臨場感と情景描写の神

映画を見ているかのような臨場感があった。自分がこの小説の世界に入り込んで一緒に体験している気分だった。人物の心情や関係がわかりやすくてそれも感情移入しやすい要因だと思う。文字だけで表現しているのに迫力とスピード感のあるバトルシーンは読んでいて緊張した。



以下ネタバレあり
ハイネくんとエマくんの兄弟(?)を超えた絆の深さというものが二人の会話からひしひしと伝わって来て、エマくんの優しさと面倒見の良さがまっすぐ心に刺さった。優等生とは言い切れないタイプだとあったが、何だかんだ決まりを守っていて真面目に授業も聞いていて、それでいてストリートチルドレンたちの兄貴分であるエマくんは十分すぎるほどの優等生だと感じた。対ミチルちゃんのエマくんはより兄貴肌であり彼の根本の優しさが垣間見えて、ひたすらに優しい子なのだと思った。異世界と元の世界との描き方の違いがはっきりしていて世界が変わる場面も描写が神だった。
貧困街の重苦しく息が詰まるような空気感が肌に感じられたし、そんな表現があるのかと思わされる巧みな文章表現がたくさんあってその都度胸が高鳴った。

既にめちゃくちゃ面白くて大好きなので是非続きが読みたいです!