初期からのリスナーである我々からすると、ちょっとまったりモードになってきた最近の配信も楽しいけどね。はづきっちも骨休めだと思ってのんびり行こう。絶対この後凄く忙しくなるから』
たこやきの予言は当たりそうだなあ……!
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